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なぜ若者は「半径1m以内」で生活したがるのか?

以下の文章は自分の読書感想を思いつくまま書いたもの。個人の主観を多分に含んでいるため、苦手な方は回れ右してください。

本の情報(読了日2022/2/22)
書名:なぜ若者は「半径1m以内」で生活したがるのか?
作者:岸本 裕紀子
出版社:講談社
ASNI:B00HPSTEYI

この本では若者、とくに20-30代前半の人の覇気がない理由や時代背景から推測できる行動範囲が狭い理由を中高年世代の目線から、書いている。

自分は独身で、行動範囲がとにかく狭い。出社があるため半径1mとは言わないが、休日は半径100m以内で生活していることは間違いないだろう。あまりに自分にあてはまるタイトルだったため思わず手にとった次第だ。

今の若者について上の世代がどう見ているかあまり書籍で読んだことがない。世代比較しているものはよく見かけるが。

今は競争社会だ。個人の能力は仕事内容や仕事での立場などによって測られる。安定した雇用というイメージはもはや絵に描いた餅だ。中途採用は頻繁に行われ、転職市場の充実や企業しやすくなっている。若者は「今」をどう切り抜けるかに精一杯すぎて先のことを考える余裕がないらしい。道理で、自分が転職したときに「将来何年後にはこうなりたいです」と言ったら歓迎されたはずだ。大枠だけしか話しておらず、具体的なことはあまり言っていなかったにも関わらず歓迎された理由がよくわからなかったのだ。

また、子供時代教室で起きた陰湿ないじめから逃れる方法として仲間はずれにされないことが大事だった。この価値観を大人になるまで引きずっている人が多い。これも納得できる。自分は変人のため、同調圧力は正直気持ち悪いし、みんな一緒がいいという感覚が今ひとつ理解できない。にも関わらず、あまり仲がよくない知り合いは皆同調したがる人が多い。

作者世代なら簡単にメジャーなものに惹かれることは、平凡で単純でかっこ悪いと感じるそうだ。若者はみんなが味わった感情を自分もなぞり、それに楽しさを見出していると作者は断言する。そりゃそうだろう。これは、自分にとって最近のJ-POPの歌詞は理解できないものが多く、昭和の歌謡曲のほうがまだ共感できることの理由の一端だろう。

一方、若者らしい面も自分にはある。場の空気を読みすぎるところだ。これ故、新入社員は受け身の姿勢が目立ち、不安感がとても大きい。かつて、自分も新入社員だったころはそうだった。今ではふてぶてしい平社員だが。

近年の若者のブームとして、「和」がある。自分も夏場は外出時に浴衣を着ることがある。人のぬくもりを感じられるところが魅力で、普通っぽさがくつろぎをもたらすからだそうだ。まさしくそのとおりである。つまり、若者は手を伸ばせば簡単に手が届くもの、携帯電話とコンビニにこだわっている。確かに、自分はiphoneもちだし、自宅周辺にはコンビニが3件はある。

身の丈にあった堅実な生き方をすることのよさを理解していると作者は肯定的に捉えている。確かにこれ以上の生活は差し出されても、今の生活をしたいと感じる。

この本で自分が普段感じている社会とのずれや世代間のずれについて少し理解できてよかったと思う。


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