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日の目を見ない可哀そうな花たち

弊社はウェディングフラワー(式場における装花、ブーケ制作など)を
現在まで1万組以上手がけてきた会社です。
ウェディングフラワーを手がける会社の中には
1つの会場に入り込んで手がける会社もあるのですが
弊社はそのような形式を取らず
ウェディング会社様との提携を行い
いわゆる「ケータリング」のような形で手がけてきました。


そのような形で手がけてきましたので
数多くの式場で、様々な経験をさせていただきました。
そんな会社だからこそ
ウェディング産業の色々な問題点も認識できます。

前回、ウェディングフラワーの外注の影響による
マージン問題に関して書かせていただきましたが
それ以外に、ロスフラワーという問題点も挙げられます。

ロスフラワーという言葉の正式な定義はありません。
「食料ロス」という言葉がありますが
これは、本来食べられるのに捨てられてしまう食品のことを指します。
同様に、花の世界でも、売れ残りなどによって
ただ捨てられてしまう花があるのです。

美しく生産された花は、生産農家さんから市場にわたり
仲卸さん経由で小売店(花屋さん)に渡るのが
一般的な流れです。

ロスフラワーは、生産農家さん、市場、仲卸では
ほとんど発生しません。
(そういう構造になっています)
発生するのは、花屋さんです。

仕入れた花は、「生もの」ですので
しおれてきてしまったりすると
買われることなく、そのまま廃棄せざるを得ません。
仲卸さんからは、概ね10本単位で購入する必要がありますので
ロスフラワーを0にするのは至難の業と言えるでしょう。

ですから、花屋さんはそのロスフラワーになるような花を
ドライフラワーにして販売するなどの工夫をしています。

これが、一般的なロスフラワーの話です。
ただ、今回わたしがお伝えしたいのは
小売店におけるロスフラワーではなく
ウェディング現場におけるロスフラワーの問題です。

ウェディングフラワーも、小売店と同様に
仲卸さんから花を買い付けします。
ウェディングフラワーは、新婦(新郎)の希望をベースに
花をチョイスして仕入れを行います。
この時、たとえ1輪しか使わない花であっても
10本購入する必要があるのです。

小売店と異なり、本業がウェディング会場の装花ですので
使用しない花を販売することも難しく
廃棄するしかないような状況に陥ります。

1回のウェディングでは、こうしたロスフラワーは
(会場の規模などにもよりますが)
平均的に見て30~50本は出ると推測されます。
年間で30万組が式を挙げるそうですので
およそ、1千万本の花が日の出を見ることなく
廃棄されている計算になります。

ウェディング産業は、比較的、中小規模の会社が多く
そのため、個別にロスフラワーの対策を練る必要があるのですが
前述のとおり、小売店としての機能を有していないので
簡単には解決できないのです。

ウェディングフラワーを手がける会社は
このロス分も含めて、装花に使用する花の原価率を計算しています。
つまり式を挙げる方は、
捨てるだけの花のお金も払っていることになるのです。

ロスフラワーの問題は、非常に大きな問題
と言えるのです。

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