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「あ、」君は私に気が付いてしまった。
見ないで… 私は顔を隠した。「そこでどうしたの?」君は首をかしげた。横にいる女子はにやりと笑った。「2人ともどんな関係?」私は顔を上げた。「え?」
話は進んだ。「いや、隣の家に住んでるクラスメイトだよ、言わなかった?」君は少し顔を赤くする。「そうかなー、結構仲がよさそうだけど」2人がもめている間私は頭が真っ白になっていた。
関係?付き合いっていうことは知ってるけど…彼女彼氏とかっていう意味!?でも彼女が君の彼女なんじゃ… すると、君は私のほうを見てきた。「そういえば自己紹介してなかったね、彼女は…」
私は情報が多すぎて頭の中が真っ黒になっていた。それからは記憶が途切れていた。

「おぃ!」頭の中に声が響いてくる。目を開けるとベッドに寝ていた。横には君がいる。起き上がって周りを見ると私の家だった。「え?え?ええ?ええええ!?」君は私の部屋に入っていた。隣の家だからと言って部屋に入ってきたことはない。だが、今は目の前に君がいる。心配した目で私を見ていた。
起き上がると周りを見た。ほかには誰もいない。「あれ?彼女は?」すると君は首をかしげる。その時私は少し変に思う。何かがかみ合っていないように思えた。だが、分からない。
そのまま外に出ると静かだった。家の中にもお母さんがいなかった。ついさっきまではいたはずだ。買い物にでも出たのかと思い、君と1緒に街中を歩く。さっきまで悲しんでいた気がしたが思い出せなかった。
いったい何だったんだろう。 心はすっきりしていた。宙にでも受けると思えるほどだ。だが、私が全く気が付かなかったことは周りに誰1人いなかったということだ。
いつも私が週末に座って青空を見ている原っぱに行った。空を見ると雲がなく、太陽がめらめらと照らしていた。なのになぜか熱くもない。その時は楽しかった。君と色々話したり笑ったりした。
最後にはおかしいことに1つも気が付かなくなっていた。もう話すことだけがすべての気がしていた。心から笑ったのも何年ぶりだろうか。いつも1人でいるからそんなことはなかった。
なのに心の底ではわかる。これはおかしいと。理由は1つだ。『静かすぎる。』ここに来るまで誰1人見なかった。いくら静かでも近くを車が通ることはあるだろう。なのに1台もまだ通っていない。
私はそのまま話していた。楽しい。うれしい。君と話すことができることは前まで夢にも思わなかった。なのに今は君と話している。ワイワイと。誰にも邪魔されず、なに1つにも邪魔されず。
だが、だんだんとおかしく思えてきた。だんだんと誰1人いないことに気が付いてきた。なんでだろうか。なんで誰1人いないのだろうか。ただ運がいいだけ?それとも悪いだけ?
わからない。何1つわからない。なんでだろう。でも楽しい。このまま1生このままいたい気がする。なのになんだろう、このもやもやは。私は少し周りを見た。
「どうした?」君は私を覗き込む。その時だんだんとわかってきた。というか疑問に思ってきた。もしもこれがすべて夢だったらと。
そして…考えたくはなかったが考えてしまう。
『私は』
どうした?
『夢にいるの?』

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