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「目が覚めたら乃木坂4期生の○○でした」 第19話

ある朝、目が覚めると女の体、しかも乃木坂4期生の17人目になっていた✕✕(現世名:○○)。4期生紹介で生田岩本ペアにさんざんな目にあった○○に、今日も仕事がやってくる。

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今日も○○は車に揺られる。

今日の仕事は「運動をするので運動着を持ってきてください」とのお達しの下、ジャージを持参していた。

今日は何をするのか、と思ったのも一瞬、✕✕はその内容に心当たりがあった。

4期生体力テスト回。

事前に幾らかの種目を測定した後、スタジオでもまたいくつかの種目を行った、あの回。



案の定、車はどことも知れぬ運動場の前で止まった。

そこで待っていたスタッフの人の指示の下、着替えを指示される。

更衣室で着替えを済ませた後、外のグラウンドに集められ、概要が説明された。

案の定、体力測定だった。

しかし、○○含め、4期生一同は別の箇所に意識が行っていた。

○○「…なんで雪原?」

そう、運動場の周辺は雪、雪、雪。

まるでどれが石灰やラインでどれが雪なのかわからなくなるほどに、視界に映る光景は真っ白だった。

そういえばオンエアの時、設楽さんが「どこで測定してんだよ!?」と驚いていたのを思い出す。

そして、晴れてるとはいえ身の回りがこれなので。

矢久保「さささささ寒い…!」

早川「ジャンパー持ってきててよかったけど、それでも結構…。」

北川「ハァ~…。」

北川は手に息を吐いて暖を取っていた。

寒がっている者もいれば、意外と平気そうな者もいる。

かくいう〇〇はと言えば…。

〇〇「まさかここまで寒いとは…。」

遠藤「〇ちゃん、大丈夫…?」

○○は前日に自宅の引き出しを漁って、やっと見つけたジャージを持ってきていた。

全体的にメッシュ素材の、通気性がいいやつ。

他はシャカシャカと音が鳴るような素材のジャンパーや緩めのトレーナーなどを着ていたが、○○、もとい✕✕は、〇〇にとってどれが運動用に使う洋服なのかを把握していなかった。

そのために、明らかに運動用であろうジャージを持ってきたのだが…。

今、○○はガタガタと震えている…。

金川「〇ちゃん、平気?上着貸そうか?」

○○「悪い、恩に着る…。」

金川(口調が変になってる…?)

いつもなら女子、しかも金川紗耶から上着を借りるには抵抗があると断っていた○○だろうが、今回ばかりは健康には変えられないので、ありがたく申し出を受けることにした。

説明が終わり、軽く準備体操をした後、早速測定に取り掛かる。

と言っても、外で測るのは50m走のみで、あとは中種目。

順番に測っていく4期生たちだが…。

✕✕(北川、遅くない…!?)

いや、オンエアで北川のタイムがかなり遅いのは知っていた。

だが、生で見ると、その遅さに✕✕は改めて驚かされていた。

矢久保「~~~~!!」

✕✕(なんじゃあの走り方…!遅いし…。)

掛橋「私50m走得意なので!」

✕✕(あれ、でも掛橋って…。)

スタッフ「10秒!」

✕✕(ですよね…。)

まぁ、こんな調子の中、柴田や早川、清宮は好成績を残していた。

✕✕(さすが、運動組。)

スタッフ「次、○○さーん!」

○○「あ、はーい!今行きます!」



そうして迎えた、○○の測定の順番。

軽くまたストレッチを行う。

〇〇「そういや、この体がどこまで動けるのか測った事なかったな…。」

○○「…よし!」

スタッフ「準備いいですか~!」

○○は手を挙げて返答する。

スタッフ「位置について~…よーい…。」

ピーッ!!

○○は全力で走った。

✕✕(足は軽いけど、筋肉がないのか踏み込みがうまくいかない…!)

