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中国のコロナ禍と個人的な雑感。

10月27日に中国上海市に到着、現在隔離中の身です。
2020年からいわゆるコロナ禍と言われていますが、この時期から現在に至るまでの、私の素直な感情と実体験をお話していきたいと思います。

2020年に突如として訪れた駐在員生活の終焉。

2020年1月まで、私は中国上海市浦東区に住んでいました。
10年近い駐在経験の終わりでもあったわけですが、それはあまりにも突然のものでした。

前年12月頃から湖北省武漢市近郊で謎の肺炎が流行っているというニュースがちらほらと聞こえてきていましたが、それは恐ろしい勢いで中国を飲み込み、そして世界へと蔓延していきます。
私が帰国した1月末には人の流れの多い上海市でも、あっという間に感染者が確認され始めていました。

何とも言えないワクワクした雰囲気が漂う春節前のこの時期ですが、明らかに異様な雰囲気に気圧され、意外にも行動力のある私は即時日本への帰国を決めました。

その後は皆さんもご存じの通り、日本でも感染者が確認され、変異種が現れたり、てんやわんやのパニック状態になっています。

春節で盛り上がる売店コーナー。
通常は町中、店中にこうした飾り付けが行われる。

2020年のGW頃には日本でも感染者が増え、未知なるウィルスに最も恐れいていた時期かと思いますが、果たしてこのウィルスにどう向き合っていくのかも大きな課題だったかと思います。
この頃の日本では短期的には楽観視するような見方はあまりなかったと記憶しており、日本人の国民性ともいえる忍耐力のある対応が目立ったように思えます。

しかし半年後、1年後の見通しは、今思えば若干楽観的だったとも言えそうです。
この数ヶ月は我慢しよう、いつかワクチンが出回って自然と消滅するはずだから、今だけ我慢しようとする見方が一定数を占めていたように思います。

私と同じような中国駐在者も、2020年内にはまた自由な行き来ができるようになるのでは?という見方が大勢を占めていました。
しかし、ご存じの通りそれは叶うことはなかったのでした。

コロナ禍で中国駐在員はどうなったのか?

さて、中国駐在者ですが、状況は大きく二つのパターンに分かれました。
それはコロナ禍で中国に渡航するにはビザが必須であったことで、このビザが有効期限内であるかどうかです。
通常、中国のビジネス用就労ビザは1年の期間となっています。
ビザの有効期限が切れてしまった人については、ゼロコロナ政策を堅持する中国において、そもそも渡航することがかなり困難になってしまいました。

ビザなし渡航に際しては、関連市政府が発行する招待状(邀请书)というものが必要だとかなんだかで、これが簡単に取得できる代物ではなかったからです。

私は運よくコロナ禍突入直前にビザ更新をしていたこともあり、既存ビザがあれば条件達成で渡航可のお達しが出たのが2020年9月、10月頃だったかと思います。

2020年11月にビザの期限が切れる直前に再び中国への渡航を試みました。
以降ビザの取り扱いや招待状の有無、隔離期間の規定などがコロコロと変わっていますが、この頃は14日間の強制隔離という取り決めとなっていました。

約1年の空白期間を経て、中国に渡航したのでした。
その後毎年中国に訪問しており、いわゆる隔離生活は3度目となります。

隔離生活とは?

日本ではコロナ感染による隔離措置というのは、どこかに曖昧さを感じます。
どこかに連れていかれるでもないし、何となく個人の倫理観に委ねられているような部分があります。

一部の方はご存じでしょうが、中国への入国後の隔離生活はかなり壮絶なものです。
ちなみにこの入国後の隔離措置、日本人の間では「強制隔離」などと呼ばれていましたが、中国語では「集中隔離」と比較的柔らかな表現をされています。

日本にてPCR検査を受け、陰性証明を提出した上で、中国入国後10日~14日程度の隔離措置が一般的。
昨年ちらほらと中国でコロナ感染が流行した際には、なんと21日の隔離措置などがとられていたケースもあります。
このように隔離期間やその規定というのは中国や世界での感染状況に照らし合わせて、各省、各自治体によって定められているようです。

