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120分の恋

今日は息抜き企画

とあるセラピさんとのとある120分のお話です。

フィクションも混ぜていますのであしからず。


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彼と会うのは2回目だった。

その日は生理2日目でお腹が痛くて痛くて朝から辛い1日で

おまけに仕事もうまくいかなくて、もうどうしようもなく

やるせない夏の日だった。

もともと私には大好きなセラピさんがいて、数か月とても仲良くしてもらっていた。もうずっとこの先もこのセラピさんと会っていくのだと思っていた。

近い未来も遠い未来もそのセラピさんと楽しく過ごす姿を想像していた。

それなのにちょとした行き違いから、言い合いになってしまい、私の気持ち的に会うことが怖くなってしまった。

楽しい時間はなくなってしまった・・・。

そんな、喪失感を抱え、とても悲しい思いをしていた時期でもあった。


2回目の呼び出し

1度だけ会ったことのある彼をその日どうして呼ぼうと思ったのかは分からない。もうどうしようもなく寂しくてお腹も痛くて、ただただ優しくそばにいて欲しかった。ホテルのベッドで男の人と横になりたかった。気持ちが弱っていたんだ。

彼に会いたいと1度考えると、もうそれしか考えられなくなってしまった。


「ダメ元で聞くんだけど・・・今日〇時から2時間くらい空いてるかな?
??生理だからエロなしで。ホテルでゆっくりしよー」

と、会社のトイレからDMを送る。

すると数分で返信が来た。

「行けるよー!今●●にいるから、シャワー浴びて行くね!」

「botちゃんにはもう一度会いたかったから嬉しい!」


その一言がその時の私には染みた。


すぐに上司に体調が悪いと伝え、会社を出る。(嘘ではない)

適当に近場のホテルに入り、ベッドで横になっていた。


恋をするのに理由なんてない


しばらくして部屋のインターホンが鳴る。

恐る恐る開けると、彼の笑顔があった。


手にはコンビニの袋。ハーゲンダッツが2つ。

「今日は元気がないの。ゆっくりしてていい?」

「もちろん!」

ベッドに入って寝転がる私に、彼はすっと隣に体を近づけて来る。

「本当に会いたかったんだよ。また会えてうれしい。」

その優しい言葉だけでも泣きそうなくらい私が嬉しかった。嘘だとか営業だとかそんな無粋な話はしたくない。

彼が今の私にその言葉を投げかけてくれたことが、素直にうれしかった。

その時の私にはその優しさが必要だった。


彼が買ってきたアイスを二つ開けてくれる。

一口ほおばり、キスをする。

甘く溶けたアイスが口の中に広がる。

お腹が痛くて具合悪いはずなのに・・・ドキドキが止まらなかった。

アイスは未来永劫、彼にこうやって食べさせてほしいと思った。

一生終わらないで欲しいと願ったアイスは一瞬で終わってしまったが

そのあともずっと抱き合ったり、キスをしたりして過ごした。

彼にはこんな風に心を許してイチャイチャできるのが不思議だった。

大好きだったセラピさんにもこんな風に無防備に甘えたりできなかった。


そしてこの時間が、私の心をものすごい勢いで満たしていっていることを怖いくらいに感じていた。


その時何を話したのかほとんど覚えていない。楽しそうに話す彼の横顔ばかり見ていたから。

触れ合う身体の体温が熱くて心地よくてそこにばかり気を取られていたから。

もっともっと仲良くなって

話の中で、とあることをしたいといった私に彼は

「いいよ。もっともっと仲良くなってbotちゃんが僕しか呼ばなくなったらね」

と、言われた。

なんとも、その言葉が忘れられなかった。私の心がつかまれた瞬間だった。

”もっともっと” 仲良くなりたいと思った。

そんな未来が来て欲しいと強く願ったし

私はきっともう彼以外呼ばなくなるんだろうな....
なぜたかそう確信した。

そして本当にそうなった。

なんでもない120分だった。

でも振り返ってみても彼とのこの後のたくさんの時間のなかで、どの回が印象的だったのかと聞かれると、私はこの2回目に会った回だと答えるだろう。

多分それは私が恋に落ちた回だったから。

温かい口移しのアイスや、隣にすっと寄せてきた身体の温かさかもしれない

ただただ弱っていたところに優しい言葉をかけてくれたからなのかもしれない。

理由なんてわからない。

この回は、私が彼に”また会いたい”と強く思わせた回だったんだ。

この120分に交わされた会話どれか一つ抜かしただけでも

次はなかったかもしれない。

このタイミングで会わなかったら、二度と会わなかったかもしれない。

逆に、何もなくてもまた会いたいと思ったかもしれない。

人と人の出会いや関係なんてそんなものだと思っている。

それくらい、繊細で鈍感。

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おしまい🌸
















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