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運動会は順調にいった。
誰も問題を起こさなかったし、アナウンサーはずっと張り切っていた。
少し張り切りすぎていたと思うけど。
それと、マリナは長距離で軽々と1位を取った。
努力したのか、ほかの長距離選手たちは結構悲しんでいた。
まあ無理もない。彼女は競争ならどれでも最強だから。
来週はどれを取らないといけなくなるのかが楽しみだ。
僕は100メートル走では2位を取った。1位はホノカだ。
本当にどうしてかはわからないが、彼女は速かった。
僕は追いつくことが全くできなかった。
たったの100メートルだから、一度先を越されれば追いつくことは苦労する。
僕は完全に負けてしまった。

「本当に早かったね、アンナ体力、どこで身に着けたんだ?」
僕は聞いてみることにした。
だが、彼女は首をかしげるだけだった。
思った通りだった。
彼女は何も覚えていない。
マリナは僕のところに猛スピードで駆けてきた。
人を吹っ飛ばせそうな速度だ。
「おーい!」彼女は僕の前で急に止まった。
僕は彼女をにらんだ。
「ちょっとは容赦したらどうだ?」
彼女は目をそらした。
「容赦してたはずなんだけどね…」
僕はどうしても突っ込みを入れてしまった。
「あれが!?」僕は前のことを思い出した。
彼女は全員の大体500メートルは先で走っていた。
それでもまだほかの人たちよりも早かった。
「あれで容赦したって言ってるの!?」
僕はもう何も言うことはなかった。
彼女は容赦というものをわかっていないようだ。
僕はホノカのほうを見た。
だが、そこには誰もいなかった。
僕は慌てて周りを見たが、ホノカはどこにもいかなかった。
「ホノカはどこに行ったんだ!?」
すると、マリナが僕の足元を指さした。
「そこ」僕の足元には猫のようにホノカが寝ていた。
僕は彼女を見てため息を深く、深くついた。
「人の足元で寝るなよ…」だが、ぐっすりと寝ていて動くことができなかった。
「まあどうせもう出ることはないしここから見ておくか」
僕とマリナは立っていた場所から皆を見ていた。
あの少女は400メートル走で1位を取った。
マリナと並ぶ速度だった。
それが、マリナからすれば気に食わなかったのだろう。
見なかったが、マリナの方向からすごい暗いオーラを感じ取れた。
彼女の口からは呪いのような言葉が漏れ出てきていた。
「あの…マリナ?」彼女はハッと現実に戻ってきた。
彼女から漏れてくるオーラは一瞬にして消えた。
だが、数分後にはまた戻ってきた。

運動会が終わり、片付けが始まった。
僕も帰ろうとしたが、足をしっかりとホノカがつかんでいた。
はがそうとしたが、びくともしなかった。
マリナに頼もうとしたが、彼女からの答えはおかしかった。
「耳を触ってみたら?」
僕は否定しようとしたが、それ以外に考えることがなかったのでそれを実行するしかなかった。
そろそろと彼女の耳に手を近づけるとほんの少しだけ触れた。ほんの少しだけ。
だが、彼女は獣のように飛びのいた。「シャー!」彼女は猛獣のようだった。
すぐに現実に戻ってきたホノカは眠そうな目で周りを見た。
そして、目を手でこすった。
「「獣だ…」」

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