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準決勝を見た上でのキングオブコント2022決勝感想

(結果を知らずにこんなタイトルの記事読む人居ないと思いますが、当然ネタバレを含みます)

キングオブコント2022決勝が昨日行われて、ビスケットブラザーズの優勝で幕を閉じました。ほぼ圧勝でしたね。

今年は2回戦・準々決勝も一部見て、準決勝2日間とも見てたので、ファイナリストのネタ全てを知った状態での決勝という初めての体験でした。それ含めて色々と感想を書きたいと思います。2本目やってないコンビについては、今後の賞レースで使う可能性もあるので、内容は伏せておきます。

各芸人の感想(ファーストステージの出番順)

クロコップ(460点、8位)

遊戯王世代ではないけれど、その元ネタであるカードゲーム「マジック・ザ・ギャザリング」は今でもたまに遊ぶので、やってることはすんなり理解できた。あっち向いてホイと組み合わせるというシステムで、動きネタとして単調になりそうだけど「ダブルホイ」「上下封印」などカードの効果がいちいちそれっぽくてかつ笑いに繋がっていて飽きさせないのすごいと思ったし、最後のヘリコプターもハシゴ使ってうまいな〜と準決勝でもたくさん笑わせてもらっていた。

本人たちも「構成とか考えない飛び道具的なコント」と自覚してるように、審査員の評価は気になるところだったけど去年の蛙亭461点とほぼ同じ、トップバッターとして十分認められた証拠に思えた。「トップバッターじゃなければもう少し点数あったのでは」というのは常に言われることだけど、3位に食い込むのは難しかったかも知れないし、2本目も練習量が感じられる独創的なネタだったけどここまでのインパクトは無かったので、また今後に期待したい。

ネルソンズ(466点、4位)

ネタパレなどネタ番組で見る頻度はファイナリスト随一ではないだろうか。そこで基本的なスタイルはバレている中で、ベタな設定ながら自分たちらしいネタをしっかりやりきったなと思う。和田まんじゅうのキャラが認識されてるのが逆に強みになってるのが有利。準決勝でも大爆発はしていなかったけど、(個人的にはより好きだった)2本目含めて確実にウケていて、決勝行ったのも納得の完成度だった。5位〜9位が1点刻みだったところ、頭一つ抜けて4位というのは審査員にも認められた証拠だろう。

かが屋(463点、5位)

個人的には一番応援していたかが屋。このネタも予選含めて5回以上見てたけど、決勝本番かかりすぎることもなく適切な間合いで、一番良いパフォーマンスだったんじゃないかと思う。初めてカメラのアップで2人の細かい表情の変化を見られたけど、やっぱり圧倒的に演技が上手い。

あれで5位というのはなかなか厳しく、このコントスタイルだと優勝は難しいのかなと思ってしまうが、SMを題材にしたこのネタも、2本目も、これまでのかが屋のネタの雰囲気から変えてちょっと幅を広げていってるので、まだまだ面白くなって帰ってきてくれると信じたい。

いぬ(459点、9位)

2回戦からずっと見てきたいぬのキスネタ。準決勝でも会場を幸せな雰囲気で包んでくれて大好きだったけど、コントとしての評価はどうかな…と思ったら決勝まで行ってビックリした。けどやっぱり飯塚さんにはその辺指摘されて点数下げられてしまいましたね。

2本目の準決勝ウケはそこまでだったので優勝は難しかったかなと思いますが、でも松本さんにはビスブラ・コットンに次ぐ95点もらえたし、ムゲンダイレギュラーにも昇格したから、この勢いで活躍の場は広がりそう!

ロングコートダディ(461点、7位)

兎さんの独特なキャラを生かしているが、(ニッ社・辻さんがいるから目立たないが)堂前さんも変わったネタ作ってくるな〜と思った。「ぜんぜん、ってそんな万能な言葉じゃないですよ」など、ツッコミらしいツッコミが入ってるネタは逆に今回のメンバーだと珍しかっただろうか。

準決勝では2日目にやっていたが、1日目の別ネタのほうが個人的には好きだった。当時の感想でも決勝進出に押す声はそこまで大きくなかったので、7位フィニッシュは納得といえば納得。

や団(470点、2位→最終3位)

準々決勝で初めて見て、「ダークサイドに堕ちた東京03みたい」って言ってたら決勝まで進んで、飯塚さんがビスブラに並ぶ最高点95点を付けてくれたのが嬉しかった。ブラックで狂気を感じるけど、めちゃくちゃ面白い会心作だと思った。

そして決勝見てて一番びっくりしたのがや団で、準決勝ではあまりピンと来なかった2本目がが決勝ファイナルステージではめちゃくちゃ面白くなってた。過去ネタらしいけど磨きをかけてきたのか、自分の方の問題なのかはわからないが、惜しくも優勝は逃したものの、SMAのベテランが最終3位というのは去年の錦鯉と同様、キングオブコント目指して長く頑張ってる芸人たち勇気を与える結果だと思った。おめでとう!

