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推し香水に懐疑的だった厄介オタクが推し香水をオーダーした話

前置き的に…

推しの名前は明記しません 「推し」で通します
簡単に説明すると、拳闘やっててバイクに乗ってて孤独で強くてやさしい人です

そんで 話始めますね
この話は幾度となくツイートしていますが「推し香水」に関しては、大きく分けて三つの考え方があると思ってるんですよ

  1. キャラクターの性格や行動、ストーリーをイメージして作成した「概念」としての香り

  2. 「キャラクターが付けていそうな香水」をイメージした香り

  3. そのキャラクター本人からしそうな香り

一般的なのは1で、2と3は近似値なんだけど違ってて 3は言わば「体臭」「環境臭」などでして、まあ私の推しは絶対いいにおいしない感じだし香水もつけないタイプの人なんですよ 全部想像だけど
要するに私は3派なわけです 推しからいいにおいするわけないじゃん血と汗と土埃とガソリンと排気のにおいだよ※比喩
懐疑的って書いたのはそういう意味でして
あと、香りの好みがとても偏っているのもあり 好きじゃない香りだった場合いろんな要素から自己内事故起こすな…と思い、そんなら物質そのものに触れずに語らずにおこう、と
そういうスタンスでした
もうこんなこと言ってる時点でめんどくさいオタクなの丸出しだし実際そうなんですけど

オーダーに至った経緯

懐疑派の厄介オタクでしたが、厄介オタクなので 夜中推しについて考えあぐねたり絵をかいたりするうち、泣きだしたいようなそういう発作がよくおこります
オタクならよくあるやつと思うんですが
その気持ちがピークに達したある日の深夜に、

こちらのツイートをたまたま見かけ、それこそ発作のようにオーダーシートに記入し、注文に至りました

ほかにも推し香水を作れるサービスのあるお店は知ってたんですが、Scentlyさんにお願いした理由はこのあたり

  • 既存の香水ではなく香料をブレンドしてオーダーメイドで作ってくれる

  • オーダーシートが完全にオタク向けで書きやすい(文章苦手な人向けの選択式もある)

  • 「こちらが送った解釈に対する解釈」のお手紙がもらえる

他人様の推し解釈読みてえ~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
みたいな時あるじゃん 読みたかったので脊髄反射で注文しました
送ったオーダー文章は全部で2000字弱
ちなみにこの記事、ダイマしてますけどモニターとかPRとかではないです 感謝の長文感想です、オタクがやりがちなやつ

注文からきっかり二週間で発送メールが届き、昨日受け取りました

香りの説明と感想

届いた直後の状態

※大いに主観を含みます
※それぞれメインで書かれてる香料のほかに当然だけど「etc」とレシピに記入あり、ほかの香料ももちろん入ってます
※お手紙読む前にまず香りを確認しました

【トップノート】ベルガモット、ユーカリ
ユーカリ…一言で表すなら「真っ直ぐ」
ミントのような刺激はないけど、鼻から脳天にまっすぐ抜けるような、甘さのないウッドの香り
自然木なんだけど不思議と若干薬っぽさがある 多分人は選ぶ

ベルガモット…柑橘系だけどこちらも刺激は少なく、甘さとやや苦みのある香り
私柑橘苦手なんだけど、ベルガモットは平気です

このふたつが組み合ったことで機械油のような、…ガソリンを思い出すような香りになったと思われます
同封してくださった香りの解説にはバイク、ガソリンのことは書かれてなかったんですが こちらから送った解釈には「バイクに乗っているところがかっこいい」と結構な文字数で記入をしてました
なので、もうトップの時点でダメだった ?????????????みたいな宇宙猫みたいな顔になった 嗅げるタイプの奇跡か????出オチじゃんこんなんずるいわ 冒頭からバイクでチキンレースして崖から飛ぶみたいじゃん、これはあくまで比喩ですけど
ずるいわ

【ミドルノート】ゼラニウム、クラリセージ
ゼラニウム…バラに似てる でもフローラルすぎない、葉っぱから採ってる香料なので花よりもハーブみが強い やさしい香り 多分万人受けする

クラリセージ…これもやさしい花のかおり 祈りとか神とか信心とか、そういうものを思わせるような、澄んだイメージがある
ちょっとスパイシーだけどこれも多分万人受けする

