拾った女の子は常識知らず‐運動会の2日前
運動会から2日前、久米の中でもらったピースは机のタンスに入ったままだ。あれからずっと夢を見ていなかった。覚えている限りでは。
運動会に向けて皆は準備をしていた。クラスはまず誰がどの協議に出るかを決めていた。毎年運動会では2つ協議を決めないといけない。だが、リレーだけは全員参加だ。なので3つの協議になる。
まずは玉入れだ。これには明らかに体育が苦手な人が手を挙げた。
その次は大玉転がしだった。これには楽しいことをしたい!という明るい人たちが手を挙げた。僕がしたいのは100メートル走だ。理由などいらないだろう。僕は短距離のほうが長距離より得意だし、先生の鷹目でいい点を取るにはこれしかないからだ。だが、マリナに勝つことは不可能だった。彼女は1年のころから毎年1位を100メートル走と200メートル走で勝ち取っていたからだ。だが、今回は運がいい。マリナは100メートル走と200メートル走に出場することが許されなかった。そして強制的に1キロメートルと4キロメートル走に出さされた。先生の考えではこれで1位を取れないだろうという考えだった。短距離走ではマリナが一番だ。毎年そうだった。だが、長距離走ではもと速い人がいると思ったからだ。だが、幼いころから一緒にいた僕は胸を張って言えることがある。マリナは確かに短距離最強の完全的変人だ。だが、彼女の足は完全的変人を超えていた。小学2年生の時、マリナは鉛筆を忘れた。だが、その時はテストだったので他の人に借りることはできない。先生に訊いても全部化してしまったといっていた。なのでマリナは家まで突っ走っていき、たった5分で2キロ以上の曲がりくねった路地を往復してきたのだった。彼女は帰ってきたとき、息は荒かった。だが、まるでジョギングをしてきたかのような荒さだった。彼女は確かに短距離は最強だ。だが、長距離も最強だったのだ。先生たちはまたマリナが両方の競技で1位を取るのを見るだろう。
僕は気にしなかったが、ほかの長距離走を選んだ人の目には炎がともっていた。全員マリナに勝とうと思っていたのだ。クラスの一部はマリナと対決するためだけに1キロメートルを選んだ。僕は100メートル走と障害物競走を選んだ。去年と同じ、その前とも同じだ。ホノカは100メートル走と障害物競走を選んだ。
全員が決め終わると先生は告げた。「今年は少し変わったことをする」全員の耳が先生に傾いた。いつもは勝手に話していたり空を眺めている人たちも先生に目が釘付けされていた。
「それなら変化を説明する」先生は少し気に食わないかのような顔をしていた。どうやらこの変化に先生は不満を抱いているようだ。先生はため息をつくと告げた。「ええええええええええええ!?」生徒たちは驚いていた。僕も驚いた。ホノカは首をかしげていた。どういうことかわかるはずなのにわかっていないということだ。「…ってことだよ」僕はホノカにひそひそと伝えた。彼女はそのまま固まった。先生が告げたことは僕も不満を持った。なぜかというと先生が告げたことは…
「クラスを混ぜる」だったのだから。
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