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Fontana Muraの秋

johiroshi
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※試聴版。オリジナル版(01:29)はマガジンを購入すると視聴可能。

2023年の秋は夏に引き続きRifugio Fontana Muraという山小屋で働いていた。

夏のハイシーズンでは標高1700mの山小屋で過ごしていたが、秋は人の入りがだいぶ落ち着く。営業日も夏のように毎日ではなく週末だけ。仕込みを含めても金土日の3日間。予約がない限りは金曜日のCena(ディナー)から。予約がなければ土曜日からの営業となる。

「Rifugio Fontana Mura」と書いたが、実際に働いていたのは「Palazzina Sertorio」というFontana Muraから少し降った山小屋だ。山道の途中にある山小屋。標高は1400mくらいだったか。山道は麓までは車で来られて、残りは徒歩になる。慣れている人であれば1時間から2時間。子どもを連れた家族連れなら2, 3時間。

山道はまあまあ整備されていて、許可証があれば車で登り降りすることができる。ただし安全な道とは言えないし、山登りに対応した車でなければ登れない。夏季はオーナーが山小屋まで送迎してくれたが、秋は麓近くから自分で登らなければいけない。

登り道は川があり、谷がある。Palazzina Sertorioは周りを森に囲まれていて、日がほとんど差さない。その当時、僕は同僚のMattiasと一緒に暮らしていて、彼に車で麓まで送ってもらってから山道を歩いていた。MattiasはLavapiatti(皿洗い)を担当している。金曜日は主に仕込みなので、金曜日に営業しない場合はオーナーに送ってもらっていた。

山小屋にたどり着くとまずは火を起こす。キッチンの整理をして、その後は野菜の準備。ラグーのための玉ねぎ、にんじん、セロリ。じゃがいもを洗って、鍋で煮込む。Fontana Muraには太陽光発電やボイラーがあるが、Palazzina Sertorioにはない。日が差さないから太陽光発電もできない。冷たい山水に両手をさらしながら作業をする。野菜の準備を終えたらポレンタ用のサルシッチャ、アンティパスト用のフリッタータやバニェット・ベルデなどを準備する。時間があればデザートのクロスタータの用意を手伝う。

そうこうしていると20時くらい。晩御飯を食べて、その後は少しだけのんびりできる。ボイラーがないと書いた通り、この3日間は当然シャワーには入れない。

(2024年4月21日現在の記録)

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