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「目が覚めたら乃木坂4期生の〇〇でした」 第28話

ある朝、目が覚めたら女の体、しかも乃木坂4期生になっていた✕✕(現世名:○○)。その正体が賀喜にバレそうになったものの、何とか回避。
23枚目シングルに収録される個人PVも撮り終えた○○は次なる舞台、「Sing Out!発売記念ライブ」に臨む。

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「Sing Out!発売記念ライブ」は三日間、アンダーライブ、4期生ライブ、選抜ライブに分かれて行われる。

言うまでもないが、今回○○が参加するのは2日目、4期生ライブの日だ。

今回のライブの会場は、横浜アリーナ。

4期生ライブはお見立て会以降二度目だが、今回は規模が大きく違う。

「本当に埋まるかな?」

これが4期生たちみんながまず初めに抱いた疑問だった。

だが…。

○○「完売!?」

スタッフ「そうです、今回の4期生ライブ、先日一次抽選が締め切られましたが、すでに定員を超えています。なので、すでに満員は確定しています。」

マネージャー「つまるところ、あなた達は加入して数か月にもかかわらず、そのぐらい期待されているということです。」

しんと静まり返る。

マネージャーの話に真剣に耳を傾けているのか、それとも緊張のあまり生まれた静寂なのか。

スタッフ「そして今回は、全員1人一曲以上、センターを務めてもらいます。」

4期生「「えっ…。」」

スタッフ「まさか自分は一生センターをやることなく端っこにいるとでも思ってた?」

早川「いや、そういうわけやないんやけど…。」

北川「自分が真ん中って、考えたことなかったし、急すぎて…。」

スタッフ「今後のグループの在り方を考えた時、あなた達一人一人を堂々と真ん中に立てる優秀な人材に育てる必要があります。それに、一部のメンバーにセンター経験を偏らせるわけにもいかない。」

4期生たちは息をのむ。

先日、西野七瀬を含めた計5人もの先輩がほぼ同時に卒業した現在、スタッフの言うことは大げさでも何でもない。

そして、自分たちが在籍している中で起こりえる展開を大体察したのである。

スタッフ「だれがどの曲をやるかはまた後で資料のセトリのページで説明します。」

矢久保「さくちゃんとかお見立て会でセンターをやった人たちははともかく…。」

金川「私たちがセンター…できるかなぁ。」

○○「…。」

✕✕(もちろん俺も、だよな…。)

✕✕(俺がセンターか…考えたこともなかったし、想像つかないな…。)

そこでふと気づく。

またみんなの顔が曇っている。空気が張り詰めている。

どうにかしなければ。

○○「みんな頑張ろう!不安かもしれないけど、何事も経験だし、絶対に成長できる!センターは一番人目につくのはそうだし私も怖いけど、独りになるわけじゃない!練習やリハーサルで隣や後ろからアドバイスしあって支えあえば本番も怖くなくなるよ!」

早川「…うん、〇ちゃんの言う通りやな!」

矢久保「私も、がんばる!」

田村「よーし、みんなでこのライブ成功させるぞー!」

4期生「「おー!!」」

スタッフ「…○○、みんなを鼓舞してくれたのはいいけど、まだ説明の途中だよ?」

○○「…あっ…。すいません…。」

マネージャー(みんなの顔色を見て、気にかけ、声を上げることができる。○○、17歳とは思えないほど周りがよく見えてるし優秀な子かも…。)



スタッフ「ではセトリの方、今回はスタッフで既に組んであります。曲名の横に名前が書いてあるのがその曲の時のセンターです。」

6.世界で一番孤独なlover(○○)
7.ガールズルール(賀喜)
8.裸足でSummer(掛橋)
9.帰り道は遠回りしたくなる(筒井)
10.いつかできるから今日できる(柴田)
11.ハルジオンが咲く頃(北川)
12.ジコチューで行こう!(清宮)
13.バレッタ(矢久保)
14.命は美しい(田村)
15.シンクロニシティ(遠藤)
16.サヨナラの意味(金川)
17.太陽ノック(早川)

○○「えっ…私センター曲パートのトップバッターなんですか!?」

スタッフ「そう。スタッフ内でそう決まったからね。今回のライブのセンター曲パートは○〇から順々にスタートしていきます!」

スタッフ「センターのメンバーは出だしをはじめソロパートも多めに取られてるので、気を引き締めて臨んでください!」

スタッフはそういうと、○○のところまで歩いてきて肩をポンとたたく。

スタッフ「トップバッターはスタートダッシュを担う大事な役割。任せたよ。」

○○「えっ…。」

✕✕(なんでここでプレッシャーかけてくるのぉぉ!?)




