見出し画像

「妹のちヤンキー、時々メイド」

〇〇(4歳)「あやちゃん、おいで〜。」

あや(0歳)「んむぅ。」

小さな彩は〇〇に抱えられてそのまま布団に2人で倒れ込む。

4歳の〇〇の小さな体の上に、さらに小さな0歳の彩が乗っかる形に。

〇〇(4歳)「かわいいね〜。あやちゃん。おにいちゃんだよ〜。」

あや(0歳)「んにゅぅ!」

〇〇(4歳)「おにいちゃんだってわかってくれてるのかなぁ。えへへ〜。」

そしてそのまま…。

「○○〜、彩〜、ご飯よ〜…あら?」

〇〇(4歳)「zzz…😪」

あや(0歳)「すぅ…すぅ…😴」

母が部屋を訪ねると、あやは〇〇に抱えられて、そして〇〇はあやを抱き枕にするように、2人して眠っていた。

「あらあら。可愛い兄妹だこと。」パシャッ📷

「この子達も将来は喧嘩とかしちゃったりするのかしらねぇ…。」


────────────────


彩「なんてしながら、昔はよくお兄ちゃんの上で寝たよね!」

〇〇「うん、そうだねぇ…。でもさぁ、彩?」

彩「ん?」

〇〇「俺たち今いくつ?」

彩「あやが16歳で、お兄ちゃんが20歳!」

〇〇「おかしくない?」

彩「何が?あ、センチメンタルジャーニー?」

〇〇「違う。」

彩「あ、お兄ちゃん成人おめでとう!」

〇〇「ありがとう、でもそれも違う。」

彩「んー、じゃあ何だろ?」

〇〇「何で16歳にもなって20歳の兄貴の上に乗っかって寝てるの!?」

時は現在。

今僕の上に乗っかって話しているのは、妹の彩。16歳の高校生です。

そして僕は〇〇。この彩の兄にあたります。大学生20歳です。

彩「えへへ〜…。お兄ちゃんの上って落ち着くんだよねぇ…。」

〇〇「小さい頃からずっとこの状態で寝てたせいで変なクセがついちゃってるんだな…。」

彩「お兄ちゃんが中学生、あやが小学生になってもこうやってあやして寝てたもんねぇ。」

〇〇「いい加減降りなよ…こういうの卒業しよ…?」

彩「お兄ちゃんは…あやのこと嫌いなの…?あやに甘えられるの、嫌…?」

彩が大きな瞳をうるうるさせながら消え入りそうな声で訴えかけてくる。

あぁ…そんな泣きそうな顔で言われたら抵抗なんてできないよ…。

〇〇「ううん、全然!嫌なんかじゃないよ!むしろ全然嬉しいよ!」

彩「えへへ〜あやも嬉しいっ。お兄ちゃん大好き〜!」

見ての通り、妹は僕を溺愛しています。…というか、ちょっとブラコン気味です…。

困り果てている反面、変に嫌われたりするよりはいいかなと思ってるのもまた事実。

それに、彩は一般的に見ても兄という立場から見ても、めっちゃくちゃに可愛いのです。

そんな可愛い可愛い妹にブラコンされてるなんて、正直ものすごく嬉しい。

もしかしたら僕もシスコンなのかも…?


しかし、そんな私たち兄妹に、ある日異変が起こってしまうのです。

彩「うーん、お兄ちゃんにもっと好きになってもらうにはどうすればいいのかなぁ?」


───────────────


ある日のこと。

〇〇「ただいま〜。」

〇〇が帰宅を告げると、彩が玄関まで出てきた。

何故か学ランというか、特攻服を着て。

〇〇「彩…?どうしたのその格好…?」

彩「うるさいっ!」

〇〇「えっ…?彩…?」

彩「おうおう何だその目は!メンチカツ切ってんのか!」

〇〇「メンチカツ切る…?夕ご飯…?」

彩「あれ…?メン…メンチ?だっけ?」

〇〇「うん。」

彩「やいやい!メンチ切ってんのか!」

〇〇「あ、言い直した。」

彩「ヨロシクッ!」

〇〇「…?」

彩「…夕ご飯今作ってるから…。手洗って待っててよね。」

〇〇「唐突なツンデレ!?」

彩はそれっきりプイッとそっぽを向いてリビングへと行ってしまった。

〇〇「えと…何なんだ一体…?」



その日の夜。

〇〇「あーあ、結局彩はずっとあんなヤンキーみたいな性格のまんまだったなぁ…。お友達に何か唆されちゃったのかなぁ。」 

そんなことを呟きながらベッドに腰掛ける。

そしてベッドの下から一つの本を取り出し…。

〇〇「よいしょ。いつもはこの『ヤンキー女の子と恋愛』って漫画読んでたけど、今日の彩を見ちゃうと、今日は読む気になれないなぁ…。」

そこで、○○はふと思いついたように鞄をあさる。

○○「そうだ!そういえば✕✕からメイド喫茶に関する雑誌をもらったんだっけ。あれでも読もう。」

・・・

○○「やべ、もうこんな時間か。このメイド雑誌もあんまり見られたくないから、ベッドの下に隠して、と…。寝よ。」


───────────────


翌日。

再び学校帰りの○○。

○○「またヤンキーみたいなぐれた態度取られちゃうのかなぁ…。」

ガチャン。

○○「ただいま~。」

すると、トタトタと彩が玄関までやってきた。

彩「おかえりなさいませ、ご主人様っ!」

○○「…はい!?」

彩「あっ、お兄様、のほうがお好みですか?」

○○「いやそういうことじゃなくて…。」

彩「お食事の準備はできておりますっ!どうぞこちらへ!」

○○「あ、うん、今行くね…?…(でいいのか?)」

二人がリビングに行くと、そこにはオムライスが作っておかれていた。

○○「てか、お母さんは?」

彩「え~っと、ママはね~…あっ。」

○○「?」

彩「奥様は今夜は仕事で遅くなるとのことです。」

○○(設定守ってる…。)

