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中国語学習者も覚えておきたい中国地理。

今日も少し中国の話を。

中国語や中国文化を学ぶ上で、中国地理は外せないと思います。

我が中国語教室の受講生は、もちろん語学には興味はあるものの、私の感覚では中国地理が苦手な方が多いです。

確かに地理は現地に赴いたりすることで、脳内にインプットされやすいのも間違いありません。
なかなか現地に足を延ばしにくい現状はありますが、地理にとどまらず中国のあらゆる分野に視点を向けることも大事なことです。

中国地理はザーッくりした感覚でも、覚えておいた方がいいです。

著作権:中国まるごと百科事典様より。

特に、中国人の間での
「你是哪里人?」(あなたどこの出身?)
という会話は
「你好」以上に頻繁に交わされる常用挨拶といって過言ではありません。

コロナ禍もありまして、もしかしたら中国を勉強している方の多くでも同様の悩み?傾向?があるかもしれません。


今日は中国語や中国文化の理解と関連し、簡単に中国の地理の話を。


中国の省、日本の県。

さて、なんと言っても、中国はでかい(笑)

元々地理が苦手という方は、これだけで嫌気が差すに違いありません。

まず、中国は省、市、県、郷という単位で住所、行政区分を表現します。
※これ以外に直轄地や自治区に定められる行政区分がありますが、これは一旦置いておきます。

中国は
23の省、4つの直轄地、2つの特別行政区、5つの自治区
に分かれています。

この違いは分かりやすく言えば、都道府県みたいなモンだと思ってもらっていいかと思います。

私自身も直轄地がいくつある?なんてことはパッと出てきません。
基本的には○○省△△市で大まかな地理を表すということを理解しておければ、と思います。

たとえば、江蘇省南京市、遼寧省瀋陽市、といった感じです。

一方で、日本の場合は県(都道府)、市、町の単位が一般的です。

なので、基本的には
「なるほど、中国の省は日本の県と一緒なんだな」
と、思ってもらっていいかと思います。

著作権:中国まるごと百科事典様より。

ところが、この江蘇省とか、遼寧省などの省の単位。
一つ一つの省、これがめちゃくちゃデカい訳です。

どのくらいデカいかというと、
中部地方(富山、石川、福井、新潟、山梨、長野、愛知、岐阜、三重)の面積が約7万平方キロメートル。
江蘇省は全体の面積で10万平方キロメートル超となるそうです。
※江蘇省が中国の中で特別広い面積を有している訳でもありません。

日本の47都道府県のうち、中部地方の9県を足した面積が、
中国にある23省の、たった一つの省より狭い、ということになります。

感覚的には省と県は一緒!と思ってもらって構いませんが、
実際の面積やら人口っていうのは当然ながら桁違いであることも抑えておきたいところです。


中国移動の距離感。

さて、面積の話になったところで、次に中国地図で見る距離感、に関してです。

中国国内の出張で、飛行機に乗って3時間移動、なんていうのはザラです。

日本では飛行機に乗って3時間もすれば、東京から沖縄についてしまいますし、名古屋からでも北海道に到着してしまいます。

私の中国での拠点地は上海市(中国沿岸部の中央付近)ですが、
高速鉄道(いわゆる新幹線)に乗って数時間の移動も当たり前です。

いざ出張が決まって予定を立てると、出張先の場所によりますが、なんだかんだ往復の移動だけで丸1日くらいは消費してしまうこともあります。

著作権:中国まるごと百科事典様より。

距離感をイメージしてもらうために、上記の地図を見てください。

青、赤、黄色で上海市を中心に(ざっくりですが)円を描いてみました。

それぞれ上海から高速鉄道や飛行機でどのくらいの移動距離になると感じられるでしょうか。

その答えは、
青丸は、高速鉄道で3時間圏内。
赤丸は、高速鉄道で5時間圏内、飛行機で2時間強のフライト圏内。
黄丸は、高速鉄道で7時間?飛行機で3時間以上のフライト圏内。
を示しています。
(私の感覚です)

