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流浪の月

こんにちは。Kです。

いつも映画化される前に書籍を手にし、映画化された後に書籍を読みます。
今回の流浪の月もそうでした。

私は、ブックデザイン(カバーデザイン)で本を選ぶことが多く
流浪の月でも私が選ぶことが多い鈴木久美さんのデザインでした。

_______________________________________幼児誘拐事件の当事者であった更紗と文の真実は世間の事実とは異なる。

被害者の更紗、犯罪者の文。
私にはあなたの気持ち理解できるよ。と優しく寄り添うことは
本当に人を救っているのだろうか。傷つけてはいないか。

私たちは、他人に対して、あなたを理解しています。と振る舞うことが上手です。
それは、人間の本能だから。人間を1番多く殺してきたのは人間だから。
人間社会の中で他者に共感するのは生き抜くために進化の過程で身につけたものだから。

読後、私は私が見ているあの子とあの子を取り込む世界が事実なのか真実なのか分からなくなりました。更紗と文に対する世間の態度と私が重なったからです。

テレビで流れる悲惨な報道に哀れみの視線を送りながら朝食を食べたり
事実だけで他人と議論までする。当事者を置き去りにして。

きっと、私はあの子の真実に耳を貸してるのではなく
事実しか受け入れない。と、あの子を否定しているのではないか。

心の底からあの子を助けたい。寄り添いたい。そう思っていても
勝手なフィルターをあの子にかけているのではないかと。

その人の言葉を信じることなんじゃないかなと思いました。その言葉をそのまま
自分の言葉に変換するのではなく。そのまま。

きっと、難しいだろうし、
真実を信じるのにも時間がかかると思います。
でも、私が見ている世界が全てではないことに気づくと
私自身も生きやすくなるな。と思いました。

私の本棚にずっと残る一冊になりました。

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