「患者さんウケが良い自分」を演じる際の違和感を考える【臨床実習】


実は私は、ほんの少しの間であるがホストとして働いた事がある。

オンラインゲームの部屋を立てた訳ではない。

ローランドとかそういう人たちがやっている「ホスト」だ。

昨年の12月頃。
CBTも終わり、なんだか楽しい世界はないものかと足を踏み入れてみた。


今日の話は、そんな世界の話‥‥‥、ではない。


実際、契約を結んだのは良いものの大学の授業との両立に苦しみ、1ヶ月もしないうちにその店を辞めた。

もし大学の授業との両立が出来ていたとしても、私がホストとして働き続ける、ということはなかっただろう。

今日は、そう感じた理由と、どうして今その話をするのか?について考えていく。

ホスト、それは相手が望む「自分」を演出する仕事

ホスト、と聞くとそれだけで拒否反応を示す人は多い。
「えぇ、夜の街、なんだか危なそう」
と言って、まともに耳を傾けない人もいるくらいである。


しかし実の所、入ってみればそこにいるのは、そこら辺…にいるほどありふれてはないものの、大学の中に探せば1人や2人は居そうな、男性スタッフ(キャスト、と呼ばれる)

そして、そのスタッフがお店にやってきてくれた女性に対して、おもてなしをする。お話をする。それがホストの仕事だ。


私は実際に女性客と連絡を取り合い、店に呼ぶ、という段階まで経験することはなかったが、その店のNo.1 売上の人が見せる姿勢には、学ぶべきポイントが沢山あった。

また、自分がヘルプとして一緒に机に座った時には、

今日の人は〇〇を求めてる感じだから、△△に話せば良いよ

とアドバイスをしてくれる程であった。


ここまでで薄々感じ取れる様に、ホストは「性格を演じる」職業だ。

店にやってきた女性が望む姿。
例えばそれが「カッコいい僕君」だったり、「少し頼りない彼」だったりすることもある。そこでは、「ありのままの私」を出すことは、望まれてはいなかった。


当時の私はその世界、つまり自分という殻に対して、いろんな性格を出し入れすることで接客を行う世界、に馴染むことが出来なかった。

「ありのままの自分」を消すことが出来なかったのだ。


そして今、臨床実習でも、同じ佳境に立たされている。


「白衣を来ている間は『患者に優しく接する先生』であれ」?


 ちょうど先月、「医療従事者でない人から見れば、白衣の人は全員医者に見える。学生か、先生か。その区別はつかない」という記事を書いた。

実習が始まって1ヶ月。その意味を少し理解したような気がする。

つまり病院の中で、患者と接している間は、

堂々と、優しく、ホスピタリティ溢れた姿」を演じるのだ。
普段がどれだけちゃらんぽらんであろうと、関係ない。

必要とされる場所で、適切な受け答えをする。

それだけだ。


このような状況、つまり、今の自分の性格とは違う自分を演じなくてはならない環境に置かれた時の対応は、大きく以下の2つに分けられるだろう。


  1. ON↔OFFを切り替える

  2. そもそもの性格を、(堂々・優しく、ホスピタリティ溢れる性格に)寄せる。


※「必要な場所で適切な受け答えをすること」を絶対的ルールだとする。


具体的な例を上げる。

1というのは、

「家(人前以外) ではぐーたらしているが、人前ではピシッとしている」人。

2というのは、

「元々は引っ込み思案な性格であったが、それは医者には向いていないと感じ、明るく振る舞うようになった。今ではその状態が定常化してしまった」という人。




私も一時は1のように、患者さんの前で誠実な自分を演じていた。

だが1つ問題が。
気持ち悪くて耐えられないのである。


猫なで声、とまではいかないが少し高い声で

「〇〇さぁ~ん、失礼しますー。」


と言って部屋に入る。そして

「今日は気分どうですかー?」

「今からちょっとねー、身体のほう、診察していきたいと思うんですけど、だいじょうぶですかー?」

と声をかける。


普段とは全く違う自分が出てきているのが、気持ち悪い。


自分だけならまだ問題は無い。

そんな立派な「先生感」を醸し出す人が、スタッフルームで「いやぁあの人はねぇ、ちょっとだめかな笑 意味分かんない笑 うぇーいww」なんて話している姿。

それを見て、「なんだこれ‥‥は‥?」となってしまったのである。


この感覚を知っている‥‥‥。
そう、サンタが実は親だったと感じたとき、アイドルはトイレに行かない、という神話が崩れ落ちたときと、似たような感覚だ。


私が医者になるのであれば、選択肢は今の所2つ。


1つ、自分が「素」だと思っている人格を、医療現場でも受け入れられるものに成形していく。


1つ、「医者(仕事) ってのはそういうものだ」と割り切って、医療現場で使う、「立派で誠実な先生」を創り上げる。
この時、上述した「気持ち悪い」という気持ちは割り切る必要があるだろう。



そんなこんなで、実習が始まってから1ヶ月が経過した。


人格がどうのこうのとか考えてる暇があったら、
少しでも担当患者について勉強するとか、
QBを解くとか、
そういう時間に当てたほうが良いのかもしれない。


でも、ここで自分の中に生じた貴重な「違和感」と向き合わなかったら、そのうち絶対メンタルを崩し、ドロップアウトしてしまう気がするのだ。

自分の見たくない、考えたくないモノに蓋をして、騙し騙しやっているとそのうちガタがくる。


まだ20代前半、健康な人生は健康な精神に宿る。

擦り減らすのは、まだ早い。

では。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?