そしてゴールイン。

スタッフ「8秒42!」

○○「え、8秒?」

すると、4期生たちが集まってきて盛り上がる。

田村「わ!〇ちゃんやっぱり速ーい!」

柴田「でもゆなのほうが速いもんね~!」

賀喜「大して変わらないでしょ~?」

と、みんながワイワイとする中、当の○○は不服そうだった。

遠藤「〇ちゃん、どうかした?」

○○「いや~、タイム落ちたな~と思って…。」

遠藤「前はもっとタイムよかったの?」

○○「そうそう、高校の頃はもっと…、」

遠藤「ん?高校の頃…?今も高校生だよね?」

それを聞いて○○は慌てて口をつぐむ。

他の4期生たちは、聞こえてなかった者もいれば、聞こえていたようでポカンと疑問を浮かべている者もいる。

○○「こ、高校1年の頃、ってことだよ!ちょっと言い間違えちゃってさ!」

遠藤「フフッ、何それ面白い。」

田村「だったら普通1年の頃って言わない~?」

早川「もしかしたら年齢詐称してるんとちゃう?」

田村「アハハ…なにそれ不正加入~?」

4期生「アハハハ………!」

自然と話の流れが笑いに持っていかれる。

○○にとっては不幸中の幸いだった。

○○「やだぁ、ちゃんと実年齢だからぁ!ハハ…。」

✕✕(やっべぇ…。危なかった…。)


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続いて一同は体育館の中に入り、屋内種目の測定に入った。

体育館の中は外よりはある程度暖かかった。

もしかしたらヒーターでもつけていてくれたのかもしれない、などと感じた。

○○「あったかい…。」

スタッフ「じゃあ、まずは反復横跳びから測定します!」


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中種目は、反復横跳び、走り高跳び、一人ボールレシーブ、バンブーダンス、ラダートレーニングの5つ。



反復横跳び。

✕✕(本当に懐かしいな、この動き…。)

反復横跳びのような動きは、学生時代以降めったにしない。

それに、学生時代は体力テストという単元のもと億劫に臨んでいたが、今はどこか楽しく、すがすがしく臨むことができていた。

✕✕(俺が味わうことのできなかった『青春』って、こういうことなのかな…。)

スタッフ「○○、49回!」

4期生「おお~…。」

ここでも○○は好成績を残した。

どうやら機敏性も悪くないらしい。


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《棒高跳び》

掛橋は棒を跳…ぶまえに棒に突っ込んだ。

○○「え、さやか今跳んだ?」

掛橋「跳ぼうとしたもん!」

○○「え、あ、そう…。」

そして○○の番。

××(跳躍力…。)

××が○○になった時、その体の身軽さに驚いたものだが…。

××(…よし!)

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××(棒落ちるな!落ち…なかった!)

スタッフ「○○、120cmクリア!」

早川「うそ!」

田村「かっきーの115cmを超えた!」

賀喜「○ちゃんすごい!」

4期生達からは称賛の嵐。

○○「この体、ホントに軽いな…。」


○○:走り高跳び:120cm。


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《1人ボールレシーブ》

北川「あっ…おっとっと…。」

○○「あぁ高い高い!いや今頭でバウンドした!」

と、ツッコミどころの多い1人ボールレシーブをする中…。

○○の番。

スタッフ「よーい」ピーッ!

○○「よっ!」

ポンッ。

××(あれこいつ力弱っ!?)

××ならこの程度の力の入れ具合なら結構上まで上がったはずなのに。

今は頭よりちょっと上までしか上がってない。

○○「え、あっとっ!よっ!?」

筒井「あれ?○ちゃんボール苦手なのかな?」

北川「なんか、力の入れ具合がわかってない感じ…。」

筒井「…ゆりちゃんがそれ言う?」

○○「あ、待ってやばっ!」

××(手元が狂って…!)

バコン!

カメラマン「ごふっ!?」

○○「あ…。」

○○がレシーブ、いや、スパイクに近い形で力を込めたボールは、カメラマンの顔面にクリーンヒットし、その拍子に立てかけてあった固定カメラを薙ぎ倒す結果となった。

○○:一人ボールレシーブ・13回。


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《バンブーダンス》

トントントントン。

スタッフが軽快に竹を動かす。

このリズムに合わさるように飛び込んで飛ばなきゃいけないわけなのだが…。

早川「命預けられない…。」

○○「いや言い方。」

怪我をしそうだと察知した早川は飛ぶところまでいかずリタイア。

早川「3回目くらいからお願いしまーす…。」

そんな中、○○はと言えば…。

トントントントン。

○○「…。」

トントントントントントントントン。

○○「…………。」

トントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントン。

○○「…ギブ!!」

金川「えええーーーーっ!?!?」

○○:バンブーダンス:記録なし。

××(動体視力はそこまで変わらなかったかぁ…。)

しかし、バンブーダンスはここで終わらなかった。

○○が息を整えて4期生たちの列に戻ろうとした時。

スタッフ「次、掛橋~。」

✕✕(あれ、掛橋ってさ…。)



✕✕(このバンブーダンスで、派手に転ぶ…!)

