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オーストラリア農業の先進性から学ぶ! 第10回 大手スーパーマーケットの農産物品質(出荷)基準 

今回は、オーストラリア国内の大手スーパーマーケットが採用する農産物の品質基準についてお話しします。日本の農業者にとっても、これらの基準を理解し応用することで、収益アップに繋がるヒントを提供したいと思います。

公的認定機関の品質基準

オーストラリアのウールワース(Woolworths)やコールズ(Coles)などの大手スーパーマーケットでは、Freshcare、SQF、HACCP、Global G.A.P. などの公的認定機関の品質基準をクリアした農産物のみを取り扱っています。これらの基準は、農産物の安全性と品質を保証するものであり、消費者からの信頼を得る重要な要素です。

スーパーマーケット独自の品質基準も?

大手スーパーマーケットと取引するためには、各スーパーマーケットが定める独自の品質基準をクリアする必要もあります。しかし、公的認定機関で定められた基準を満たしていれば、多くの場合、スーパーマーケット独自の基準も問題なくクリアすることができます。

一例:トマトの品質基準書
(大手スーパーマーケットのウールワース(Woolworths)の場合)

具体例として、ウールワースのトマトの品質基準を見てみましょう。この基準には、色、外観、形状、サイズ、病害虫の有無、温度管理、異物混入の有無など、18項目もの詳細な基準が含まれています。
例えば、
■一般的な外観基準

色:受領時に一般的に赤い色
視覚的な外観:明るい赤色で、種が除去され、透明なゲル状の形状
③食感覚: 甘くて風味豊か
④形状:10~25g/個、20~42mm直径/個
⑤成熟度:赤色
■主な欠陥
⑥昆虫:無いこと
⑦病気:無いこと
⑧物理的/害虫被害:無いこと
⑨生理的障害:無いこと
⑩温度障害:無いこと
⑪異物、ガラス、金属、硬いプラスチックなどの異物:無いこと
軽微な欠陥
⑫皮表の跡:軽度の散在する白斑、面積0.5cm2以下
⑬表皮の傷:無いこと
⑭生理的障害:無いこと
■出荷基準
⑮許容範囲:出荷ごとに欠陥が2%を超えないこと
■包装とラベル
⑯包装:要件に従って包装。製造元名、ブランド、育種者名、包装日、DCコード、消費期限、消費/賞味期限日が記載されたラベルを貼付。
輸送と保管条件
⑰温度データロガー:適切な換気要件を備えた輸送コンテナ。貨物フォワーダーの仕様に従い、輸送中温度は12~20℃。
化学物質および汚染物質残留物
⑱輸入および国内生産食品:輸入および国内生産食品は、食品基準法(Food Standards Australia New Zealand)に準拠する必要がある。

国内~海外市場を見据えた安全基準の重要性

オーストラリア国内の大手スーパーマーケットで販売されている農産物は、非常に厳しい安全基準をクリアしています。この基準は、海外輸出される農産物にも適用されており、世界トップレベルの安全性が担保されています。特に、農産物に残留する農薬は、消費者の健康に直結する重要な要素です。大手スーパーマーケットでは、残留農薬の基準を設けており、これをクリアしなければなりません。具体的な基準値は商品ごとに異なりますが、消費者が安心して食べられる安全な水準を確保するために、厳格に管理されています。

日本の農業者へ

海外輸出向け品質基準の導入で国内品質も向上

日本の農業者にとっても、厳しい基準をクリアする必要がある海外輸出向けの品質基準を全出荷農産物に導入することは非常に有益です。これにより、国内市場向けの品質も必然的に向上し、一石二鳥の効果が期待できます。

海外輸出向けの品質基準を全出荷農産物に導入すると、国内市場向けの品質も必然的に向上し、消費者からの信頼を得ることができます。海外基準は厳しいですが、それをクリアすることで国内外の顧客からの信頼が高まり、ブランド価値が上がります。

これらの取り組みを実施することで、品質の高い農産物を提供し、収益アップに繋げることが可能です。ぜひ参考にして、日本の農業ビジネスの発展に役立てて頂ければ幸いです。

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