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「えー、静かに、新しい転校生を紹介します」先生は私のほうを向いてきた。
私はおろおろとは言った。私を見てマリナはため目を丸くした。「しーッ」私は彼女を黙らせると話した。
田村たむら美咲みさきです。よろしくお願いします」私が頭を下げると、マリナが「プッ」と噴出した。
だが、ほかのクラスメイトは全く違う反応をした。「ウォー、美少女の転校生が来たー」と、騒ぎ出した。
私は赤くなってそっぽを向いた。そんな私をじろじろとある人物が見ていた。「マリナ…絶対後で懲らしめてや…」
私がじろりと彼女を見ると、何事もなかったかのように口笛を吹き始めた。完全に下手だが。「それじゃあとりあえずヒカルの席に座りなさい」
私は自分…じゃなくてヒカルの席に座ると、懐かしく感じた。もう何日も座っていなかった気がする。
「お兄ちゃん」ホノカは小さな声で呼びかけてきた。「どうした…の?」私は言葉を選びながら答えた。
「一緒にいていいですか?」彼女は心配そうに聞いてきた。「どういうこと?」彼女は手を開き、眺めた。
「人が変わったからかかわらないほうがいい気がして…」本当なら簡単に「今の間はかかわらないで」ということが正しかったかもしれないが、つい彼女の表情に負けて「いいよ」と言ってしまった。
「わかりました」彼女は笑顔を見せ、くっついてきた。「ここまでくっつくとは言っていなかったんだけど」すると、学校が始まったにもかかわらず、教室が大騒ぎになった。
「どこから来たんだ?」とか「なんでホノカはなついてるんだ?」などと、整理できないほど質問をぶつけられた。
私は頭は真っ白になり、今にも倒れそうになった。ホノカが少しの支えに放った。
「はいはい、タムラさんが困っているだろう、静かにせい」担任の先生じゃない、もっと聞いたことのある声が聞こえてきた。
「校長先生!なぜここに」担任先生は驚いていた。無理もない。授業中、お父さん・校長先生は一切現れないからだ。生徒の中では校長先生が何をしているのかを知る者はいない。
私以外は。私はお父さんから聞いている。どうやら学校の間、ずっと資料を整理しているようだ。学校内ではいろいろとうわさが流れている。
その中には酒を飲みに行っているのではないかといううわさが流れたが、校長先生は校長室に入ると出てこないし校長室の中には酒がないのでその噂はすぐに収まった。
だが、一つの噂だけがずっと生き続けていた。それは、ずっとゴロゴロとしているのではないかというのだ。学校中、誰一人無言で校長室に入ることができない。いつもノックして、校長先生から許可をもらわないといけない。だから、誰一人実際のことを知らないのだ。僕でもお父さんから聞いただけで本当に見たわけではない。だから、僕はお父さんを信じることにしている。

「それはこのクラスから騒ぎ声が聞こえてくるからに決まっているでしょう、いったい何だというのですか」校長先生・お父さんは意外と顔の形がいい。女子生徒から人気者だ。彼自身はそのことに全く気が付いていないが。
だが、騒ぎは続いた。校長先生の声は生徒たちの騒ぎ声でかき消されているのだ。
するとそこへ大きな声が通り過ぎた。「静かにしなさい!」

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