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「目が覚めたら乃木坂4期生の○○でした」 第8話

目が覚めたら体が女に、しかも乃木坂4期生になっていた××(現世名:○○)は、お見立て会へのレッスンを終え、遠藤さくらと共に帰路についていた。

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遠藤「着いたよ〜」

そう言われて振り向いた先には一つのマンションがあった。

○○「今朝私はここから出てきたのか…。」

○○「言われてみればこんな感じだったような…?」

遠藤「部屋まで送るよ、何号室かわからないでしょ?」

○○「ありがとう、助かるよ」

エレベーターに乗り4階で降り、やがて遠藤は一つの部屋の前で立ち止まった。

遠藤「○ちゃん、ここ、ここ!」

○○「え、あ…。」

○○は慣性の法則の如く数歩進んでしまい慌てて戻る。

○○「406号室…。」

遠藤「じゃあ私はここで」

遠藤「近所にいるから、何かあったらいつでも呼んで?」

○○「あ、うん、ごめんね、ありがとう」

遠藤「バイバーイ」

手を振って去っていく遠藤はやがて曲がり角で見えなくなった。

××(優しい子だな…知ってたけど)

ポケットから鍵を取り出し差し込むと確かに扉は開いた。

○○「ただいま…」



××(といっても誰もいないか…。)

電気をつけてみれば確かに今朝自分が目覚めた部屋だ。

漁り倒した服や物が散乱しっぱなしになっている。

もし遠藤が心配性で部屋にまで入ってきてたら空き巣にやられたと勘違いしそうなレベルだ。

《数十分後・風呂場》


○○「今日という日は物凄く長かった気がする…。」

そんな独り言を呟きながら、念入りに体を洗う。

自分の体ではないのだから禊にはより一層の気を使う。

何より今日のレッスンで汗をかいているので、少しでも不潔があってはならない。

××(髪なっが…。)

××(やっと一息つくことができた…。)

○○は湯船に浸かりながら、自分が陥ったこの現象について考えていた。

なぜ自分にこんなことが起きたのか。

元のこの体の持ち主の魂はどこにいったのか。

或いは自分の中で眠っているのか。

この世界に×× ××という人間は存在しているのか。

存在していた場合、肉体は違えど自分が二人いることになる。

存在していなかった場合、自分の周りの人間はどうなっているのか。

その線で行けば、むしろこの○○ ○○という人物は自分の知ってる世界にはいない。

乃木坂4期生は16人だ。

○○という17人目がいる事で、少なからず自分の知る歴史とは違う世界が紡がれていくのは間違いないだろう。

今はまだ未来を知ってるが故に対処できることしか起きていないが、今後自分の知らない事態に遭遇した場合、対応が出来るだろうか。

自分は、何故この世界に存在しているのだろうか。

答えは、出なかった。

"この風は どこから来たのと

問いかけても 空は何も言わない"

気がつくと○○は歌い出していた。

××の頃に乃木坂に没頭するあまり、考えることに疲れると無意識に歌って忘れようとする癖ができていた。

この歌は未来の歌だ。

今この時代の時点では、この曲は生まれていない。

今の自分にこの曲を聴く術はない事を知り、またため息をついた。

風呂から上がると、洗面所の鏡に映った自分が視界に入った。

今朝××に女になっていることを思い知らせたあの鏡。

あの時開けた扉は洗面所への扉だった。

○○は改めて自分の姿を見た。

鏡には自分の裸体が映っている。

やはり、特に性的な何かを感じることはなかった。

まぁ、己の裸体にいちいちそういった変な感覚を抱いていたらそれはそれで問題があるが…。

丸みを帯び、男の頃に比べ体毛が少なく、なかったものがあり、あったものがない、自分の体。

その身体に今度は服を着ていく。

先ほど服を脱ぐ時に下着姿になって初めて、自分が女性物の下着を身につけていたことを知った。

そういえば今朝は下着までは着替えなかった。

不潔なことをしたと反省する。

だが、それ以上に…

××(落ち着かない…。)

引き出しから出した別の下着を身につけて、そんな事を思う。

まるで自分は変態じゃないか、と。

女性である自分が女性ものの下着を身につけるのは至極当然の事だが、残念ながら今の○○の中身は××(男)。

そんな××は自分の意思で女性物の下着を身につけることにかなりの抵抗があった。

もっとも、その抵抗は目に見える光景となることはなく、側からみれば普通の着替えの光景でしかないが。

着替えを終えた○○はタオルを被って居間へ移動した。

××(髪が長い…。)

××(洗うのも時間かかるし、乾かすのにも時間がかかる…。)

イライラしてタオルでわしゃわしゃと頭を擦るが、水分はあまり取れない。

ソファへと座り込み、タオルと自然乾燥で髪を乾かした後、洗面所で今度は念入りに櫛で髪を梳かす。

今度は賀喜やみんなに髪質を指摘されないようにしなくては。

満足のいくまでストレートに髪を梳かすと、ヘアゴムで髪を結び、再びリビングに戻った。

今朝時間がなくて出来なかった自分についての情報収集を、始めなければ。

「目が覚めたら乃木坂4期生の○○でした」 第8話 終

第9話に続く

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第2話ぐらいに出てきた鏡が洗面所のものであるという描写を忘れていたことに気づき、慌てて今回描写をしました…。

ちなみに今回出てきた歌は「風のゆくえ」という歌で、現実に存在します。
乃木坂の歌ではないんですけどね。
よろしければ是非お聴きください。妄想が少し膨らむ、かも?

あと、今回メンバーはほとんど登場しませんでしたが、物語の都合上描写しなければならないことがいくらかあるので…。ご理解を…。

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