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「はい、私は確かにヒカルの性別が入れ替わった者です。」私は白状するしかなかった。もう彼には隠すことができない。
彼はため息をついた。「それで、直し方はあるのか?治し方はあるのか?」私は首を振った。だが、彼はもう知っていたかのようにまたため息をついた。
「少しついてこい」彼は理科室に連れていった。「?」だが、質問をする前に彼は奥へと進んだ。すると、机に手を置いた。「これは普通秘密なのだが…」
彼が手を動かすと机の表面がずれた。「!」こんなものは見たことがなかった。「あれはもう見ました」殺気から静かにしていたホノカがぼそりとつぶやいた。
理科の先生も驚いていた。「いったいどこで見た?」彼はホノカを厳しそうな優しそうな目で見た。だが、ホノカは引き下がらなかった。意外だ。「昼休み、お兄ちゃんが通りかかったときに先生が動かしているのを見ました」
やれやれとホノカを眺める目で見た。「隠していたのだがね、もう見つかっているとは…これは校長先生だけが知る秘密なのだよ」「それならなんで先生が知っているのですか?」とっさにホノカが訊いた。
「どういうことだ?」疑問のように聞いていたが、顔を見れば顔色が変わったのがわかった。「今、が知っていると言いましたよね。それならなぜ、先生が知っているのですか?」先生は少し目をそむけた。「それはただの言い間違いだ」だが、ホノカは攻め続けた。
「もしも間違いなのなら先生が間違えるはずありません。昔は国語の先生をしていましたよね」すると、先生は目を丸くした。「なぜそれを知っている」私は話についていくことができなかった。
私は2人を交互に見た。話についていくことができない。「え?理科の先生じゃなくて国語の先生?」そのあとに先生は白状した。
「ああ、確かに昔は国語を教えていた。だが理科に変えたのだよ、理由は…」すると、またホノカが口を出した。「理由は理科のほうが好きだったから、でしょ」
また彼の目は丸くなった。ホノカを見ると目が細くなっていた。だが、それより驚いたのは先生の口から出てきた一言だった。「おばあ…ちゃん?」私は首が漏れるかと思ったほど2人を交互に見た。
全く意味が分からない。「おばあちゃん…」すると、地面に崩れ落ちた。ホノカはすぐに駆け出して行った。「先生、先生!」私は慌てて駆け寄り呼び掛けたが返事がなかった。
首筋に手を当ててみるとまだ意識はあった。死んではいないということだけでも知っておけば楽になった気がした。だが、分からなかったのはなぜホノカが駆け出して行ったのかだ。

少しすると救急車の音がした。意味が分かった。彼女が読んだのだ。彼女は救急車の呼び方など知っているはずがない。119という救急車の電話番号なんて知っているはずがない。
だが、もしも前に考えた考えがあっているとすれば説明がつく。彼女は普通の人間と違う。普通の人間が過去の記憶を知らない人だといえば彼女は知っている。彼女の過去を。
魂の中に書いてあるのだろう。

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