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山くじら

「山くじら」って、なんの看板でしょうか?
日本人は古来より鹿や猪などの獣肉や雉や鶏などの鳥肉を食べていましたが、天武天皇以来、その時代々によって様々な食肉禁止令が出されてきました。
江戸時代にも綱吉が発令した『生類哀れみの令』などがあり、獣肉を公に食べないという「たてまえ」が蔓延しましたが、実際は武士や貴族までもが密かに獣肉を食べていました。
庶民もそれを心得ており、「バレなければ良い」となり、徳川政権下で、特に江戸や大坂の町人たちも密かに(?)肉食を楽しんでいました。
「山くじら」はその時生まれた「食肉の隠語」の一つです。
これは猪肉のことです。(くじらは魚類とされていた)
その他、猪鍋は『牡丹鍋』、馬肉は『桜』、鹿肉は『もみじ』、鶏肉は『かしわ』なども、江戸時代に生まれた「食肉の隠語」です。
食文化におけるこのような「本音」と「たてまえ」の使い分けは、物事を丸く収めるためなら「嘘も方便」という、日本人らしい考え方を表していますね。

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