日本の同じ縮尺で当てはめると、青丸は東京ー大阪間
赤丸は東京を中心に仙台、福岡
黄丸で日本全土のイメージになるでしょうか。

やはり国土の大きさは別格です。


中国の高速鉄道。
既に中国全土をほぼ網羅する形で路線が拡充されました。

話は全然変わり、、私はスポーツ観戦が大好きですが、
メジャーリーグなどでは、移動日が大変だ~なんて話があります。

私はメジャーリーガーではありませんが、中国のビジネスマンとして、
移動日は少し憂鬱でもあります。

これも個人的感覚ですが、新幹線2、3時間であれば苦痛に感じることは少ないのではないでしょうか。
ところが、乗り継ぎがあったり、飛行機で3時間を超えるようなフライトは精神的、肉体的にも結構しんどいと感じるのではないでしょうか。

1日かけての移動も大げさではありません。

ちなみに中国国内に時差はありません。
西側内陸部の大都市である成都に行った時、まだ夕暮れなのに、8時過ぎとかだったのにはびっくりしたことがあります。

四川麻雀が有名ですが、このように夜が更けるのが(時間的に)遅い西側都市では夜遊びが流行するだけの理由がありそうです。
また内陸部では地震もあるため、宵越しの金は持たないぞ!という考え方が根付いているとかいないとか。

国土が大きいことが、こうした生活面や文化にも影響をしていることが分かります。


中国の主要都市。

さて、中国の地理を語る上で、主要都市は抑えておきましょう。
有名なのは北京、上海、広州という湾岸部の三大都市です。

これらは、華北、華南、華東地方の三大主要都市でもあります。
中国ではその他にも、東北、西北、華中、西南と7つの地域に分けられて呼ばれることもあります。

これは日本でいう、関東地方とか近畿地方とかの呼び方と似ています。

貿易による経済発展、平地が多い地理的特徴、これらが中国で湾岸地区が発展した経緯です。

これらは上海を中間地点として、それぞれ高速鉄道で5~8時間程度
東京・名古屋・大阪間との距離比は3~5倍程度です。

ざーっくりですが、中国地理の距離感を日本の尺度を基準にすると、
縮尺を3倍(もしくはそれ以上)
で見ると良いかもしれません。

著作権:中国まるごと百科事典様より。

日本は東名阪だけではなく、福岡仙台と南北の大都市があります。

中国の場合も、北京ー上海ー広州間に、まず南京、厦門(アモイ)があります。

主要都市からそれぞれ内陸部に伸びると
北京から東には天津青島、北には瀋陽、西には西安
上海から西側には、武漢、重慶、成都。
広州から西側には昆明、東には香港、深セン、南には近年観光地として有名な三亜などがあります。
(東西南北に関してはかなりザーーっくりしています、すみません)

中国語の学習者であれば、一度は聞いたことがあるような地名ではないでしょうか。

主要都市を中心にその近郊を抑えていくと、大枠の地理感が掴めるかもしれません。


中国の省と省都。

もう一歩踏み込むと、省都というのも覚えておきたいポイントです。

省を都道府県と同じような位置づけとすれば、省都は県庁所在地のようなものと位置づけられるでしょう。

冒頭で話した通り、省はあまりに大きすぎるので、
「明日から湖南省に出張です」
とはあまり言いません。
「明日から湖南省の長沙市に出張です」
と、伝える方が一般的です。

なので、ある程度細かい話をする場合には、省単位で表現することは少なく、もう少し狭い市の単位で表現することが一般的です。

というのも、同じ省内でも、高速鉄道が繋がっていなかったり、繋がっていても場合によっては2,3時間かかることも普通だからです。

冒頭のような「你是哪里人?」の会話から、同じ省出身であることが分かったとしても、さすがに出身市まで一緒というのは珍しいです。


それから、何度も言うように国土が広いため、一つの省でも人口が桁外れであることも日本からすればビックリするところです。

例えば広東省の人口は1億人を超えるそうで、河南省や山東省なども9,000万人を超える人口と言われています。
ご存じの通り、日本全国の人口は1億2,400万人ですから、人口も国土も桁違いです。


