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トイレ掃除

PERFECT DAYSを観た.小学生の時にトイレ掃除の担当だった時に最初はハズレくじを引いたと思っていたけど,丁寧に掃除をした時の達成感というか爽快感を思い出した.あのときは掃除が好きだなと思ったな.あれは仕事だったからということもあるが.

いわゆる不浄な場所を綺麗にするという行為は,心を浄化する力があると思う.そういった意味で,掃除というのはとても意味のあることだと考える.「お風呂は心の洗浄よ」とはよく言ったものだ.一年の汚れは年越し前に終わらせておくなんてものもある.(今年僕は風呂に入る前に年を越してしまったため,汚れを持ち越した.)

自分の持つものはなるべく長く使いたい.そういった意味では多少値がはるものを買うことは悪いことではない.現代,物は消費という考え方が普及しているように感じ,いわゆる「ファスト〇〇」という文化が根付いている.
しかし,昔は使用していたものを下の世代に引き継ぐことで人生の時間を持ち越していった.中古の本なんていうものも,いわばそういう意味さえ持つように感じる.八百万の神という考え方で,すべてのものに神が宿るのだから,物を丁寧に使うということは当たり前だったのだ.時代に逆行する価値観かもしれないけど,僕はその考え方が好きだ.壊れたものをつなぎとめて直して使い続ける,そこには愛着以上に歴史が刻まれる.歴史は時間だ.

時間の流れは一方通行でこの世に存在した瞬間から刻まれ続ける.戻ることはできない.命の儚さを人は植物に感じることが多い.花びらが散ることに命の尊さを見てしまう.だとしたら僕の命はいつ蕾み,いつ花開き散るのだろう.もしかして,もう散ってしまったの?そんなのは嫌だな.

どうしても共存し得ない世界がある.人はそれぞれ個々の世界を持っていて,近づいたら合わさって,離れたら薄くなる.まるで影みたいだ.影が集まって暗くなっていってそこでしか君と話せない.暗い影が僕らだけの世界なんだとしたら光の三原色に対比して影はより濃くなっていく.それが僕と君の世界なんだろう.だから自分の世界の外にあるものを僕らは忘れてしまいがちだ.遠くのマンションの明かりの一つ一つの生活を,僕らは想像することでしか近づくことはできない.だから今を生きていくしかない.

読み人知らずの短歌を読んでなにかに思いを馳せてみたら,知らない温かさを感じ取って嬉しくなった.名前のない神様にも名前をつけたらそこにいてくれるの?
だとしたら僕は同じ名前がついている僕の身体から離れられないし,一人ではないような気がした.人生の価値は.後ろを振り返った時に見えた足跡に意味をつけるのはきっとこれからで,今を生きるしかないんだね.

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