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「やっと学校」私は張り切っていた。だが、ある問題が起こった。「その体で行くの?誰一人ヒカルが誰なのか知らないよ」姉はぼそりとつぶやいた。
「いや、その原因はお前だろうが!」思いっきりうなってやった。「そ、それは~…」彼女はそのままササっとその場を去った。
「とりあえずお母さんに頼んで休みにしてもらうか」だが、お母さんはそれを拒否した。「ダメです、学校はちゃんといかなくちゃ」
そしてにやりと笑った。お母さんがこんな風に笑うというのは何か嫌なことをする時しかない。
「もうお父さんには話を通してあるわ。新しい転校生として入ることになったの。私が少しの間預かるということにして。」
私はため息をついた。「でも戻ったらどうするの?しかもその時まで男性姿の僕はどうしろっていうの」お母さんはついに悪魔のような笑みを浮かべた。
「それなら大丈夫、少しの間だけ預かるし、突然その場から消えるかもしれないという風に学校では通してある。男子姿のヒカルはちょっとおばあちゃんちにいるとしておいた。おばあちゃんにも話は通してあるわ」
お母さんはこういう時、やばいことも考えるが、意外と努力家だった。それだけは私が保証しよう。
というかお父さんはまじで気軽だな。まあお母さんの頼み事だからだろうね お父さんはお母さんのことが大好きだ。だからお母さんが頼むとほぼ何でもしてくれる。「お母さんもお父さんを頼りすぎ」姉は遠くにあるふすまから顔を少し出してつぶやいた。
「まあこれでいいのか。でもノートとかは…」「あります♪」お母さんはノートを数冊取り出してきた。新品だ。「なんでも準備が早いね」素早く突っ込みを入れたが、ノートを受け取りランドセルに入れた。
いい予感が全くしないよ… 私は心の中で深いため息をついてから黄色の帽子をかぶり、ホノカと一緒に学校へ向かった。「そういえば名前は田村たむら美咲みさきよ!」
「おお、来た来た」門ではお父さん(校長先生)が立っていた。「お母さんから聞いたよ、あのやつ…性別を入れ替える薬まで作ったとは…まあそのことは秘密にしておく、張り切って転校生のふりをしな」私はうなずき、門から中へと入っていった。

「君が新しい転校生ですか」私の担任が私を見た。「は、はい」先生から見ると転校してきて緊張しているように見えているだろうが、実際では全く違う意味で緊張している。見つからないと心配しているといったほうが正解だろう。
「僕は君の担任の先生です。よろしくお願いします。それじゃあ教室まで案内しましょうか」だが、私は深く首を振った。
「ちょっとトイレに行ってきます!」そのまま職員室を飛び出してトイレに入った。「いったいどうやってトイレの場所を知っていたのだろうか…」
私が一番心配していたことは本名がヒカルだということに気が付かれないかということだった。この先生は優しい。だが、賢いし感も鋭い。様々な嘘を見破ってきた。
だから私は警戒しないといけない。私の秘密が見つからないように。私はそのまま外に出ると、あることに気が付いた。「ここ、男子トイレだった…」

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