彩「ほらほら、座ってください。」

○○「あ、うん…。」

○○が半ば強引に座らされると、彩は冷蔵庫へ向かい、そこから何かを取り出し戻ってくる。

ケチャップだった。

彩「今からあーやが、オムライスがおいしくなるように呪文をかけてあげますっ。」

彩はそういうとケチャップでオムライスにハートを描いた。

○○「おお…。」

彩「いきますよ~!」

○○「ん?」

彩「おいしくなーれ、萌え萌えきゅんっ!」


○○「あっ…。」

キュン。

○○(やばい、妹なのにリアルにキュン来ちゃった…。)

彩「ど、どうですか…?」

○○「超かわいい。」

彩「ふえ!?///」

○○「あ!ご、ごめん…。食べちゃうね…。」

彩「う、うん…///」



○○は部屋に入り、ベッドにバタンキューする。

○○「一体どうなってるんだ…。かわいかったけど…。」

ここ数日の彩は何かがおかしい。

○○「昨日はヤンキーで、今日はメイド…。」

○○「ん…?メイ…ド…?」

○○「あーーーーー!!」

○○はベッドの下からメイド雑誌を取り出す。

○○「これだーーー!!」

○○「そうかそうか…だったら…『いいこと』考えた~…。」



----------------------------------------------------

彩「ふんふんふーん、今日は何が入ってるかな~!ヤンキーかな、メイドかな、それとも…ちょっとアダルトな奴だったりして…そしたらどうしよう~…キャッ///」

ガチャっ

彩は○○の部屋へ。

彩「おじゃましま~す…。」

そしておもむろにベッドの下を物色する。

彩「あった!…えっ!?」




----------------------------------------------------


○○「ただいま~。」

彩「お、おかえり…///」

○○「あれ?今日は普通だね?」

彩「う、うん…///」

○○(フフッ、顔真っ赤。笑)

そう、○○が思いついた作戦、そして、彩があの部屋で見たもの。それは…。


----------------------------------------------------

彩は兄の趣味を知り、大好きな兄を喜ばせようと、ここ数日○○の部屋に忍び込んでいた。

しかし、この日彩が見たものは…。

彩『えっ!?』

【妹が可愛すぎて】
【妹に好かれる方法】
【身近な好きな人に気持ちを伝える方法】

彩『これって…お兄ちゃん…///』

----------------------------------------------------


○○「彩?あやー?」

彩「…ふえっ!?な、なに!?」

○○「いや、なんかぼーっとしてるみたいだったからさ。大丈夫?」

彩「だだ大丈夫だよ!?」

○○「もしかして熱でもあるんじゃ…。」

そういうと、○○は彩のおでこに手を当てる。

彩(ひぃ~~~!!!///)

○○「うーん、ちょっとわかりにくいなぁ…。」

○○は自分のおでこを彩のおでこにくっつけた。

彩「~~~~~~~~!!///」

○○「熱はなさそうだね、フフッ…。」

○○はもだえる彩がいとおしくて、つい笑いが漏れてしまう。

彩「ねぇ…お兄ちゃん…?」

〇〇「ん?」

彩「今日…一緒に寝たい…。」

〇〇「いつも勝手に一緒に寝てるじゃん…笑
でも、いいよ?僕も今日は彩と一緒に寝たいな…?」

○○は彩の手をそっと握る。

そしてそのまま恋人つなぎに。

彩「!…め、珍しいね、いつもやめようって止めてくるのに…。」

〇〇「今日はそういう気分なんだよね…なんか、彩がものすごく可愛くて…。…ダメ、かな?」

〇〇は目を潤ませて下から彩の顔を覗きこむようにして問いかける。

彩「か、かわ…!…しょ、しょうがないなぁ…///」

〇〇「誘ってきたのそっちだよ?笑」

彩「い、いいじゃん!そうとなったら、早くお風呂入って寝よ!」

ガタンと席を立ちそそくさと歩き出した彩だが、突如ピタッと立ち止まる。

彩「ちなみにお風呂は一緒には…。」

○○はクスリと笑うと、彩をバックハグで抱きしめる。

○○「いいよ?一緒に入ろ?」

耳元でささやいた。

彩「!!……やっぱりいい~~!!」

彩はピューっとリビングを去ってしまった。

彩がいなくなったリビングで○○は。

○○「フフッ、本には本、ってね。」

リビングにこっそりと隠していた本を取り出す。

『一緒に住んでいる彼女を落とす100の仕草』





しかし、実はこの本にはさっきの○○の仕草の半分しか記載されていない。

それに彩にかけた言葉の内容も書かれてはいない。

つまり、半分の仕草と彩にかけた言葉はすべて○○の意思と本音である。

○○「…僕もシスコンかも…。」

○○も、ここ数日の彩の作戦にしっかり落ちてました。




その日の夜。

彩をしっかりと抱きしめて眠る○○と、○○に包み込まれる彩。

○○「好きだよ、彩…。」

彩「もうわかったからぁ…///」

とかいいつつ、自分の足を○○の足にしっかり絡めて満足そうに眠っていたのは、ここだけの話。



「妹のちヤンキー、時々メイド」 終

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?