○○はすれ違った掛橋の腕をつかんで引き止める。

掛橋「ん?どうしたの○○?」

○○「あー…。やめておいた方がいいかも?」

掛橋「ん?なんで?」

○○「え、えーっと…。」

✕✕(どうする、どうする…。)

○○「あれやばかったよ~?」

掛橋「え?」

○○「よーく見てみ、あれ。」

掛橋「ん。」

○○「あれをリズムに合わせてずっと飛び続けるんだよ?」

掛橋「うん…。」

○○「本当にできる?」

○○「少しでも間違ったらやばいよ?」

○○「これから乃木坂なんだから、体は大事にしないとじゃない?」

掛橋「…そうかも。」

スタッフ「掛橋~?」

掛橋「すいません、私リタイアで!」

スタッフ「えっ!?」

○○「よしっ!」



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《ラダートレーニング》

北川「あれ、こうして…。」

賀喜「あ、戻った。」

北川「?」

遠藤「進んだ。」

北川「…?」

賀喜「あ、また戻った。」

北川「人生ゲームみたいになっちゃいました…。」

スタッフ「あー…ちょうど終わらなくて?」

北川「はい…。」

それを遠巻きに見る4期生。

田村「やっぱり悠理ちゃんって独特だよね…。」

4期生たちの新鮮なリアクションに、✕✕はどこか違和感を覚えつつも、ほほえましい気持ちになる。

✕✕(こうやってみんなそれぞれのキャラクターに慣れていくんだろうな…。)

スタッフ「次!○○!」

○○「あ、はーい!」


○○のジャンプ&バックも問題なく終了。

しかし…。

○○「ジャンプ&バック…。あれ、確かあのときさ…。」

✕✕(掛橋、また転倒するんじゃなかったっけ…。)

それを思い出し、辺りを見回すと、掛橋がいない…。

○○「あれ、さやかは!?」

早川「ん?さやかなら今測定中やで?ほら。」

早川が指す方を見ると、掛橋がラダーの上を大きくぎこちなく跳ぶ掛橋の姿があった。

掛橋「よっ!…あっ!」

そして、ラダーに足を滑らせて転ぶ…

ガシッ!

…前に○○が掛橋の腕を支えて転倒を阻止した。

○○「ふぅ…セーフ…!」

掛橋「○…ありがとう。危なかった…。」


遠藤「危なかったね…。さやかが転ぶところだった。」

田村「よく事前にあれを察知できたよね…〇ちゃん凄い!」

賀喜「…。」

清宮「ん、かっきー、どうかした?」

賀喜「いや…。」

怪訝そうに首をかしげて○○と掛橋の方を見つめる賀喜の視線に、二人は気づく由もなかった。



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スタッフ「以上で測定終了でーす!お疲れさまでしたー!」

4期生「ありがとうございました!」

マネージャー「じゃあみんな着替えて車乗って!来週はスタジオでも運動するから、しっかり体を休めてね!」

4期生「はーい!」

柴田「〇ちゃん好成績だったね?」

○○「いやぁ、そんなことないよ。せーらとかかっきーだってなかなかだったじゃん。」

早川「一応バレエとかやってたしなぁ。」

賀喜「うん、私もバスケちょっと前までやってたから。」

田村「やっぱり運動できるキャラだってわかるとそういう仕事たくさん来たりするのかなぁ。」

○○「そこまで深く考えなくてもいいんじゃないかな、多分。」

遠藤「とりあえず疲れた…。」

賀喜「だね…帰ろう。」

この時、4期生たちは知らず、✕✕は忘れていた。

今回の体力測定は運動音痴をあぶりだす企画なので、出来ない人ほどオンエアに使われる率が高く、逆に優等生はあまりオンエアには使われないということを…。







○○「で。」

遠藤「zzz…。」

賀喜「んん…。」

送迎車、車内。

右肩に遠藤の頭、左肩に賀喜の頭。

✕✕(こうなるのね………。)

○○は緊張で一睡もできませんでした、とさ。




第19話 終

続く




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まずは、更新が遅れて申し訳ありません…。

リアルの方が多忙でした…。

加え、ネタがあまり浮かばないのもあり、何とか書き上げましたが、どうでしょうか、全体的に話が薄くなったりしてませんでしたでしょうか…。

というか、元々どんな感じで書いてたっけな、これ…。要領が…。

まぁ、今回はスタジオ編の前座のようなものなので、次回はもう少し濃く書く、予定です。

ではまた。アディオス。



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