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アイリッシュパブの出口戦略?! - Irish PUB field, 洲崎一彦

帰ってきた「#土曜夜にアイルランドを語る」。
これからは気まぐれ連載だよん。

7月号は京都のアイリッシュパブ、Irish PUB field のオーナー、洲崎一彦さんにご寄稿いただきました。

洲崎さんとは実はまだ会ったことがありませんが、fieldがいつも面白そうな試みをされているのはウォッチしています。fieldのnote、みなさん読んでいますか?

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fieldのnoteでは2001~11年ごろに洲崎一彦さんが、ライターのおおしまゆたか氏と共に編集発行していた月刊メールマガジン、「クラン・コラCran Coille:アイルランド音楽の森」に寄稿していた記事が転載されています。全部面白いのでぜひ読んでみてね!

前説はこれくらいにして。

以下、「最近の Irish PUB field のこと」をテーマにご寄稿いただいた文章です。


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 今回、note「土曜夜にアイルランドを語る」に、アイリッシュパブのこと、最近の京都field(Irish PUB field)のこと、を書く機会をいただいたので、しばらく思案していたのですが、このnoteの読者さんはどんな方々なのかなと想像をめぐらしおりまして、やはり、アイルランド音楽やダンス、お料理や文学やその他のアイルランド文化を趣味としておられる人達が多いのだろうなと勝手に考えていました。

 そこに、アイルランド音楽を趣味としながらも、一方ではアイリッシュパブを経営するという、つまり、アイルランドを商売のネタにしていると申しますか、ややもすると生臭い世界に片脚を突っ込んでいる私が、皆さんの夢をぶちこわしてしまうような事を書いてしまったらどうしようという危惧がありました。

 というのは、今回のコロナという降って湧いたような状況の中で、アイルランド音楽を趣味にしているオヤジがのんびりとアイリッシュパブをやっている~という、どこか牧歌的な図式が根底からくつがえったからでした。ややもすると、この牧歌的な絵に自分自身もどっぷり浸っていたというのも改めて自覚することになりましたし、何よりも、Irish PUB fieldは何をどうこねくり回しても、飲食店だったという現実が突きつけられました。
 それも、非常に中途半端な立ち位置の飲食店だったのです

 まず、京都市から休業要請が出ました。この内容からして、ワシらはどこの枠に入るのじゃ?と頭を悩ませるものでした。

・飲食店は午後8時までの時短営業をお願いします。
(酒類の販売は午後7時まで)

・接待を伴う飲食店、酒場、バー、ライブハウス、カラオケは休業をお願いします。(居酒屋は飲食店に入ります)

うーん。思わずうなってしまいますよね。
わがアイリッシュパブはどこに入るんじゃ?

 そこで、京都市のお問合せコールセンターに電話してみました。
また、これが、なかなか繋がらないのですね。
同じように???を抱えた方が多いのでしょう。

 やっと繋がって、これをたずねてみると、、、
「パブ? それなら休業の方ですね」
「あ、いや、どちらかというと、西洋居酒屋なんですけど」
「パブなら接待の女性とかがいるんでしょう? 休業の方です」
「いや、接待の女性はいません」
「でも、深夜にお酒出してるんでしょう?」
「はい」
「では、休業ですね」

と、いうことになってしまった。

 この結果を受けて、スタッフ内でもいろいろな意見。

「ウチは実質的に居酒屋と同じじゃないですか」
「いや、ちょっと待て、ウチはライブもやってるぞ」
「そうか、接待パブの誤解を解いても、ライブハウスに入ってしまうと同じ事か」
「じゃあ、ライブを止めればいいんじゃないか?」
「でも、セッションはライブより三密やん」
「密集カラオケよりも密になる時あるしな」
「ほな、ライブもセッションも当面は止めるというのでどうやろ」

と、いうことで、再度、市のコールセンターに電話をするのですが、
金輪際つないでやるものかという勢いでつながらない。

 そこで、
「確かに、お客さんも激減しているし、営業を続けられても赤字は必至やから、市の言うことを聞いて休業しよう・・・」
という結論に相成ったのでした。

 さて、これは別に京都市の対応を皮肉ってるわけではありません。
ここに、まさに、アイリッシュパブなるものの曖昧さがにじみ出ているではないか、ということなのです。
公に出した瞬間に、それいったい何屋さんやねん?!
 という事になるのを思い知ったわけです。

 休業、自粛要請中は、私達もそれなりに出来ることはしました。
飲食店なのだから、テイクアウトやデリバリーにも進出しました。
が、一般的に、アイリッシュパブの食事!と言っても、非常に判りにくい。
判りにくい商品は、このような短期決戦に弱いのですね。

 それでも、しかし、飲食店なのです。
日々の売上が無いと成立しないという構造の中で存在していたのです。

 そして、結果的に当店の完全休業は1ヶ月以上に及びました。
休業要請が解除されて、自粛ムードが徐々にやわらぐ中で、街の飲食店はまず家族連れの外食が少しづつ活況を取り戻し始めましたが、ここ四条烏丸界隈の夜の人出はさっぱり戻って来ません。
不謹慎かもしれませんが、一時は東京新宿がうらやましいとまで思いましたよ。
ここでも、アイリッシュパブは時流に乗れません。
日本国内のアイリッシュパブに家族連れで食事に行くか? え? え? 行くか?
なのですね。
つくづく、アイリッシュパブというのは何と判りにくい飲食店なのでしょうか。

 最近では、コロナも第二波という雰囲気になって来ておりまして、
東京周辺では、再び、お店の休業要請を出すかもしれないなどと報道されています。
とにかく、特効薬もワクチンも無い状況ではコロナも第二波、第三波といたちごっこになるのは当たり前ですよね。
と、考えた時に、アイリッシュパブなる中途半端な飲食店に活路はあるのでしょうか???

 見つけました!

「ギネスの成分はコロナウイルスを撃退する効果がある!」
こういうのを、ギネス社が大々的に発表してくれないなかあ~。
世界中のアイリッシュパブが救われるのになあ~。
 でも、この類いのことを私が自分で言うと、炎上というかもはや詐欺扱いになりますよね。

では、ちょっとひねって、
「アイルランド音楽を聴くと免疫力が高まる!」
これは、どうでしょう?

 音楽って口に入れるものではないので、なんとなく詐欺的ヤバさが薄れませんか?
まあ、そんなことを言う人もいるかなあ的なゆるさがありませんか?
しかし、これにしても私が自分で言うのはヒジョーにまずい!

 なので、なんとなく、草の根からウワサになって行くのがいいんじゃないか。。。

と、いうことで、note「土曜夜にアイルランドを語る」の読者の皆さん!
なんとなく、これを、自分のまわりでウワサにしていただけませんか!

 よろしくお願い申し上げます。

field 洲崎一彦


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Grazie per leggere. Ci vediamo. 読んでくれてありがとう。また会おう!