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iP-Uコーチング①〜近未来の科学技術人材育成の形〜

2014年に宇都宮大学の共創コーチング特論を一緒に担当していただいている先生からお話があって、今度、JST(国立研究開発法人 科学技術振興機構)が助成をして行う事業に応募するので、ぜひコーチングを教育の主軸にして他大学との差別化を測りたいということで、コーチングの部分について担当することになりました。

その応募した企画は、「グローバル・サイエンス・キャンパス」と呼ばれます。

大学が、将来グローバルに活躍しうる傑出した科学技術人材を育成することを目的として、地域で卓越した意欲・能力を有する高校生等を募集・選抜し、国際的な活動を含む高度で体系的な、理数教育プログラムの開発・実施等を行うことを支援するという事業です。

宇都宮大学の企画は通り、2015年にJSTの採択を受けました。
その後、4年間の取り組みで最高の評価をいただき、2019年に再採択されることになります。

「各年度採択大学一覧」
・2014年8校 東北大、京都大、北海道大、筑波大、東京理科大、慶応義塾大、岡山大、九州大
・2015年5校 大阪大、宇都宮大、埼玉大、福井大、広島大
・2016年2校 金沢大、名古屋大
・2017年2校 静岡大、神戸大
・2018年6校 東北大、東京農工大、慶応義塾大、愛媛大、九州大、琉球大
・2019年3校 宇都宮大(再採択)、東京大、広島大

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iP-Uに込められた思い

宇都宮大学では、この事業に独自の名前をつけています。
「incubation program for innovative students at Utsunomiya University」
と名付け、 頭文字を取って 「iP-U」としてスタートさせました。

科学技術を使って「世界を変える」人材,すなわち科学技術を使ってより良い世界をつくる人材を育成する。それがこの育成プログラム”iP-U”のねらいです。

世界を変える科学技術とは,たとえば“iPS細胞”や”iPhone”などが挙げられます。iPS細胞とiPhoneは,どちらもiPで始まる名前をもっています。そこで,近未来の傑出した科学技術を”iP-X”とするなら,それは「あなた」(you = U)の中にある。この育成プログラムはあなたの中にある”iP-X”を引き出すきっかけとなるんだということが,”iP-U”という名前に込められたメッセージです。

ですので、このiP-Uのモデルは山中伸弥先生とスティーブジョブスになっていて、どうしたらそのような人材を生み出す教育ができるのかが私たちの’問い’となっており、すべてのプログラムはそこに向けて組み立てられています。

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プログラムの概要

プログラムは、土・日・祝日や夏休み・冬休み等の学校の休業日に授業を行われます。

入学者を決める1次選抜は,Webで応募してもらった内容とビデオレターを基に審査を行います。
この1次選抜では「やりたい・知りたい」意欲を重視します。栃木県を中心に全国から40名程度のメンバーが選ばれ、東京、神奈川、埼玉などの関東近辺、東北、北信越などからも参加者がいます。

基盤プラン(第1段階)では,本人の中にある「それ」を引き出すための様々な授業を受講します。
物理・化学・生物・地学・数学・情報・技術・芸術に関する講義や実験実習で、最先端の科学技術を体験します。
また、アイデアの出し方や、粘り強く目標達成をするコツ、研究倫理や英語コミュニケーションなどを学んで、実践する授業も含まれています。
これらの授業の成果や自己評価を基に,2次選抜を行います。

才能育成プラン(第2段階)では,宇都宮大学の研究室に所属し,大学教員の指導を受けながら,個別の研究を行います。その成果を,世界に向けて英語で発表するのが目標です。

英語コミュニケーション力の育成は,勉強や研究の完成は,宇都宮大学の教員とコーチのコーチングによってサポートします。

5能力を伸ばす

このプログラムの中で生徒達に身につけて欲しいものが「5つの基盤的能力」というもので、特にこのプログラムの大きな売りになっています。
グローバルに活躍する科学技術人材はこの「5つの基盤的能力」が高いという部分から、全ての活動を通してこの部分を伸ばしていくということを目指しています。

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iP-Uではいろいろな専門的な大学の授業も用意されていて、生徒達はとても興味をそそられるものになっていると思います。しかし、それだけで、未来を創り出す科学人材になるとは言えないと思います。ですので、ここに来て授業を受けるだけではなく、普段の学校生活からこのよう5つの基盤的能力を伸ばしていくことを意識して行えるように設計されていて、コーチングの果たしている役割は、そのような基盤的能力を日々の生活で伸ばすような支援をはじめ、授業もしたりなど多義に渡っています。

コーチングがこのプログラムの中でどのような役割を果たしているのか次回に詳細を紹介していきたいと思います。


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