毒親の呪いが解けない

私は中高大ずっと、家を出る直前までずっと、「お前は何もできない」と言われて育ってきた。「お前はテストの点数だけだ、社会に出たらそんなもんはないし何の役にも立たない」何回言われたか、わからない。東大とか学歴が高い人が捕まるニュースのたびに私を見ながら「この人もきっとテストの点数だけはよかったんだろうねぇ」といやみったらしく大きな声で言われる。テストの点数がなくなってしまえば、私はいよいよ本当に何もなくなると思って、頑張っていた節もある。

昨日の朝、修士学生として最後のプレゼンをする練習会があった。

一言でまとめると、未熟だといわれた。作ったスライドは、90%がダメになった。そもそも修士なのにこれだけのデータじゃだめだとも言われた。こうなるのはどこかで分かっていたから先に大筋を決めたいと話に行ったのに、完成形をみてからだといわれたので、もうこてんぱんにやられることは最初から分かっていた。

けれども実際、そうなったとき、何かが決壊して、3時間くらいずっと、涙が止まらなかった。「お前は何もできない」を具現化した、研究室での3年間だったなぁと、思ってしまったから。修士論文も、頑張ってひねり出そうとしても全然文が出てこない。いろんな論文を読んでその形や表現を真似しようとしても、何かしっくりこない文ばかり。まだマシだとおもっていた発表も、このざま。親の言葉がずっと頭をめぐってしまって涙が止まらなくなった。

なんなら、人生ずっと、親のこの言葉を否定するためだけにがむしゃらに色々頑張っていたといっても過言ではない。のに、結局、全部が見事に空回りして、その言葉の通りの人間になってしまったような気がした。

はたからみたら、研究発表を批判されただけで泣いてるヤバいヤツなのはわかっていたけどどうにもできなかった。感情コントロールもまともにできない23歳、ヤバいのは自分が一番わかっている。だけど感情コントロールできない4-50代の父親に頭を殴られたり首絞められたりして育ったのに、どうやって自分が感情コントロールしたらいいのかなんてわからない。

父親の身体的な暴力は、いまだにトラウマで、本当につらい思い出ではあるけれど、それより両親による言葉の暴力は、呪いとなってずっととりついて、離れない。親が嫌だから家を出たのに、嫌な親が言った言葉はずっと私について回る。

そんなことないよ、と言ってくれる友達は、幸いなことに何人もいた。こんなめんどくさい奴の話を聞いてくれる人もいた。だけどいくら上塗りされても、何も良くならなかった。こののーとにオチはない。けどもしこれから親になろうとしてる人や親の立場の人がこれを読んでいたら、自分が子供に与える言葉は、自分が覚えていなくても子供にはものすごく大きな影響を与えることは絶対に肝に銘じてほしいとだけ思う。


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