普通に生きたい僕であった(41)
「そ、そんな…」僕は信じることができなかった。「あのヒビから広がるのだと思う」僕は焦った。「とりあえず探すよ!」僕たちは瞬間移動でその場から消えた…と思った。
「あ゙」僕はある最低なことをしてしまった。瞬間移動の場が一瞬だけズレ、市川さんの真横になってしまった。そして…黒い石に触ってしまったのだ。「ヤバ!」僕は手を外したがもう遅かった。僕は感じ取った。自分の超能力が吸い取られていることを。「あ」周りを見ると時間がまた始まり、空にあった黒い割れ目は消えていた。僕は一体どういう感情を持てばいいのかわからなかった。呪いのような超能力が消えて嬉しいのか、自分の力が消えて悲しいのか。
僕は地面に膝をついた。声は出なかった。今まで何年も一緒にいた超能力が今、ここで消えたのだ。戻ってくることはない。もう一生超能力は使えないのだ。「…」僕は口を動かしても声は出なかった。「ついに消えてしまったか」新説が戻ってきた。「もしかするとこれは一番いい方法だったのかもな」彼は僕を静かに見てきた。「ま、もう起こったことは仕方ないか」僕は試しに透視をしてみたが、壁を透き通ってみることはなかった。
「やっぱりか」僕は気が付かぬ間に目から涙が流れていた。「あれ?」僕は自分が嬉しいのか悲しいのかわからない状態に落ちいていた。「これが世の中ってものだ。うまく行かないこともあり、うまくいくこともある。そういうふうに世の中は進むのだ」僕は空を眺めた。「仕方ないか」僕はもう一度自分に言い聞かせた。「まあもとに戻ったのはいいことか」彼はそう言うと、指を鳴らした。
パチン! 響く音がしてからベルが鳴った。どうやら授業時間に変えたのだろう。休み時間を飛ばして。僕たちは席に座り、僕はさっと涙を拭いた。涙は瞬間のことだったのか、1度吹けばもう出てくることはなかった。
もう戻ってくることはないのか 僕は空を眺めながらつぶやいた。「お父さん、ごめん。誰も助けることができなかったよ…」
「そんなことはない」急に後ろから声がしてきた。なめらかな透き通り、優しそうな声。聞いたことのある、懐かしい声だった。「お父さん!」僕はさっと後ろを見ようとした。
だが、体は言うことを聞かずに前を向いたままだった。
「確かに超能力は消えたね。でも今まででもう様々な人の命、人生を助けたよ。それでもう十分だ」僕は目から涙を流していた。これは止めることのできない涙だ。
「僕は行ったね、この力は人を助けるために支え、と。そしてその願いを君は叶えてくれた。僕は嬉しいよ。もしもまたこの力を受け取る時が来たとすれば誤った使い方はしないように。僕からの願いはこれだけだ」僕はやっと動けるようになり、後ろを見た。と思ったらそこは教室でなく、白い地面が永遠に続く場所だった。「お父さん!」遠くにはお父さんが走った。
僕は幼くなった気分だった。僕は高速移動もできない普通の子供だった。お父さんにしがみつこうとしたとき、煙になって消えた。
そうだ、お父さんはもうこの世界に存在しないんだた… 僕は膝を地面についてしまった。
「お父さん…」僕の目にはやさしかったお父さんがきえたきがした。
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