「星は微かに光り」 第10話
ついに始まったバイオレットグランプリ決勝戦。種目は〇〇達参加者6人によるバトルロワイヤル。
だが、何故か〇〇達5人が和のことを1人狙いで攻撃を開始。
健闘した和だったが、ついにその猛攻に倒れてしまった。
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闘技場、しかし、空間魔法が展開され、洋風の景色が広がる街中で。
その中央で横たわる、和。
そして、彼女の前に呆然と立ち尽くす〇〇達。
〇〇「何で…俺は…。」
遥香「今まで私たちは、何を…。」
さくら「何で私たちは和ちゃんをあんな、5人で…。」
和以外の5人全員が、つい先ほどまでの自分の行動に疑問を抱え、リンチのような行動をおこなったことに後悔をしていた。
一体、自分たちに何が起こったのか。
パチ、パチ、パチ…。
ふと、一同の背後から拍手の音が聞こえる。
〇〇達が振り返ると、そこにいたのは…。
クレシマ「いやぁ、ここまで計画通りに動いてくれるとは思いませんでしたよ。お見事です。」
美月「クレシマ先生…?」
バイオレット学園の科学の教師、クレシマだった。
史緒里「どうしてクレシマ先生がここに?」
クレシマ「なぁに、材料を回収しにきたんですよ。」
クレシマは〇〇達の横をすれ違って通り過ぎると、和の前に立った。
遥香「材料…?」
クレシマ「彼女にかけた『マーキングの魔法』はよく効いたようですねぇ…。」
美月「マーキングの魔法…!?まさか…!」
クレシマ「私が先ほど決勝戦の直前に彼女に施したのです。」
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和「どうされたんですか?こんなところで。」
クレシマ「なに、たまたま近くを通りかかったのでね、せっかくなので激励にと。」
和「そうでしたか、ありがとうございます。」
和はペコリと頭を下げる。
クレシマ「健闘を祈りますよ。頑張ってください。」
そう言うと、【クレシマは和の肩をポンポンと叩き】クルリと向き直り去っていった。
和「…。」
レイ『さぁ!続いては一年生!!』
和「あ、行かなきゃ…。」
和は入場口のほうへと走っていく。
クレシマ「…フッ。せいぜい頑張ってくださいね。」
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クレシマ「そして作戦通り、あなた達は赤マントに突っ込む闘牛が如く、井上和さんを攻撃してくれました。感謝いたします。」
クレシマは笑いながらペコリと頭を下げた。
美月「どうしてそんなことを…!」
クレシマ「これから私がお披露目する『もの』には炎の魔力が不可欠なのです。それも高度な、ね。彼女ほど適任な素材はない。」
〇〇「ふざけるな!お前は一体何が目的…」
ドォン!!!
〇〇が問い詰めようとした矢先、背後で爆発音が響く。
その拍子に、空間魔法が解け、闘技場は街中からただの闘技場に戻る。
さくら「見てください!みなさん!煙が…!」
さくらが指差す方向を見ると、闘技場の外に黒煙が立ち上っているのが見えた。
〇〇「お前…!何をした!」
クレシマ「あなた達は外部の音が遮断されてたから知らないんですねぇ。いいでしょう、見せてあげます。」
クレシマが指をパチンと鳴らすと、空中に大きなモニターが出現する。
そこには…。
燃え盛る、バイオレット学園の各所。
悲鳴をあげて逃げ惑う生徒達。
そして、それを追跡し攻撃する、謎のロボットの軍団。
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バイオレット学園内、本校舎。
生徒「うわぁぁぁぁぁ!!助けてくれぇぇ!!」
生徒「キャァァァッ!!誰か!誰かー!」
生徒達が悲鳴をあげ、逃げ惑い、恐怖する。
まさしく、カオス。
土竜「クソ!こうなったらこいつらを倒してやる!」
跳山「あぁ!やられっぱなしでいられるか!」
生徒「土竜くん!」
生徒「跳山くん!ダメ!そいつらは!」
かつて〇〇と戦った土竜と跳山がロボット達の前に立ち、攻撃体制をとる。
土竜「おりゃぁあ!!」
土竜が穴を掘って地中に潜る。すると…
ピピピッ…
ロボットも地中に潜り出した。
そして…
土竜「うわぁぁぁぁっ!!」
土の中から土竜が弾き出された。
生徒「土竜くん!!」
土竜「クソ…何だあいつら…。俺の…魔法を…。」
跳山「俺が全員吹っ飛ばしてやる!」
跳山が足をバネに変形させて跳躍する。すると…
ピピピッ…
3体のロボットが足をバネに変形させ、同じように強く跳躍する。
あっという間に跳山の上へと飛び上がり、そのまま跳山は空中で3対1でボコボコにやられてしまう。
跳山「ぐあっ!がはっ!うぐっ!」
そして、ぐったりとした跳山が落下し、そのまま地面に横たわる。
生徒「跳山くん!嘘でしょ…!彼強いのに…!」
生徒「みんな逃げろぉぉ!!こいつら魔法をコピーしてはね返してくるぞぉぉ!!」
わあぁぁぁぁ!!キャァァァッ!!
