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存在なんて幽霊みたいなものかも

いつの間にかおばけが怖くなって布団に潜って夜を過ごしていた.そして,今は布団に入らず気絶するように眠りについている.なんてこった.

小さな頃は夜が怖かった,タンスや戸棚から音がなるたびにこの世のものではないものを想像していては毛布にくるまっていたものだ.夜が好きな日は年に数回あって,一つはクリスマスイブからクリスマスにかけての夜で,なんとしてもサンタの正体を見極めてやると意気込んでいた.その日は幽霊の心配を何故かしていなかったな.あとは大晦日.我が家では大晦日だけは夜ふかしをして良くて,その日は夜は楽しかった.今は夜が一番行動できる,夜型人間.今日もコーヒーが捗ります,椅子にもたれかかって上を向いて寝ているときもある.疲れているなら床につけとは言われることだけど,就寝が苦手すぎる.一人ならなおさらだ.

人と関わることがある人はわかることだろうと思うけど,知らない間に「この人はこういう人間だ」と高をくくって接してしまうことがある.気をつけて入るけど,僕もそれをやってしまうこともある.(本当に気をつけないと).例えばみんな僕のことをどう思っているんだろう.「僕は本当はこういう人間なんだよ」って知らないくせにって思うこと,あるよね?というか,場面や相手によって自分のいろんな仮面を使い分けて生きていくのが,なんか人生って感じするじゃない?
僕は人生をとてもしているという気がしてならない.みんな建前をかざして生きているんだ.お互い仮面を被っているから,もちろん相手も仮面を被っている.だから,僕の前に存在する人っていうのは,その人本来ではもちろんないのだ.理想の押しつけになってはいないだろうか.結構かんたんに人は自分の心に嘘をついて笑うことができる.それを好意的に解釈し続ければ,いつの間にかその人は自分の都合の良いキャラクターに定義付をして,その範疇を超えたとき怒りを覚えたりしてしまう.そこにいるのに,そこにない.本来のその人ではない.そんなことがたくさんあるのだ.

その人本来を見てみたいけど,年齢を重ねるうちに自分を出さなくなっていくよね.だから,本来のその人だと思っていたものは実は幻か何かで,でも幻と接し続けている僕らは一体なにと話しているのだ?目を見て話したいし,ゆっくり話したい.一挙一動全部見て,なんなら指の先から頭の先まで.心の臓の脈打つ感覚まで聴きながら,君の話す意図を知りたいって思うけど,そんなのきっと無理だ.僕だって音楽をやっているときと,仕事中の僕は全然別人間だし.だから本当は実在しない作られた存在,逸話,幻想,その他の類.借りてきた猫.なーお.

見せたい自分,本当の自分,見えている自分,きっと全部違うんだけど,どれもこれも幽霊ゆうれい.

だからさ,僕らが接しているものって,幽霊とそんなに大差なくて,あちこちに幽霊が朝も夜もふらふら,ふらふらしていて,それはある意味とても怖いことであって,幽霊っていうのはそういう理想と現実で揺れ動く存在そのものなんじゃないかって,ふとそう思った.


幽霊.ばいばい,幽霊.
もう夜だから,今日は早く寝て,明日もふらふらしてようよ.

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