コットン(470点、2位→最終準優勝)

準決勝感想の末尾で優勝予想していたコットン。1本目の「浮気バスター」は、予想通りしっかり評価されて、ファイナルステージに進出した。そして2本目の「お見合い」、これは去年くらいから寄席やテレビ、色んなところでかけてるネタだったので、準決勝2日目に明転してセットを見た時は正直、「え、またあのネタ?大丈夫?」と思った。

ところが「タバコ好きの令嬢」を笑うネタが、途中から展開をガラッと変えてラブストーリーとして完結させる流れになってビックリした。久保田利伸の「LA・LA・LA LOVE SONG」を使うのはベタ・古典すぎるけど、他のコンビは多少なりとも2本どちらかが弱いかなという印象がある中、この2本揃ってたら勝てると踏んでの優勝予想だったし、実際それに近いことになって準優勝になったと思う。惜しかった。

しかし、前日に西村さんの結婚発表があったときは「2本目のラストと結びつけてご祝儀点狙ってる!?」って呟きそうになった。

ビスケットブラザーズ(481点、1位→最終優勝)

1本目で10点以上の差が付いた時点で、ほぼ優勝だと思った。「優勝するとは思ってなかった」とツイートしてしまったが、準決勝でも2本とも大ウケしてたのは事実だ。展開の中でも何度も爆発が起きているので、出オチとまでは言わないけれど、ただあの二人が女装やセーラー服&ブリーフで出てきた時点で見た目の笑いが大きすぎるのではないかと思っていた。しかし審査員があれだけ高く評価するということは、素人には見えない高評価ポイントがあったということだと思うので、それを意識してまたネタを見返したい。

Twitter上でも色んな声があるようだけどとにかく優勝はビスブラだし、マンゲキ所属初のKOC王者として関西のコントシーンを盛り上げていってほしい。ちなみに個人的には、こないだソウドリでやってた「たかしくん」のネタのほうが、マンゲキの寄席などで見てとても好きだった……そのネタも暗転板付きで白ブリーフ一丁だけど😂

ニッポンの社長(455点、10位)

準決勝のウケ方からすると一番意外な順位になったのがニッポンの社長だろう。優勝予想に挙げてる人も多かった。ただ、個人的にも準決勝のときのほうが面白かったように感じた。それが何故かしばらく考えていたんだけど、何度も起きる「どーん!」でケツが真顔になるとき、カメラ目線になってるところかなと思い至った。あれだとまだ自分に意思があって「なんでやねん」って思ってるように思えるが、準決勝ではもっと斜め上あたりを見つめて茫然自失という風に見えていて、それが面白かったように思うのだ。辻さんが変わったネタを作ってくるのはいつもどおりだが、あのスポットの当て方なども、スタジオより大きな会場で映えるネタだったので、そのあたり含めて評価が上がらなかったかと思う。

ちなみに2本目はもっと変わってた……

最高の人間(462点、6位)

最強タッグの大爆発でユニット初優勝の期待もあったが、フタを開けてみると想像以上に点数は伸びなかったな、という印象。岡野さんが自白したように緊張もあったのだろうし、ニッポンの社長の後の会場の雰囲気にハマらなかった感じもした。準々決勝と準決勝における笑いの瞬間最大風速は間違いなくあの吉住の「逃げて…」というセリフで、大好きなネタになったので、本番2日前のK-PROの行列の先頭に出演決まった時はとても嬉しかった。

ただ、準決勝まではあの「逃げて…」というネタバラシにフォーカスを当てて、そこまでのフリを長めにしていた気がするが、それでは弱いと判断したのか後半の暗転回想シーンを増やす変更を行ったのだと思っている。結果として「逃げて…」の爆発力がやや減少して暗転シーンが厳しく見られたことが限界かなと思っている。2本目もそうだったが、この二人が組んだらどんなネタやってくれるんだろうというワクワク感は半端ないので、できればまた来年も出場してほしい。

傾向と対策のようなもの

去年の優しいコントブームの影響

去年の空気階段・ザマミィ・男性ブランコが揃って優しい人達が出てくるようなお笑いだったので、そういうトレンドが語られたが、それが続いているのか、逆にカウンターでブラックなネタが流行るのか、みたいなことは興味があった。

結論としては、今年はトレンドは特に無いんじゃないかと思う。コットン・いぬはハッピーエンドに持っていったが、や団や最高の人間はダークなネタだし、ネルソンズの正統派コント、飛び道具のクロコップ・ニッポンの社長など多様なスタイルが入り混じっていた。

強いて言えば、「2年連続でチャンピオンは白ブリーフ」というジンクスはある😂

暗転多用のマイナス評価

過去にもあったし、今回もニッポンの社長へのコメントで飯塚さんが言っていたが、「暗転が多いと流れが悪くなって笑いもリセットされる」→低評価、という基準が改めて示されていた。個人的には、場面転換を入れることで多様なネタが可能になるし暗転肯定派だが、ニッ社、最高の人間、いぬと暗転を含んだネタは軒並み点数が伸び悩んでいることを考えると、KOCに向けたネタ作りでは今後も議論の的にはなりそうである。

会場の大きさとネタの向き不向き

これは2回戦(200キャパ)→準々決勝(800キャパ)→準決勝(1800キャパ)→決勝(スタジオ)と見てて、ネタによって向いている会場の大きさがあるな、というのを個人的に実感したところである。

早口セリフが多いネタはみんなが聞き取れる小さい会場やスタジオのほうがウケやすいし、音響照明で雰囲気を作るネタは大きな会場のほうが向いている。前者は準決勝で落ちてしまったラブレターズがそうだったし、後者は上に書いたようにニッポンの社長がそうだったように思う。

特に準決勝と決勝は会場の大小差が激しいが、その両方で同じネタがウケないと優勝できないことになる。そうなると比較的影響を受けづらいのは体の動きで笑わせるタイプかと思っていて、今回のファイナリストでいえばビスブラ、クロコップ、いぬなどは準決勝と決勝のウケ方が一致していたんじゃないかと思う。

賞レースに特化してネタを作ることの是非はいろいろあるけれど、これからまた来年のKOCに向けてはこういうことを感じながら「このネタKOC行けるんじゃ…?」と思ったりして楽しみたい。もうすでに来年が楽しみだ。

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