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マインクラフト(46) 最後

「どゆこと!」僕は素早く突っ込みを入れた。
が、もう遅かった。ドラゴンは中心に突っ込んできて、僕は素早くよけた。
「こんなもんと戦えっていうのかーい!」僕はちゅしんに戻り、ドラゴンの首めがけて剣を振った。
ドラゴンはダメージを食らい、そのまま飛んで行った。「無反応だー」ドラゴンを見ると、そこには体力のバーがあった。
ほんの少ししか減っていない。
「あと、何回切ったらいいのやら」ため息をついてからもう一度下りてくるのを待った。
「そういえばスケルトンが矢を持っていたんだっけ。あれを持ってくればよかった」弓矢は自分のインベントリには入っていなかった。
それはそうだ。入れた覚えがない。
ドラゴンはまた舞い降りてきた。「今度こそ!」僕はエンダードラゴンを切りまくった。「はあ、はあ、はあ。どうだ」何度も切った。が、まだ体力は5%も削れていなかった。
「なんでー!」気がおかしくなりそうだった。何度も切り、切り続けたがなかなか終わらなかった。ドラゴンは何度も回復して、飛んでいくから回復するのを見つけることしかできなかった。
「回復するんじゃ絶対無理でしょ!」僕は地面に倒れこんだ。「づがれだ~」ゴロゴロと回りながらぶつぶつと話していた。「こんなの無理だってー!」
ぶつぶつと話しているところに彼が歩いてきた。「あ、そういえばあのクリスタルを壊せば回復しないの、言ってなかった?」「ぜっだいいっでながっだ!」叫びすぎて声もおかしくなっていた。
「まあそういうことでー。ガンバレー」また彼は遠くで見つめていた。「それに…」僕は周りを見た。地面を見ていたが。「なんでこんなにエンダーマンがいるんだい!」周りにはどこを見てもエンダーマンがいた。
動き回ることはできるが、少し動きづらい。周りを見ると黒い物体がうじゃうじゃといる。だが、目を見たらいけないので結構苦労をする。
「とりあえずタワーを上るか」僕は今持っている無限といえるほどの丸石を使ってタワーを上り始めた。「1個目ーー痛!」できるだけ遠くからクリスタルを攻撃すると爆発を起こした。
「爆発するんかい!遠くにいて良かった~」僕は飛び降りて水バケツを使って無事に下りた。これは弟が教えてくれたことだ。役立つとは夢にも思わなかった。
2つ、3つとクリスタルを壊していった。もちろん食事もした。じゃないと体力が回復しないと彼から聞いた。
「よし、すべて壊し終わった。あとは…ドラゴンを倒すだけだ」僕はまた中心に戻り、ドラゴンが舞い降りてくるのを待った。待ち続けた。
ついに舞い降りてくるとまた剣を振り回し始めた。ドラゴンはもう回復しない。それだけは体力を見ればわかった。バーは減るばかり、増えることはもうなかった。
「これで、これで終わる」僕は最後の1発だと思う攻撃をした。

「あれ?」ドラゴンはそのまま飛び去った。「あ!あとほんの少しだけ残ってた!」僕は気が付いてからまたジーっと待つはめになった。
もう一度剣をふるうと倒すことに成功した。「終わったー」僕は飛び跳ねた。「よくやったね。これでもうお別れだ」いつの間にか彼は僕の横にいた。
「え?」僕は彼を見た。が、何も聞くことができなかった。僕は言葉を発する前に彼は僕を押した。「僕の名前はスティーブ、また会おう」

僕は気が付くとベッドで起きた。
が、いつものベッドじゃない。多分病院のベッドだ。
「いったい何が…夢?」だが、僕の手には黒い石があった。紫色の点があるきれいな石が。それはエンドで最後、見たことがある気がした物だ。
あの頃は石に見えなかったが、これは確実に石だった。「最後のプレゼントってことか」僕の目からは涙が流れていた。「なんでだろうな、涙が何で流れるんだろ。まだ数時間しか一緒にいなかったのに」僕は思い出してからベッドから出た。
「そういえば名前はスティーブって言ってたね。ってことはあの途中に出てきた女の人ってまさか…まさかね。アレックスなわけないか」僕は弟から聞いた2つの名前を思い出した。
マイクラのメインキャラクター、スティーブとアレックスのことを。

そのあとはいろいろ大変だった。親が大騒ぎしたりいろいろな検査がされたり。でも僕は大切に黒い石を持っていた。大切に。
心には彼が最後に言った記憶が刻まれていた。
「また会おう」という言葉が。


次回から

拾った女の子は常識知らず


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