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また校長先生だ。
「今度は何?」彼は僕のほうへと歩いてきた。
彼は僕の持っていたただの宝石へと無言で手を伸ばしてきた。
僕は後ろに宝石を隠したが、手のひらから何かが消えた気がした。
そこには確かにあったはずの宝石が消えていた。
顔を上げると、そこにはもう、彼はいなかった。
あの宝石はいったい何に役立つの矢はわからなかったので別によかったが、いやな予感がしていた。
そのまま曲がりくねった道を進んでいくと、上る梯子が現れた。
その上には暗闇しかなかったので登るしかないだろう。
登っていくと、てっぺんが見えた。そこまで高くはなかったが、10メートルは上っただろう。
どうやらこの道はゆっくりと下に降りていたらしい。
僕が落ちた時は4mほどしか落ちなかったからだ。
押し開けてみると、その先には校舎庭が見えた。
時々見る場所だが、あまりここらへんにはきたことがなかった。そこまで興味がなかったからだ。
だが、今はここに何かヒントがあるのだと思える。
なので、その周りを探してみたが、何も見つからなかった。
とりあえずその時気付いたことといえば、もう外に出ていたということだ。
『なるほど、そこは忘れていた』彼は少し困ったかのような声で言っていた。
すると、どこかの防犯カメラで僕を見たのか、少し不思議な声で聴いてきた。
『あの宝石はどこ行ったんだ?』僕は周りを見てみると、防犯カメラが見えた。
全く違うところから声が聞こえてくるので、別々においてあるのだろう。
「殺気とって言ったでしょ、校長が」僕は手をパーにして見せた。
すると、校長先生は少し困った声で答えた。何かが確実におかしい。
『とった覚えもないしとる気もなかった。あれは君に渡すものだったからね』
僕は前のことを思い出した。何かがおかしいとも思わなかったが、どうして後ろに隠したのに消えたのかがわからなかった。
彼は絶対に僕の横をすり抜けたはずない。そんな大きさではなかったし、目には自信があるからだ。
だが、からはなくなっていた。
もしも地面に落としたのならば音で気付くはずだ。
彼がとったはずなのだ。だが、彼は持っていないらしい。
僕は考えた。いったいどこで撮られたのか。
その時思い出した。
僕は宝石を後ろぬ動かした。
そのせいで、宝石が視界から消えてしまい、後ろに誰かがいれば簡単に取れてしまうということだ。
ということは考えられるのはただ一つだ。
誰かがこっそりとこの中に入って来たのか、…
このクラスには浦議もがいるのか。
僕はすぐに裏切り者を想像した。
こんなことができるとすればあの筋肉頭と不思議な僕に話しかけてきた少年だけだ。
だが、それ以外にも力をうまく隠している人はいるだろうと思った。
だが、まだ何もわからない。
なので、教室に戻ることにした。
勿論普通に。もう隠せてはいないが、できるだけ隠そうと思ったのだ。
教室に戻ると、まだそこには全員残っていた。
周りを見渡すと全員下を見ている。
その下にはあの少女がまだ残っていた。
顔はひったっていなくて、ぐったりとしている。
普通に疲れただけだろうけど。
周りを見てみると、全員が眺めていた。
そして、もう一つは犯人に1歩近づいた気がした。

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