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百不思議の小学校‐地獄へ落ちた少年少女1

府野火ふのび健太けんた
石野いしの葉波はなみ
舩場氏はなばし幸四郎こうしろう
堀野過ほりのかすぐる

「今日もいい天気だな~」僕は横の皆に行った。
「確かにね~」石野が空を眺めながら頷いた。
「それって僕からすれば話題が思いつかない時に出す話題第一位だよ」舩場氏は腹を抱えながら大笑いした。
「確かにね~」石野はまたつぶやいた。
訊いてるのかもわからない。
「でも雲がないっていいよね、すっきりする」僕は背伸びをした。
「でもさ…熱いよ…熱すぎる…」堀野過は額に流れる汗をぬぐいながらつぶやいた。
「曇りだったらいいけど悪いよね。寒いけど熱くない。でもいつ雨が降ってくるかわからないから少しいやだな」僕は話題を作り上げた。
「確かにね~」石野はずっと同じことをつぶやいていた。
ついさっきまではぺらぺらと話していたのに。
どうやら太陽の光で脳が劣化劣化したのかもしれない。
「アヂ~」堀野過は一生汗をぬぐっていた。
僕たちが歩いていると、地面が消えた。
「キャー!」あまりにも急だったので石野の脳が元通りに戻り、耳が鳴る叫び声を出した。
落ちていくと、だんだん暑さが消えていった。
太陽から遠ざかっているからだろう。
だが、少しするとだんだん熱くなってきた。
陸地よりは熱くなかったのでよかったが、落ちたところは陸地のほうがよかったと悟った。
そこは、地面が赤い石でできていて、まるで地獄のような場所だった。
僕たちはまず一人一人の安全を確認した。
全員かすり傷一つなかったが、精神には傷がついていた。
彼らは周りを見ていて、慌てていた。
「いったい何が起こったんだ?」舩場氏は慌てて周りを見ていた。
「ハンカチが消えちゃった…」堀野過はしょんぼりしていた。
「そんなこと気にする?」本能から戻ってきた石野が訊いた。
「とりあえずどうやってここから出るかが問題だ」上を見たが、そこには穴などなかった。
僕たちは誰一人としてここがいったいどこなのかわからなかった。
全員パニック状態に入っていたが、僕がどうにかなだめることができた。
ここは静かで、何もいなかった。
そう思った時、どこかからか声がしてきた。
「堀野過…おいで…」それは女性の声だった。
どうやらその声は堀野過の母親だったらしく、堀野過は喜んでそこへ駆け出して行こうとした。
「待って!」僕は彼を止めた。
「行くな」僕はわかっていたことが一つある。
それは、ここで起こったことは一つも信じるなということだ。
これは罠だ。この場所を見れば簡単にわかる。
「おいで…」声は聞こえ続けるが、舩場氏は動かなかった。
僕たちはとりあえず歩き始めた。
少し行くと、今度はドーナツが地面に置いてあった。
「ドーナツだ!」舩場氏が駆け出して行こうとしたが、石野が止めた。
「あれは絶対に偽物よ」少しすると、ドーナツは言えた。
「やっぱりね」石野はため息をついた。「これがずっと続くのでしょうね」
僕も同意した。もうもしも現実世界に戻っても何が本当で何が偽物かわからなくなると思う。
「とにかくここで生き抜くことをままずは考えよう」皆同意した。

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