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速く走りたいので、スピードに極振りしました(55)

「一応いうけど面倒なんだよね、このダンジョンはトいんだよね」カナデはぼそりとつぶやいた。「それを言ったら…」ココミが止めようとしたが、もう遅かった。
「それは私がいるから大丈夫!」私はカナデたちをつかみ、洞窟の中へ入っていった。「だから言ったのにー!」ココミは後悔の叫び声をあげていた。
そのまま進むと、その中には1匹の蜘蛛がいた。「捕食!」私は自分の手を捕食した剣を使って1瞬で切った。その威力は弱かったが、切る速さで蜘蛛が粉々になった。どうやらバグのようだ。
すると、音がした。『捕食者を獲得しました』私は走りながら首をかしげた。「もう捕食者って獲得したんじゃなかったっけ?」『捕食者とはいろいろな種類がある。これはどんな遠距離攻撃でも捕食するよ』
私はとりあえずすごいのだと考えることにした。いまいち意味が分からない。「まあとりあえず進もう!」

少し行くと、今度は1匹の蝙蝠コウモリがいた。「とりゃ!」それも切ることができた。私に引っ張られているココミたちはまるで止まっているかのようだ。
今度は『飛行フライを獲得しました』『おー、これは意外とレアだよ。』私はにっこりと笑った。「それならいいじゃん」試しに使ってみると、背中から黒い羽が生えた。蝙蝠コウモリの羽だ。
初めは操縦が大変だったが、慣れると楽しかった。「いぇーい、それと今はいったい何秒たったの?結構時間がたったと思うけど」『んっとねー、大体0.3秒』私は驚きすぎて一瞬操縦を誤りそうになった。
「ってことは今、私ってほぼ音速で動いてるってこと???」『うん』私はそのまま進んだ。「ここかな」私が止まるとココミたちは空中に吹っ飛んでいった。
「わ~!」ココミは宙返りを数回して着地、カナデは倉庫に飛び乗り、ナギトさんは天井に剣を突き立てて空中にぶら下がり、コナミさんは何かしらのポーションで宙に浮いた。
残りの2人は普通に突っ込み、普通に立ち上がった。「あれ?いつの間に」カナデ、ココミとコナミさんは周りを見て驚いていたが、ナギトさんはほんの少し見えたようだ。
「多分だけどササミがこの一瞬で中に入ったんだと思う」私はその話をほっといて、2人のところに行った。と行ってもほかの人たちからしては瞬間移動に等しい。
「聞くのを忘れていたけど名前は何?」「僕の名前はヒカル、彼女はホノカだ」私は少し考えてから聞いた。「それって本名?」2人はうなずくと、カナデが割り込んできた。
「それはだめじゃないか、このゲームでは本名を使ってはいけない、僕の名前、カナデだって本名じゃない。もしも悪人に見つかったらどうなるかわかっているだろう。って言ってももう遅いけど」
カナデはため息をついてから話をつづけた。「とりあえずそのことは誰にも話さないこと、僕たちは秘密にする必要がある。この2人の人生がかかっている可能性だってあるのだから」
私たちはうなずいた。「でもよくわかったね、それがほんみょうだってことを。どうやって分かったんだい?」私はすらりと答えた。
「いや、私が分かったんじゃなくて花見が予測したの」

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