序章

狂愛(仮)

 レモネードの入ったグラスが、落ちて割れた。できた池に崩れ落ちた。
 一瞬で思考を巡らせた。僕は、上手く隠し切れただろうか、優しい顔に成れていただろうか、彼女の救済を望むような瞳を安心させられただろうか。
 そんな心配は要らないか、と冷静になる。彼女の思うようになったのだから、きっと大丈夫。遠のく意識の中に残った強く抱かれる感覚に、愛される幸せを憶えた。
 彼女の香りを感じながら最後に浮かんだ五文字は、ずっと素直に言えなかった言葉だった。

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純愛(仮)

 計画の遂行と同時に、私は貴方と共に、床に崩れ落ちた。流れた沈黙と絡まった視線は、すぐに感情に邪魔された。一つの嗚咽が部屋に響き、涙は彼の胸元を濡らした。
 微かに、「愛してる」と言われたと思った。声の主は、いつもの優しい瞳を閉じていた。
 彼に引き寄せられるように口づけをした。レモネードの味がした、気がした。


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※すべてフィクションです。
※完成するとは限りません。ご了承ください。
※大好きな音楽に、敬意を。

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