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「ねえ、どうやって子供を作るの?」僕は固まった。「おい、今なんて言った?」彼女は同じことを繰り返した。「いやいやいや、それを言ったらいけないでしょ」彼女は完全に常識を知らないようだ。
彼女は首をかしげた。「そうかな、別に私はおかしく思わないよ?」僕はとてつもなく深いため息をつくしかなかった。「あのね、君が良くてもよくないと思う人はいるの」彼女が納得するのは時間がかかった。
授業中も話しかけてくるので毎回僕の超能力で先生の気をそらすしかなかった。彼女は学校の常識を知らない。静かに先生の話を聞くことや話してはならないことなどを。毎回説明するのは手間がかかった。
最後には僕が逃げ出した。旬化にどうで屋上まで逃げると一瞬できた。
「もう、どこ行ったの、探したのに!」僕は固まった。彼女がこの一瞬で学校中を探し回ったからじゃない。彼女の後ろからメラメラと殺気らしき気配を感じたからだ。透視で後ろを見るとそこには市川さんがいた。
僕は1歩後ろに下がった。気が付けば彼女も消えていた。「あいつ…」彼女はどうやら後ろから感じ取れる殺気で逃げていったのだろう。「井辺名くん…」彼女は1歩1歩とこっちに歩いてきた。「これはな…その…」僕は慌てて言い訳をしようとしたが通用しなかった。超能力を使ってもこの怒りを止める方法はなかった。あったとしても僕には到底できないことだった。「ひどい!」彼女はその一言を投げ捨てて去った。
僕は地面に倒れていた。一言が心を貫いて気絶しそうになった。自分の超能力を使えばこれをすべてなかったことにできる。だが、そんなことをしたくなかった。そうすれば心が痛む。
できることは一つだけだ。僕は立ち上がるとフェンスの前に行った。フェンスをよじ登ると飛び降りた。
気を取り直すことだ。地面に落ちても傷一つつかない。地面に穴ができるだけだ。その穴は超能力で直した。頭がすっきりするとまた屋上に戻った。そこには誰もいなかった。静かな場所だった。かつての僕ならそこを好んだかもしれない。だが、今では友達と話したい。僕は階段を駆け下りた。自分の部屋に行くと市川さんは座っていた。「市川さん」僕は話しかけた。もちろん反応はない。彼女は前をただ見たままだった。「その…あれは彼女が…」市川さんは僕のほうを見てきた。全く悲しそうには見えない。「わかってる」僕は薄く驚いた。「え?」「知ってた。でも悲しい。私が言ったことを忘れたなんて」僕は思い出そうとした。だが、全く思い出すことができなかった。「ごめん、覚えてな」うつむくと、彼女はクスリと笑った。「何も言ってないよ」
その時分かった。彼女はずっと嘘をッしていた。そして僕は彼女がもうあの意思を持っていないということを忘れていた。だから使えないと思っていた。だけど今では、思い出した今では分かった。彼女は全く悲しんでなんかいない。「正直だね…」彼女はこっそりといった。「一生友達になってくれる?」僕はわけのわからなかった。脳が整理しきれていない。いったい何が起こっているのかわからなかった。彼女がずっと嘘をついていたのにずっと気が付かなかった?一生友達?ついには頭が真っ白になってしまった。そこからは覚えていない。ただ、一言だけ覚えている。
「井辺名くん!」

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