普通に生きたい僕であった(45)
『それ以外にも方法はあるじゃないか、バル。もっと簡単な方法が、ね』ちょうどそこへ誰かの声がした。「だ…れ!?」僕は声の下方向を見るとまたもや固まった。「お、お父さん!?」僕は信じることができなかった。目の前にはとっくに死んだはずのお父さんが立っていたのだ。いつもより少し光っている気がしたが。
「なんで戻ってきたんだ」僕は彼をにらんだ。「なんで今まで来なかったんだ!」彼は温かい目で睨み返してきた。「そんなことしたらいけないからだ」彼は僕に近づいてきた。「君は確かに僕の息子だ」その言葉を聞き、市川さんは目を大きく見開いた。「だが、会うことはそう簡単にできない。何か月、何年と係るものだ。今会うことができたのはある要件があったからだ」彼は市川さんを見た。
「君のその石を壊さずに願い事をかなえるという、要件ね」僕は市川さんの首にかけている石のネックレスを見た。「…」バンダイルスは黙ったまま立っていた。まるで話すことができないかのようだ。
「それで、どうやってやるんだ?」彼は3本手を挙げた。「やり方は3つある。一つ、もちろんその意思を壊せばいい。2つ目、1からすべてを覚えなおす。そして3つ目、」彼はニヤリと笑った。「新たな超能力を生み出す」「「!?」」僕とバンダイルスは驚いた。これだけにはバンダイルスも反応した。「いやいやいや、新たな超能力とはどういうことですか???」お父さんは簡単というように答えた。「新しく作るのだよ、バル。新たな超能力を」バンダイルスはまだわかっていなかった。「新たな超能力を作る…いったいどうやって、前も5、いや、10年はかかったのですよ」お父さんはため息をついた。「この願いをかなえるのに5、10年かかるということになりますよ」だがお父さんは首を振った。「そんなことはない。もっと速く終わらすことができるよ。ある人物に頼もう」彼はそのまま塀を超え、まっすぐどこかへ歩いて行った。
「少しお邪魔するよ」お父さんは市川さんの黒い石を怖がらなかった。僕の予想だが、お父さんはあの石が消せないほどの力を持っているのかもしれない。
お父さんが真の神ということか… 僕は前で堂々とある店に入って行っているお父さんを眺めた。「お父さんって本当に人間なんだろうか」
「あ」市川さんはその店の名を見ると目を丸くした。「いらっしゃい、それで、来ることは知らされていたけど本当に来るとはね。知っていても驚くよ。何をしに来たのかな?」中にはある人物がいた。
「彼のために新たな超能力を作ることに手を貸してほしくてね」お父さんは少し時、僕を紹介した。「おお、お前だったか」その人物は僕を知っていた。「なんだ、知り合いか?」お父さんはしょんぼりとしていた。
「いや、彼は…」僕は説明しようとしたが、お父さんに止められた。「そして、新たな超能力を作ることに手伝ってくれるか?」彼は少し考えていた。「結構面倒なことだな…」すると、市川さんが前に歩み出た。「私からもお願いするわ、お願い、お父さん」市川さんは深く頭を下げた。「へ?」お父さんは市川さんと前にいる人物を交互に見て驚いていた。
「は?」
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