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オーストラリア農業の先進性から学ぶ! 第6回 第6回 品種の選定(その3、農薬などのコスト)

今回は、オーストラリアで野菜栽培(品種選定)をする上で人件費の次にコスト高である、農薬、肥料、潅水の生産コストについて考察していきます。これらは日本の農業者の皆さんにとっても、収益アップにつながる重要な情報ですので、ぜひ参考にしてください。

オーストラリアの農薬と肥料の現状

オーストラリアでは、農薬や肥料の製造コストが高いため、現地での製造は少なく、ほとんどが輸入品に頼っています。農薬は新薬の研究開発が盛んなアメリカやヨーロッパから、肥料は製造コストが安価な中国やヨーロッパからの輸入が主です。このため、国内での販売価格は高めに設定されています。そのため、

潅水には主に雨水や貯水池の水が使われていますが、水不足の地域や水の品質が求められる水耕栽培では水道水が使用されることが多く、これもコスト増の要因となっています。

農薬、肥料、水を多く必要としない品種選び

天候や病害虫の影響を受けにくい環境制御可能な施設栽培では、農薬、肥料、水の使用を最小限に抑えることができます。オーストラリアでは、果菜類から葉物野菜まで、多種多様な野菜が施設栽培されています。これにより、コストを抑えつつ安定した収穫が可能になります。

農薬、肥料、潅水コストを抑える方法

近年、オランダのPRIVA社が開発した環境制御システム「Maximizer」が注目されています。このシステムは、ハウス内の温度、湿度、二酸化炭素、風速、照度などのデータを自動計測し、最適な環境を自動的に制御します。例えば、天窓の開閉一つをとっても、ハウス内外の温度、湿度、風向、風速、雨の状況などを総合的に判断して行います。

このシステムを導入することで、農薬、肥料、潅水の使用量を大幅に削減することが可能です。実際、露地栽培と比較して最大で約9割の削減が可能と言われています。これにより、環境にも優しい持続可能な農業が実現できます。

オランダPRIVA社が開発したハウス内環境制御システム「Maximizer」

日本の農業者へのアドバイス

オーストラリアの事例から学べるポイントは多いです。以下のアドバイスを参考に、日本の農業経営にも活かしてください。

適切な品種選定: 病害虫に強く、農薬や肥料の使用を抑えられる品種を選ぶことで、コスト削減と収益向上が期待できます。

施設栽培の導入: 環境制御可能な施設栽培を導入することで、外的要因の影響を受けにくくなり、安定した収穫が可能になります。これは日本の気候変動にも対応する有効な手段です。

最新技術の活用: PRIVA社の環境制御システムのような最新技術を積極的に導入することで、労働力の削減と生産効率の向上が図れます。これにより、収益を最大化しつつ、環境にも優しい農業を実現できます。

まとめ

農業経営においてコスト削減は重要な課題です。オーストラリアの事例を参考にすることで、日本の農業者も同様の取り組みを通じて、収益を上げることが可能です。適切な品種選定、施設栽培の導入、そして最新技術の活用により、効率的で持続可能な農業経営を目指しましょう。これからも、皆さんの日本の農業がより発展することを願っています。

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