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「へ?は?」お父さんは市川さんと前にいる人物を交互に見て驚いていた。
「おい府氏橋、どういうことだ?」お父さんはいったい何が起きているのかわかっていなかった。
「さっきから言おうとしていたけど彼女はかつての娘だ」お父さんはさっきより驚いた。
「そんなわけが…」「「「これは本当」」」僕、市川さんと府氏橋は同時に同じ言葉を言った。
「まじか…それは失礼、まだ知らないことは多いもので、それで、これに鉄だっけくれるか?」
お父さんは真剣な顔で聞いた。「その案、もう少し聞かせてもらおうか」府氏橋はため息をついた。
これがどこまで面倒なことなのかわかっているようだ。
「彼はこの子を助けてくれてね、お礼として3つ願いをかなえることにしたんだ。そしたら彼女が彼の超能力を戻してほしいって言ったんだけどあの石は死神に作られたものなんだ」
市川さんは少ししゅんとした。「大丈夫だ。知らなかったことはずいぶん承知だ。今までの行動を見ればわかる。でもこれは壊すしか方法はない。でもこれは彼女を守っているからね、壊すわけにも行けないんだ。しかもこれは府氏橋、君からもらったらしいしね」
お父さんは府氏橋をじろりと見た。「そんなことは覚えていない。しかももしも本当だとしたら何か理由があったんだろう、これを渡すほどの理由が」彼は全く動揺しなかった。
「まあ今のところの話では反対だ」お父さんは目を細めた。「その理由は?」「簡単だ。簡単に言うとだ。別にこれをしても意味がない」
そこへ市川さんが前に出た。「私からお願いしても…ダメ?」「ダメだ」自分の娘に向かってきっぱりと断った。
「これはそう簡単に決めることができるものではない。井辺名、君にもわかるだろう。こんなことをしたらいったいこの世界がどうなるのかを。もしも新たな超能力を作ったとしたらこの世はどうなる、2つの超能力が存在することになる。いや、もう2つはあるから3つだ。その中の一つは一見しか持っていない。だが考えてみろ。もしもこの世界に2つの超能力を持っているものが現れたら。そいつはいいやつだったらいいがもしも悪だったらどうなる?世界征服をたくらむだろう。そんなことをされたらただじゃすまないぞ。この世は抵抗ができなくなる。今の超能力でも運よく悪の手に入っていないが入れば一つの町を吹き飛ばせるぞ。そしてもしも2つ習得すればこの世を、この地球という星は消えることだってあり得るぞ。一見についている超能力は大大大昔、何億年ほど前の神が作り上げた超能力だ。妖王から聞いたことだと何万年、何億年ほどかけて完成させた超能力だ。この1つの石のために。そして今、一見が持っているから一見に素の超能力を渡したのだ。今では少なくても数千年はかかるぞ。彼は今、人間だ。超能力者なら不老不死の力を使って無限に生きることができるが彼にはできない。しかも彼はそんなことを願っていないだろう」
僕はうつむいた。言い返すことができない。確かに僕は不老不死になろうなどとは思わない。思いたくもない。不老不死になると死ねなくなる。もしもこの世界が消えたとしても。自分の愛する人が死んだとしても、自分の大切にしていたものが壊れたとしても。自分をいくら憎しんだとしても。
僕は下を見たままつぶやいた。「いいよ、僕は超能力なんていらない、あれは…あれは」
僕は力強く腹から叫んだ。「呪いのような存在だ」

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