【ラストノート】パチュリ、アンバー
パチュリ…墨汁、日本の片田舎の雨と湿った土みたいな香り
お線香にもつかわれる香りです
知的、孤独(さみしさのないもの)、そんなイメージ 甘さはない
個人的に、この世に存在する香りの中で白檀と並んで二大最も好きな香り
たぶんすごく人を選ぶ

アンバー…重め甘め、おばあちゃんの化粧台みたいな香り
パチュリよりは好きな人多いと思う 香料としても一般的
やさしくてアンニュイ 眠くなるような、安心する香り

ミドルとラストは感想まとめちゃいますけど、
ラストの香りはどっちも所謂「寺系」で、言葉通り寺院での儀式の際に香として焚かれるような そういう神聖さ、若干の近寄り難さがありまして
パチュリの孤独をアンバーの柔らかさで緩和するような、そういう組み合わせです
トップもミドルも人を選ぶような、ともすれば挑戦的で個性的な香りの間に挟まった花のやさしい香りのミドル
とんでもないギャップだよ ずるいわ 強面で実際強くて孤独な一匹狼の笑顔がとろけるようにかわいらしかった みたいな、
そういうアレです
ずるいわ

香水全体の流れを示しますと、
ガソリンや機械油のような、甘さがなく完全に人を選ぶトップ

リラクシング、万人に好かれる、素朴で優しく甘くかわいらしいミドル

安息、安寧と孤高、知性を思わせるラスト

この流れ、一期から二期ラストじゃん※比喩
推しじゃん 推しという人間じゃん
人生じゃん

ていうかですね
柑橘のような、抜けるみたいなさわやかから始まり、花のやさしいミドルを経て孤高で落ち着いたラストにたどり着くその系譜
自分が普段使用しているDior「ファーレンハイト」にとても似てまして(使ってる香料も若干似てる)
ファーレンハイトもガソリンや機械油のような香りがします、だから使ってるんですけど
あと今回オーダーしたものより甘くて人間的だけど
「普段使っている香水」を入力する欄があり、そこにファーレンハイトも書いたので寄せてくれたのかな?と思いました
ほかにもいくつか普段使ってる香水を書き、届いたオーダー分は推し云々抜きにしても(出来ないけど)とても好みの香りだったので、
解釈部分以外もおそらく考慮してくださったんだと想像します

作ってもらったものは、ファーレンハイトのトップから甘さをより削ぎ落して、全体から人間ぽさを減らしたような そんな香りでした
ヒリつくようなまっすぐさ、清清しい孤独、ヒトだけど若干の獣っぽさ 推しじゃん

で、同封されていたお手紙がこちらです これは掲載OKとのこと
香りを確認し、上記感想(長文)ある程度書いてから読みました

(こっちが送った長文解釈めちゃくちゃしっかり読んでくれてる)

ユーカリの花言葉のくだりもギャップのあるかわいらしさのくだりも、解釈一致すぎた ビックリした
この調香師さん、私の推しを知っていたのかもしれない いやたぶんそんなことはないんですけど
タイトルにもした通り、「概念としての推し香水」に私は懐疑的でした
なのに、今回作ってもらった香りにはあまりにも「物語」があって、
絵や小説で表現するのと同じように「香り」で推しを表現したらこうなるんだ…ということを、嗅覚から突然”理解らせ”られたのでした
落雷に打たれたみたいだった
そうか、こういうことだったんだな そうかそうか なるほど…

山火事からの雨で再生、新生する命の力強さ
何度も何度も噛み締めています
こういうことだったんだな…

自分につけてると嗅覚から強制的に推しの人生について考えさせられてしまい大変心臓に悪く、こんなの好きになってしまう…と今日一日ずっと苦悶とともに過ごしたんですが
概念としての推し香水、懐疑派から完全にアリ派に寝返ってしまったので
まあ個人差あるとは思うんですが、推しがどんな箸の持ち方をするのか?あるいは箸を使えないのか?みたいな、
超絶細かい妄想をしてしまうタイプのオタクは多分 いろいろ想像妄想めぐらすことが出来、楽しいと思いますので お勧めしときます
おしまい

1年後の続編→


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