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「おはよう」私は友達に声をかけた。向こうはこっちに走ってきた。「おはよー、今日はどこに行く?」今日は土曜日だ。大変な学校が終わり、休みの日になった。
「金曜日に話してたお化けマンションで肝試しをするのはどうかな」私達は賛成して他の友達を呼んだ。みんなは賛成して山の中にあるマンションに忍び込んだ。そこには誰ひとり住んでいないが、何故かずっと取り壊されていないとても古びたマンションだ。いつも同じように見え、気がつくと見た目が古びているという、肝試しにもってこいの建物だ。
だが、そこには誰ひとり知らないことがる。それこそ、中に入った人物は返ってくることはない。しかし、何故か誰一人その事に気が付かない。のろいかもしれないが、その人物はこの世界から忘れ去られるのだ。
「おー」私はマンションを外から見てその大きさに圧倒された。「やっぱりやめたほうが…」そこにいた10人の中に1人だけ何故か何が起きるかを知っている人物がいた。だが、それを声に出すことができないのだ。だからやめようということしかできなかったのだろう。「いや、今ごろ辞めるわけにはいけないでしょ、もしも嫌なら1人で帰れると思うよ」彼女はそう言い残し、他の友と中に入っていった。
残った1人は入ることなく、街へと戻っていった。
「よし、それじゃあ別れるよ、分かれ目があれば一人ひとりその方向に行って」私はそう言うと、みんなと一緒に歩きだした。
それから10分後、もう全員が別れていた。「…」私はくらいマンションの中をあるき続けた。
ギシギシギシ、地面の軋む音が聞こた。「本当に不気味な音ね」私はそのままあるき続けた。
「他はどうしてるのかな」それから少し歩いてからある奇妙なことに気が付いた。自分以外の足音がするのだ。周りを見ても誰一人いなかった。
「?」はじめは木のせいかと思い、あるき続けた。だが、木のせいだとわかったのはそれから5秒も経たないときだった。真後ろから地面の軋む音が聞こえてきた。「…」私は一度止まり、冷静に考えてみることにした。
後ろには誰もいないと考えられる。なんの声も聞こえないし息も聞こえてこない。しかもここまで真後ろでギシギシと聞こえてくるのは足を踏み鳴らしているとしか考えることができない。だが、足音がしない。不自然すぎだ。それなら地面が勝手にきしんでいる?さっきなら私が歩いていたからそれがなにかの原因だと考えることはおかしくない。だが今は止まってる。足も動いていない。私の足は原因という可能性はほぼ0%だ。それなら一体誰が…
私はサッと後ろを見た。誰もいない。「おかしい、さっきの軋む音は一体何だったんだ」すると、向いている方向の反対側からまた軋む音がした。振り向くが、誰ひとりいない。
「仕方ない、この音は頬っておいて歩くしかないかな」私は右尻を見ずに歩き続けた。
「おーい!」後ろから友達の声がしてきた。「あ、来たん…キャー!」私が後ろを見ると血みどろの友だちを見た。目はなく、頭からは血がドロドロと流れている。胸には屋が刺さっている。もう死んでいるだろう。
「こ、これって厳格よね、そんな馬鹿な…」だが、これは厳格でなかった。「そんな…」「あーそーぼー」彼女は私の方向へとゆっくり歩いてきた。「いや、来ないで!来ないでー!」叫びを最後に私はこの世から忘れ去られていた。

「だから行ったのに」家でポッキーを食べながら先ほど一人で帰った女の子はつぶやいた。「あそこに入れば戻ってこられないとは言えないからね」彼女はこのことを知っていた。だが、言えば絶対に入らないとわかっていたので忠告だけはしておいたのだ。しかし、私は彼女の忠告を無視し、帰らぬものとなってしまった。彼女はこの出来事の経験者なのであった。