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「目が覚めたら乃木坂4期生の○○でした」 第9話

目が覚めると女に、しかも乃木坂4期生の17人目になっていた××(現世名・○○)は、レッスンを終え帰宅した後、自分についての情報収集を開始した。

まず引き出しからは学生証を見つけた。

「○○ ○○
生年月日2001年×月○日」

偶然にも生年月日は××と同じだった。

××(ということはこの○○は同い年か…。)

2001年組。

××の生まれた年の組であり、他には遠藤さくらや賀喜遥香、先輩の久保史緒里、他数名などが挙げられる。

××は元々自分と彼女らとの人間としての充実度の差に嫉妬して生活していた。

××(いや、今はそんなこと思い出してる場合じゃない)

学生証に記載された学校名を見ると「都立」とある。

だが検索してみると、都とは名ばかりの、都心からはかなり離れた辺境の地のようだった。

××(ということは、乃木坂に入る前に通ってた学校か…。)

××(ここで一人暮らしをする前の元の家も、この地域の方かもな…。)

押し入れには卒業アルバムや当時の思い出の品と思われる物が、学生鞄に詰め込まれた状態で見つかった。

勿論、××にその記憶はない。

居間の引き出しに入っていたのは通帳と銀行のカードだった。

××(げ、本格的に空き巣みたいな感じに…。)

××(ん、待てよ…?)

××(俺もしかしてこれから乃木坂としての給料が入ってもカードの暗証番号わからないからお金おろせないんじゃ!?)

背筋に冷や汗が走る。

死活問題である。

××(ん…?)

引き出しの天井に当たる部分に何かの切れ端が見えた。

手に取ってみると付箋だった。

そこには…

『銀行・パスワード※※※※※※

クレジット・暗証番号※※※※』

××(不用心!!助かったけど!!)

寝室の引き出しを開けると…。

××(うわっ!!!)

中身を見た途端すぐに閉める。

××(大丈夫、これは自分のもの…。)

再びそーっと引き出しを開ける。

そこに入っていたのは、大量の下着。

本来なら現行犯逮捕だ。

××(でも、綺麗に整頓されてる…。)

それらの下着は全て上下セットのようで、組み合わせで整ったしまい方をされていた。

××(几帳面なところもあるらしい…。)

どうりで賀喜達の今日の身だしなみに対するリアクションにも納得がいった。

下着をこんなしまい方をする人があんなワイルドな組み合わせの服装はしないだろう。

××(銀行のパスワード管理は甘かったけど…。)

さて、ここからは今朝忙しくて開けなかったあと二つの扉だ。

○○の部屋には四つの扉があり、一つは寝室、一つは洗面所・浴室である。

残り二つの扉のうち一つは…なんて事はない、お手洗いだった。

となると残り一つは…。

ガチャッ

扉を開けて電気をつける。

部屋には机と本棚、カーペット。

ドラマとかでよく見た女子高生の部屋に似ているが、ベッドなどが無いので、どちらかといえば…、

××(勉強部屋兼書斎ってとこか…。)

本棚に入っているのは、学校の教科書や参考書、いくらかの小説があった。

本棚を調べようと思ったが、これだけで日が暮れそうだと思った××は、それを後回しにして扉を閉めた。

次にスマホを見た。

普通のスマホにあるブラウザなど基本的アプリは勿論、簡単なアプリゲームが数個がホーム画面に並ぶが、重要なのはそこではない。

メッセージアプリを開く。

そこには自分の知らないいくつもの名前と四期生みんなの連絡帳があった。

直近の連絡は全て4期生からのものだ。

📱矢久保「お菓子美味しかったよ!ありがとう!」

📱○○「良かった!また何かあったら買ってくね!」

何気ない会話だ。

この他にも他愛のない話や、ちょっと○○の元の性格が読み取れるようなトークが幾らかあったが、今は割愛する。

電話帳をスクロールする。

当然だがメンバー以外に知ってる人はいない。

多分大半が今までの人生で得た学校の友達だろう。

だが、電話帳に載っていた名前の一つに目が止まる。

《お母さん》

《お父さん》

くどいようだが、このお母さんもお父さんも、言うまでもなく××の母ではない。

自分はこの○○の母親に何と言えば良いのだろうか。

私は未来から来て娘さんの体に入っています、なんていったところで信じてもらえるはずがない。

いや、信じてもらえたとしてその先にあるのは修羅場だ。

自分だって家族がそんな状況になれば怒り狂う。

娘の魂はどこへ行った。

娘の体から出て。娘を返して。

そんなふうに責められるだろうか。

或いは泣き崩れたり発狂してしまうだろうか。

…隠し通さねばなるまい。

だが、隠し通せるだろうか。

相手は立場上親だ。

メンバーよりも○○の個人的なゾーンに踏み込む権利がある。

そんな事を考えていると、携帯が突如鳴り始めた。

突然の着信に驚いた○○は危うく携帯を落としかける。

電話だ。

そしてそこに表示されていた名前は、


《お母さん》


だった。

「目が覚めたら乃木坂4期生の○○でした」 第9話 終

第10話に続く

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まだどこか埋めきれてない設定がある気がする…。
何なら今後の展開で矛盾生まれそう…。

次回からまたメンバー出てきます…。

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