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目の前は真っ暗だ。何も見えない。首を動かすこともできない。体も動かせない。どこまで見ても真っ暗だった。透視を使ってみた。使えたのかもわからない。だが、その先は真っ暗だった。どこまで遠くも真っ暗のままだった。
ちょうどその時、遠くから何かが見えてき始めた。葉っぱだ。散らばりながらどんどんこっちに近づいてくる。超能力も無意味だった。目をつむると周りが真っ暗になった。気が付いた時には風が通り過ぎていった。目を開けると水色と白色が見えた。落ちていることだけはわかった。下を見ると雲が見えた。「ここはいったい…」雲に突っ込むと涼しかった。だが、すぐに雲を通り過ぎた。その下には町が見えた。見覚えのある街だ。
僕たちの町だった。どんどん速度が増していく。超能力で浮こうとした。成功しなかった。瞬間移動をしようとした。成功しなかった。今は超能力が使えないようだ。どんどん町が近づいてくる。地面に触れた瞬間に死ぬだろう。パラシュートも持っていない。持っていたとしても使い方がわからない。だからどうやって広げるのかがわからない。どんどん下に落ちていった。地面に落ちそうになった時、地面が落ちていった。
言葉通りだ。地面が中心から落ちていった。どんどん広がっていく。しまいには落ちている気がしなかった。
また葉っぱが噴き出してきた。目を守るために目を閉じると体の真横を葉っぱたちが通て行くのを感じた。目を開けるとそこは全く違う場所だった。アニメなどで見る世界と全く同じだ。異世界のようにしか見えない。そこには粘土で作られたと思われる家や獣人、普通の人間や魔物が歩いていた。話している言語はわからない。目を光らせて周りを見た。獣人、魔物、人間、本物の世界には想像もできない世界がここでは広がっていた。誰一人僕に気が付かない。駆け寄っても普通に知らんぷりをしてくる。だんだんとイライラしてきて殴ろうとした。手が透き通る。「え?」その一瞬、僕は何が起きたのか理解できなかった。れが透き通った。彼らの体を透き通った。僕の中を一人の人間が通り過ぎた。驚いたが、何も感触はなかった。目を丸くするほかなかった。「いったい何が起こってるんだ…」僕は全く分からなかった。どういうことなのだろうか。どうして誰一人僕のことを気が付かないのだろうか。僕はちゃんとここに立っている。自分の手だって見える。なのになんで気が付かないんだ。しかもどうして誰一人触れない。腰を下ろすとそこには花瓶が置いてあった。その花瓶に腰が当たり、花瓶が倒れた。転がっていくと慌てて商人が駆け出して行った。
僕は誰にも触れないのに物には触れるのだと今わかった。いったいどうやってここを出るのかはわからなかった。
そのまま歩いていると遠くからスライムが飛び跳ねてきた。そのスライムは僕を見た。「ん?」そのスライムは一言告げた。「日本人に見えるが…こんな日本人、見たことないぞ?」子のスライムには僕が見えているようだ。しかも僕のわかる日本語で話していた。「どうやって日本語が話せるの?」訊こうとしたが声が出てこなかった。すると、スライムは黒板を取り出した。チョークを僕に渡した。「何かを聞きたいってのはわかったよ。ここに書いてくれるかな?」僕は頷いて書いた。
『ここは何ですか?』

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