クリクラで居残りはしちゃいけない?

みんなのことを思うと、クリクラで居残りで実習をすることは、ちょっと反則かもしれないなと思う件について。


今日、オペの居残り見学をしてきました。

自分がアルバイトでオペ場をうろうろしている時にたまたま脳外科の緊急手術があるものですから。参加するしかないでしょう。
(そもそもアルバイトでオペ場をウロウロするってなんやねん、というところはスルーで。)


オペ看護師さんも見知った人。執刀医もかつて実習でお世話になった先生。
個人的にすごく、ホーム感あふれるオペ場だったわけです。

となれば、参加するしか無い(おい)


ということで20時を過ぎたような時間から、1時間30分ほど、オペに参加した、というわけです。



さてここで、先生の気持ちを考えてみます。
学生が真面目に残っている、それも数週間前に自分の科を回ってきた学生で、少し顔も見覚えがある。
そんな学生が残って見学している、と。

先生は気を利かせて、「ジョンくん、清潔で入る?」と言ってくださいました。
ここは大学病院。資源は豊富にある。夜中に学生をオペに入れても大丈夫なくらい。ありがたや、ありがたや。

さてさて、そんなこんなで入りました、CSDH(慢性硬膜下血腫),穿孔洗浄術。

脳外科の漫画で見たように、ゴリゴリとキリを使って脳に穴を開けていきます。
麻酔は局所麻酔。患者の意識がある状態で、脳に穴をあける。
意外と生きていられるんだなと感じます。


痛みを感じるのは硬膜のところらしいです。
三叉神経支配、ということ。V1でしょうか。確かに顔面の感覚を支配しているのは三叉神経ですが、その支配は頭表にも及んでいたのですね。勉強になります。

また帽状腱膜の浅層には、浅側頭動脈があり、切開するときには注意しないといけないみたいです。ほうほう。

脳表は表面から表皮→真皮→皮下組織→帽状腱膜、の順番になっていますが、帽状腱膜まで傷が到達している場合、帽状腱膜は皮下組織と比べてLooseな組織であるが故に、傷がだらーん、と開くらしいです。ほうほう。


と、いろんなことを教えてくださいます。

Awake(患者に聞こえてる)のにそんな話してええんかいな、と思ったのは内緒です。


さてさて、そんなこんなで見学をして、部分部分手を出す。
洗浄の時に、シリンジに水を汲むとか。
傷を閉じる時に寄せるとか。
患者をベッドから移動させる時に、体を持ち上げる手伝いをするとか。

先日同じ様に手術の手伝い(手出し)をしていたら、「がくせいさんは責任を取ることが出来ないから、こちらのことを思っての行為だとしても、できるだけ手出ししないようにね」と言われました。
確かに学生には責任ないしなぁ、と思い、それ以降、手を出すときには「一度聞いてから」行うようにしています。




勿論、いてくれる分には仕事が減るし、すごく助かると思うのです。

でも本来は、自分がいなくても回るような人数設定で仕事のシフトは組まれているはず。

そしてそうやって働いた分の再生産にかかるコストとして、お給料が出ているはず、なのです。

片や自分は無給。勿論完全に自分の趣味で手術に参加しているので、それで給料を出せと言うつもりは全くありません。


でも、自分がそうやって手を出してしまうせいで、他の学生に対するハードルが上がってしまうのでは無いかと少し心配になりました

「ジョンくんは残っていたけど、片やこの学生は云々」

と。

私の考えすぎでしょう。
先生は自分が参加したからといって他の人の評価を落とすことはしていないと思います。彼は真面目、他の人は云々、そんな評価の付け方はしていないと思います。

寧ろ不思議に思っていることでしょう。

どうしてこの学生は、脳外科に特別興味があるわけでも無いのに、、こんな夜中のオペに参加しているんだ???

その真意が読めないうちは、すごく得体のしれない、不気味な感じがするのではないかと思います。

そんな状態で、私に出来ること。

それは、全然関係なさそうなオペに入るとかそういう行動に対して、納得できるような説明が相手に出来るようになること。

例えば今回の脳外科オペに参加した場合であれば。

将来総合診療医になるにしても、どういう時に脳外科にコンサルトすればよいのか。
それを知るためには、実際に脳外科の世界に浸かる必要がある、その1つとして、今私はここにいます、とかそういう説明をする(手術1回入ったくらいで浸かる、なんて表現使ってごめんなさいm(_ _)m)

それで納得する人もいれば、しない人もいるでしょう。
ぶっちゃけそこはどっちでも良いです。

自分の中だけでも、「〇〇の理由だから私は今日、残って手術の見学をしたのだ」と納得させられる様にする。



とはいえ、クリクラで居残りをすることによって、勝手に他の学生のハードルを上げてしまうかもしれない。なんかすげぇ真面目な学生がいる、と、暗に他のヒトにも真面目に実習に参加させるような発言を先生に促すことになってしまうかもしれない。

そんな抜け駆けみたいなことはしちゃいけない、ちゃんと定時で帰る。それまでに精一杯、誠意を見せる。そうやって実習を送っていきたいなと感じました。



最後に、定時以内で帰ったとしても、先生からの認知度が上がる(かもしれない)方法を紹介します。
それは、言ってしまえば当たり前ですが、

  1. 先生に挨拶をする

  2. 先生の名前を読んで会話をする

  3. 知らないことを知らないと認め、次に繋げる姿勢を見せる

これだけです。

医者も、知識はありますが所詮ヒトであるという点では共通しています。ヒトとヒトが信頼関係を築くために必要なこと、それはコミュニケーションを取ること。
コミュニケーションの基本は変わらないと思っています。

医学的なことでは、医師には絶対にかなわない。同じ土俵で勝負しにいくのは、賢いとは言えません。

学生に出来ることは、相手の顔を見たら会釈をする、知っている先生なら「〇〇先生、おはようございます/お疲れ様です/ご無沙汰しております(ここに自分の名前を追加することも有る)」と挨拶をする。

これをすることで、相手から少なくとも「マイナス印象」を持たれることはありません。
そんなことを繰り返し、いつの日か先生と一緒に仕事をする日が来た時。

挨拶でコツコツ信頼貯金を貯めていれば、役に立つことがあるかもしれません。

では。

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