地域による言語なまり。

最後に、せっかくなので中国語にも関連して「言語のなまり」について。

とにかくデカいデカいと言い続けましたが、大前提として、日本と比べて30倍の国土、10倍の人口を有するのが中国です。

日本でも関西弁や東北弁や九州弁、沖縄弁など、共通語とイントネーションが違ったり、そもそも表現の方法が異なる方言があります。

私が中国語が話せます、というと、中国語にも方言があるでしょう?と質問をされることがあります。

もちろん、あります。

ただ、中国語の場合は、方言、というより、まったく別の言語とも言えるほど差異があります。

例えば私の居住する上海市では、地元の上海人同士では、上海語と呼ばれる方言で会話をすることが一般的です。

何をもって方言?違う言語?とするのかは難しいところですが、共通語(普通語)しかできない私は、この上海語、ほとんど理解することができません。

その他にも、有名なところでは、広東省の広東語福建省では閩語と呼ばれる方言があります。
実はこれらも私だけではなく他の地域出身の方では、ほとんどが理解することができない代物です。

この7大方言とも10大方言とも言われる中国国内での方言はさておき、旅先やビジネスにおいて「共通語でお願いします!」と言えば、ほとんどのお相手は共通語で話すようにしてくれます。

しかし、これがまた地域によっては相当「なまっている」んです。

何をもって共通語(普通語)と言うのかの定義さえ危うくなりそうで、これを語り出すとキリがありません。

なので、私の目線で面白いところだけ、ざーっくりお伝えすると、
1、北京市こそが、いわゆる標準的な共通語。
HSKや中検のテストでのヒアリングは、北京市近郊で一般的に使用される言語と同じと言っていいでしょう。

2、上海市を筆頭に南方では反り舌音が不明瞭。
ちょっと専門的ですが「Zh」「Sh」「R」などの反り舌音が不明瞭に発音されます。
日本人には優しいと言えそうです。
一方、数字の「10」「4」「是」など主要単語の発音が曖昧なので、上海人とギャンブルするとトラブルになる、と揶揄されることもあるそうです。

3、安徽省、河南省、湖北省あたりでは「L」と「N」が逆転。
私が知る限りのざっくりした地域ですが、これらの地域出身者では「L(ラ行)」と「N(ナ行)」の発音が逆転している人が多くいます。
そもそもの概念自体が「L」と「N」の発音が逆転しているのです。
たとえば「辽宁省(Liao NIng)」と発音させると「Niao Ling」とこのように逆に発音されます。
確かにこの両者の発音は微妙に似た発音ではありますが、全く逆になっていていくつかのケースにおいて全く違う言葉になってしまいます。

4、東北地方はなんでも語尾に「儿」。
これは有名なところです。
上海人と一緒に中国に出張に行って、道を尋ねた時に「儿化」が多すぎて分からなかったということがありました。
「这边儿」「门儿」「右拐儿」など何でもかんでも巻き舌で発音されます。
漫才などのお笑いが有名なのも東北地方で、漫才はやや優しめですが、それでも「儿」の発音が特徴的です。


中国語に馴染みのない方には、ちょっと難しい話になってしまいましたが、これだけ豊富な特徴を持っているのも中国ならではかもしれません。

出張に行った先で、私が現地人ではないと察して共通語を話してくれるタクシー運転手や食堂の店員さんは少なくありません。
ですが、これまた恐ろしいことに「同じ共通語を話しているはずなのに理解できない!」ということは、中国ではあるあるです。

また、テレビニュースやドラマ、映画などでも、生放送でない限りは、字幕があることが一般的です。

CCTVなどの国営放送ではごくごく一般的な共通語が話されるため、かなり分かりやすい言語で話すことは当然なのですが、それほどまでに地域などによって発音の差がピンキリです。


さいごに。

我が中国語教室はもちろん共通語でのレッスンとなります。

ですが、こうした地理や地理に関連した方言や言語の違いなど、ちょっとしたプチネタは大いに盛り込んで実施しています。

言語だけではなく、文化や地理を理解することで、さらに知識が深まってコミュニケーションも図りやすくなる、というのは我々のモットーでもあるのです。

中国語レッスンの希望者さんだけではなく、いろいろな方と交流を持ちたいと考えておりますので、なんでもかんでもコメントお問い合わせいただければと思います。

お問い合わせフォーム – JNG (jng-chenqin.com)

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