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男子に戻ってから数か月後、僕は元通りの体でよかったと思った。こっちのほうが動きやすいしいつもの自分としていることができる。だが、あの日からずっとあの少年を見ていなかった。
いったいどこに行ったのかはわからない。だが、もうこの学校にいないのは確実だろう。僕は今、ベッドに寝転がっている。大体の時はそうだ。暇なのでベッドに寝転がりいろいろなことを考える。
だが、今日はなぜかむずむずしていた。起き上がろうとすると僕の上にはホノカが寝ていた。驚いてまた倒れてしまった。軽かったので全く気が付かなかった。だが、もしも今起きるとホノカを起こしてしまう。
そんなことをいろいろと考えている間に寝てしまった。その日、夢を見た。数か月前に見た夢の続きだとすぐにわかる。
「ねえ」彼女は僕を見てくる。体を見ると男子のほうだった。数か月前は女子の姿だった。「ちょっと~」彼女は全く違う性格だった。普通ならいつも敬語を使っているのに今の彼女はフレンドリーに話している。
「無視しないでくれる?」彼女は頬を膨らまして怒った。ここは前までのホノカと変わらない。やはり過去のホノカなのだろうか。
僕は彼女に触ろうとする。だが、手がすり抜けた。「あれ?」僕は自分の手を見る。少しだけ薄い。「君は姿だけあるからね。私を触れないのは当たり前だよ」彼女の言葉遣いは完全に違った。
彼女は歩き出した。「見てほしいものがあるんだ、ちょっといいかな」彼女は引けない僕の手を引っ張って原っぱの中を駆け出して行った。触っていないのにまるで引っ張られているかのような気がした。
「ここは…!」そこには大きな城が立っていた。高さは僕の30倍以上、見上げてもまだ続いているような気がした。彼女は私を連れて塀の前まで来た。
そこには槍を持った人が2人いた。体中防具で固められていて、普通の人には思えなかった。塀は門を開けた。気が付かなかったが、門は木でできていて普通の人間が使い押すな大きさではなかった。大きすぎる。僕が何人突っ込んでいいだろか。中に入ると畳が並んでいた。
礼儀正しいく靴を脱ごうとした。だが、彼女は首を振った。「大丈夫、どうせ見えないし」言葉に甘えて靴ありで乗りあがった。
その中はまるで迷路のようだった。曲がりくねっていてどんどん上の階へと上がっていった。一番頂上に着くと窓から外を見た。といっても窓ではない。ただ柱が並べられているだけだ。雨が入ってきそうに思える。だが、どうやら窓の上にある柱がすべての雨を止めているらしい。
その部屋はとてもすっきりしていた。しかもほかの階よりは少し小さかった。僕の時代ではほとんどの部屋がものだらけだがここでは何もなかった。ただ畳が並べられているだけだった。
彼女は壁に手を置き、軽く押した。
くるくると壁が回り、秘密の部屋が現れた。小さかったが、充分のように思えた。その中にはいろいろあった。僕の時代では見ることのない光景だ。
日本刀が壁にたくさんかけられていたりど真ん中には柱が建てられている。ベッドも置いてあるが地面に敷くものだ。僕が寝るのはちゃんとしたベッドだ。
その時、なぜか思ってしまった。僕の寝ているベッドが普通のベッドなのだろうか、それともここにあるベッドが普通なのだろうか。僕にはわからなかった。だが、答えはいらないと思った。
「これ」彼女は小さな箱をどこかから取り出し、中にあったものを渡された。それはパズルのピースだった。それは一文字書いてあった。
もらうとだんだん記憶が薄れてきた。彼女は手を振ってから一言残した。
「これから数週間はこれが続くからね」

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