こうして、ライブに向けた練習が始まった。

「世界で一番孤独なlover」といえば、メンバーのクールでアンニュイな表情が名物。

なのだが…。

〇〇「クールな表情ってどうやるのー!?!?」

○○にはそれが難題だった。

○○「こんな感じかな…?」

金川「うーん、どちらかというと暗い表情って感じに見えるかな…。」

○○「こ、こうかな…。」

柴田「なんか、クールというより邪悪…。」

○○「こ、こう…?」

北川「親御さんの仇でも見つけた?」





○○「…………il||li_| ̄|○ il||li ズゥゥゥン…」

遠藤「○ちゃん落ち込んじゃった…。」

北川「ごめん、言いすぎちゃったかも…。」

賀喜「ほ、ほら!まだ時間はあるんだし、〇ちゃんもこれから表情を練習していけばいいじゃん!」

○○「あい…。」



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その後も他の披露曲の振り入れや練習。

中でも難しいのが…「きっかけ」。

ファンから絶大な人気を誇る曲であり、同時に、歌唱力が問われる曲である。

下手な歌を披露すれば目立ってしまう。

○○はボイトレに力を入れつつ、この「きっかけ」も一つ課題だと考えていた。

○○「決心のきっかけは理屈ではなくて~♪」

講師「○○、声量が足りてない!」

〇〇「いつだってその胸の衝動から〜始まる〜♪」

〇〇は腹に力を加えて声量を強くするが、講師の顔はあまり芳しくない様子。



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講師「今日はここまで!各自次回に備えておくように!」

4期生「「はい!お疲れ様でした!」」

〇〇「…ふぅ…やるかぁ…。」


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♪〜

キュッ キュッ タンッ

〇〇「ななめから降る雨に打たれ…」

1人になったレッスン場。

1人自己練習に励む、〇〇。

〇〇「傘を差しててもずぶ濡れになる…」

時折音源を止めてはノートに何やらメモを書き、巻き戻して同じ場面を始める。

〇〇「恋は2人じゃなきゃ始まらな…」



早川「…やっほ♪」

〇〇「うわぁぁぁぁぁあっ!?!?∑(゚Д゚)」

早川「ちょ!そんなお化け見たみたいなリアクションせんでも…!」

〇〇「いつから!?いつからいたの!?」

早川「うーん…○ちゃんが『よし!始めよ!』って呟いたあたりから!」

〇〇「最初っからーーーーー!!!😨」



〇〇「見てたなら声かけてよ恥ずかしいじゃぁん…///」

早川「ごめんごめん!にしても真面目やねぇ、みんないなくなった後で1人練習なんて。残業代はでぇへんで?笑」

〇〇「残業代のつもりでやってないわ…笑。でもまぁ、練習しないとヤバいかなって。講師にも注意されちゃったし〜?」

〇〇は上を向いて言う。

早川「○ちゃんは物事に熱心なんやねぇ。ええことやん。」

〇〇「…。」

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部長「おい!××、まだ練習中だぞ!どこへ行くんだ!」

××「先輩、俺バスケ部辞めます。」

××はそのまま歩き去る。

部長「やめ…!?おい、××!!」

××「はぁ…俺ってホントダメ人間。」

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〇〇「そんなことないよ。高校の時部活も長続きしなかったし。」

早川(高校の時…?今も高校生やんな…?転校前のことやろか…。)

〇〇「昔っからホントダメ人間でさぁ…。でもなんか、今はこう、心機一転っていうか、なんかやってみようかなって思えるんだよね。…ハハッ、やりたいものだけ熱心になって、そのほかはほっぽり出して…都合良すぎかな。」

早川「そんなことないんとちゃう?」

〇〇「?」

早川「それだけ乃木坂の活動がハマったってことやん。○ちゃんにとって乃木坂に入るのは運命だったってことやん!そんだけやる気になれる何かに出会えるって素敵なことなんやで!いくらでも頑張りや!せーらも側で応援するから!」

〇〇「せーら…。ありがとう、やってみるわ。よいこらせっと。」

早川「…前から思っとったけど、○ちゃん、時折所作がおじさん臭いで?」

〇〇「なっ…まだ17だぞ!」

早川「いや、突っ込むとこそこちゃうやろ!笑」

〇〇「あぁ…あ〜…そ、そうだよね!うん!ごめんごめん!アッハッハ!」

早川「フフッ…!でも練習もほどほどにしときや。明日はロケでしかも早いんやから。」

○○「え、明日ロケだったっけ。」

早川「せやで?明日は富士急ハイランドにいくんやから!」




「目が覚めたら乃木坂4期生の〇〇でした」

第28話 終

続く。


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