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「頼みたいことがある。この壁をぶち破ってくれる?」壁の前に来ると、彼の方向を向いた。
彼は首をかしげたが、壁に触れた。すると、壁にひびが入り、彼が軽くたたくと崩れ落ちた。
「これでいいか?」僕は頷いた。
やはりその先には通路があった。
僕はそのまま中へと入っていった。
「やっぱり君が初めに来ると思ったよ」そこにはやはり校長がいた。
いったいどうやってあちらこちらに動き回るのかはわからないが、そんなことはどうでもいい。
気付けばあの筋肉頭は消えていた。
どこに行ったのかはわからないが、そんなことはどうでもいい。
僕が求めるのは面倒なことを避けながら日々を過ごすことだ。
だが、校長は計画の天敵だ。僕は彼が一番厄介だった。
他にも厄介なのは数人いるが、彼ほどのは今のところいなかった。
「ここを通りな」彼は壁際によった。それはいい予感など一切湧かない。
湧くのは嫌な予感だけだ。「結構、あなたの後ろをついていくわ」それを聞き、彼は眉を細めたがそれについては何も言わなかった。
「そうか、それならついてくればいい」彼はそのまま歩いていった。これは彼の計画なのかもしれないが、それ以外安全なことが考えれなかったので後ろを警戒しながらついていった。
だが、気づくと校長が消えていた。いったいどこに消えたのかもわからない。これはやばい状況だ。
彼を視界内に収めておくつもりだったのに、一瞬の隙を狙われた。
僕は猛スピードで走った。普通の人なら追えないほどの速度で。
だが、そんなものは好調に通用しなかった。
5分走ったのに、曲がりくねった道でなかなか終わりが見えなかった。
それからまた4分経つと、壁が見えてきた。
止まると、行き止まりに見えた。
周りをたたいてみたが、反対側にも壁を感じ取った。
どうやら本当にここで行き止まりのようだ。
今まで走ってきた道をまた戻ることもできるが、それは時間が惜しい。
何か出る方法があるはずだと僕は考えた。
壁を伝っていると、目の前に誰かが現れた。
「お前はまだまだだな」そこには一人の少年が立っていた。
僕にとってその言葉は槍と同じようなものだった。心に深く刺さり、怒りが少し増してしまった。
「どういう意味」僕は彼をにらんだ。「ちゃんと道はある。そこにね」彼は行き止まりの壁を指さした。
そんなはずなどない。壁を叩いてみたが、音など響かなかった。
「そりゃあ響かないよ。違う言い方で言えば埋め立て地のような場所にしたのだからね」
僕は意味が分からなかった。「君についていかせてもらったよ。前の時にもね。そして、君が上がっていくのを見えた。はしごを使って、天井にある穴からね」
それを聞き、僕は意味が分かった。確かに出口はここにあるのだ。だが、どうしてか違う方向からきて、ここには壁がある。
その理由は考えるよりも意外と簡単だった。
どうして気づかなかったのかも僕にはわからない。
彼は僕が気づいたのを見ると、壁の前まで歩いていった。
壁は人蹴りで壁にひびをつけた。僕より少し彼は強い。
「まあ、この上にあるのだろう、出口がね」出への道は…
埋められたのだ。

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