再び逃げ惑う、生徒達。
校内は、地獄だった。
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遥香「これは…!」
クレシマ「素晴らしい!これこそ私が望んだ光景!!」
史緒里「答えてください、あのロボットは何ですか!」
クレシマ「アレこそ!私が作り上げた最高傑作!魔法と科学のハイブリッド!名付けて『マジカロイド』!!魔法を使う自立型アンドロイドです!」
さくら「どうして同じ魔法を…!?」
クレシマ「マジカロイドの魔法は『コピー』です!1度、目にした魔法を分析、模倣し、『オリジナルより少し強い状態』で同じ魔法を繰り出すことができるのだ!!」
美月「厄介な…!」
〇〇「あのロボットはお前の仕業か!!今すぐ止めろ!!」
クレシマ「お断り致します。お、面白い映像が流れてきましたヨォ?」
クレシマがモニターを操作すると、そこに映し出されたのは。
奈央『やだ…!こないで…!』
〇〇の妹、奈央だった。
どうやらロボットの視点から共有しているらしく、奈央はカメラ目線で怯えている。
〇〇「奈央!!」
奈央『助けて、お兄ちゃん…!お願い…!お兄ちゃ…!」
ザザザァ……
そこで映像は途切れ、砂嵐となった。
〇〇「奈央ーーーっっ!!」
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再び、本校舎内。
多くの生徒が逃げ惑う中、一人逆走して走る生徒がいた。
レイ「はぁっ…はぁっ…はぁっ…!」
先ほどまで実況を行っていた、清宮レイだった。
すると、とある生徒とすれ違った瞬間、その生徒に呼び止められる。
??「レイちゃん!!」
レイ「あやめん…!」
あやめ「どうしたの!早く逃げないと!」
レイ「ううん、私、逃げない。やらなくちゃいけないことがあるの。私にしかできないことなの。」
すると、レイは何かを思いついたようにあやめの手を握る。
レイ「そうだ。あやめん、お願い!手伝って!みんなを助けるために!」
あやめ「レイちゃん……わかった。私にできることなら。」
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再び、闘技場。
クレシマ「では私は…っと。」
クレシマは倒れている和を担ぎ上げる。
史緒里「和ちゃんをどうするつもりですか!!」
クレシマ「言ったでしょう、燃料になってもらうんですよ。」
その言葉で、〇〇の血走った目はモニターからクレシマに移る。
〇〇「クレシマァァッ!!貴様ァァァッ!!」
〇〇は瞬時に赤い鎧、『紅身』を纏い、クレシマの元に突っ込む。
だが、クレシマは余裕のある笑みを浮かべ微動だにしないかと思えば、突如クレシマの姿が和ごと消滅した。
〇〇の拳は空ぶりに終わる。
〇〇「待てクレシマ!!井上さんを返せ!!」
史緒里「瞬間転移魔法…!一体どこに…!」
遥香「皆さん見てください!下です!」
遥香が大声を上げると、全員が下を向く。すると、〇〇達の立つ真下に、大きな魔法陣ができていた。
美月「召喚魔法陣…!それもこんなに巨大な…!これもクレシマの仕業なの…!?一体何を召喚するつもり…!?」
史緒里「全員退避!魔法陣の外へ!!」
史緒里の鶴の一声で全員が魔法陣の外へ退避する。
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ここはどこかの内部。
クレシマはぐったりとした和を何かの機械に括り付ける。
クレシマ「さぁ、お仕事の時間ですよ、井上さん。」
クレシマが機械を起動させる。
ウィーーーーン……
和「…!?…うあああああぁぁぁっっ!!」
機械のコードが和に巻き付き、作動し始める。
和は悲鳴を上げて苦しんでいた。
クレシマはその様子を見てにやりと笑うと、『操縦席』へと移動した。
クレシマ「ふむ、先ほどの戦闘で魔力はそれなりに減っているようですが…。絞り出せば問題ないでしょう。さぁ、ついにこの力を世に知らしめる時です!いでよ!!」
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召喚魔方陣から、ズズズ…と何かが出現する。
その巨大さに、○○たちは息をのみ、それを見上げる。
そして、その姿が完全に顕現する。
○○「な、何なんだよ、これ!?」
「星は微かに光り」
第10話
終
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