見出し画像

だが、勝てないと思ってももう遅い。戦場にいるのだから。
僕はとりあえず透明になった。だが、ほとんど効果がないことは充分承知だ。そんな予感が心のどこかに渦巻いていた。
次には地面に潜っていった。超能力を使えば地面に穴をあけることぐらいお安い御用だ。そして僕の後ろに動かし、彼女が同じ穴から負ってくることができないようにした。

星の中央まで行くと小さな部屋を作った。避難場でもあり、少し考える場所だ。出ていくのも入るのも瞬間移動でどうにかなる。
だが、僕はまだ知らない超能力はある。そしてその一つが気配を消す超能力だ。まだ覚えていない。覚える意味がなかったからだ。だが、今考えれば覚えておいたほうがよかったと後悔する。
自分の知っている超能力で考えた。
「これでどうだろうか」僕はいい考えをした。

瞬間移動で外に出ると落ちている石ころに素手で触った。
準備万端、あとはこの石ころを宇宙高く投げるだけだ。宇宙にめがけて投げると、僕は彼女を待った。
勿論、少ししたら彼女は現れた。だが、手ぶらではない。石ころを大量に持っていた。投げてくる様子もなかったので僕は彼女の目の前に瞬間移動して彼女の胸元に手を置いた。「物理交換」彼女はその場から消え、さっき投げた石ころがその場に現れた。
これでもう帰ってくることができないだろうと思ったが、違った。彼女が殺気持っていた石ころは彼女が返ってくる鍵となったのだった。
そのことに気が付いていない僕はお父さんとバンダイルスを見た。「これで終わりだろう」だが、お父さんは首を振った。「いいや、まだ終わっていないよ」

そのころ、彼女は地球めがけて飛んでいた。「これが目的だったとはね…でも」彼女は手に持っている小石を足元に投げた。思いっきり投げるとちょうど足元まで行き、彼女はそれをけった。
速さは少し消え、何度も繰り返すと動いているのかもわからない速さになった。それからも石ころを下に投げ、それをけり、石ころを投げ、それをけって速度をつけていた。

「いや、彼女は地球めがけて飛んでいるんだからさすがに帰ってくることはできないでしょ、何も速度を緩めるものがないのだから」だが、彼はまだ否定した。「答えはすぐにわかることだ」
彼は空を指さしたので空を見上げた。名にも異変はない。ただ、遠くに白い点が見える。黒くも見える点が。「あれはまさか…」よく見えなかったが、超能力で見ればわかる。彼女だ。
「いったいどうやって…」そう簡単には戻ってくることは無理のはずだ。「彼女の手には何がありましたか?」僕は彼女の手にあったものを思い出した。「でも石ころでどうやって…」
お父さんは僕を見てきた。「足を宙に挙げ、それが落ちる前にもう一つの足を上げる。これを繰り返せば空を飛べるかもしれないという説は知ってる?」僕はうなずいた。「彼女はそれに似た節を使っているのだよ。この世で成功するのが不可能と言われていたことをしているのだ。彼女は」僕は宇宙を眺めた。確かに彼女は不可能なことをしていた。小さな石ころを足場として使っているのだ。
彼女の顔には笑みが浮かんでいた。
「待ってろー、私が戻ってやる!」

ろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!