一方通行で歩いた先には屋外のプレハブ小屋でPCR検査が実施される。

国際空港の到着便フロアは殺伐とした雰囲気で、完全な一方通行で誘導された先で早速PCR検査が実施されます。
入国前後にはいくつかの調査に回答する必要があり、それも通関であったり、入国先の自治体であったり、PCR検査の承諾書であったりと、複数に渡るため、記入にはかなりの手間がかかります。

入国前の提出書類に不備がないことを証明するためのコード。

現在の上海市では7+3日と言われる隔離措置の絶賛実す。
7日は指定されるホテルでの隔離措置、残りの3日は希望をすれば中国国内の自宅での隔離措置となります。

入国後の隔離措置やPCR検査の承諾、同意書にもサイン。

とはいえ、一昨年も昨年も、そして今年も、自宅隔離を希望していますが、私のマンションでは、当該マンションの管理会社が自宅隔離を許可してくれません。
これだけコロナ感染を恐れる中国ですから、そりゃそうだよなとも思う訳ですが、最初から諦めモードで前日指定ホテルの隔離を覚悟しています。

この隔離期間中ですが、隔離用に設けられたホテル内の一室に、完全に閉じ込められる状態です。
部屋からは一歩たりとも出られません。

中国のビジネスホテルは日本より大きいところが多く、実際に3度の隔離を経験した私ですが、どれも20m2~30m2程度(日本の2倍程度?)の大きさがあり、一人で暮らすには確かに十分な広さではあります。

そのホテルの内容は正直、、運です。

今回の隔離ホテル。

例えば今回は冷蔵庫がなかったり、バスタブもなかったり(そもそもあっても汚くて使えたもんじゃない)、施設としては残念ながらハズレかなと思われます。

現地時間18時頃に飛行機が離陸、ホテルに到着して入室したのが中国時間の23時(日本時間で翌日24時)すぎでした。
入室した瞬間、この部屋と長いお付き合いが始まる、運命のくじ引き感がありますが、私自身は正直そこまでホテルにコダワリはありません。

むしろ個人的に重要なのは、持ち込みアイテムです。
日本食や、嗜好品、当然PCやスマホ充電器などまで準備をしておかないと大変なことになります。

隔離期間中は一日三食が提供され、中国では当たり前になっているデリバリーサービスを利用することができます。
ただ、ジャンクフードなどは利用することができません。
所謂コンビニで手に入れられるような生活用品がメインですが、質素な生活を送っている私なので、不便はそこまでありません。

中華料理は嫌いではないのですが、中国のお弁当は油が多く、味も合わない。

私の相棒はふりかけと、ベビースターラーメン、のど飴、コーヒーです。
コーヒー以外は日本ではあまり口にしないのですが、やはり時間を持て余したり、味変にもってこいの「わさびふりかけ」を愛用しています。

とにかく、今回は10日、あえて中国語教室をスケジュールしてもらったり、今回は日本シリーズもあったりと、それらを楽しみにしながら準備をすることが快適に過ごすためのコツです。

それにしても、一歩も外に出られないというのは人間にとって相当なストレスです。
PCR検査、ゴミ出し、食事の受け取りは全て扉付近で済まされます。
外出はおろか、ホテル内の廊下に出ることさえ許されません。

中国語が堪能でないとストレスも重なるでしょうし、とにかく過酷と言うほかありません。
(中国語に心配な方は是非当社の中国語教室まで 笑)

一方で驚くべきことは、個人的には3年連続3度目の隔離生活ですが、中国ではこれらの政策が基本的に何の変化もなく維持され続けていることです。

正直、毎回「ようやるなーこの国は、、」と呆れます。
(中国からすれば「よう来るなーこの人は、、」と呆れられてるかも)
もちろん私も理由があって中国に入国する訳ですが、それにしても変わらずに徹底されたこの隔離措置は、中国としても決して前向きなものではないはずです。

外国からの入国用の隔離ホテルは上海だけでも数十棟に及ぶでしょう。(今回私が泊まったホテルは【隔離地点20号】と呼ばれていました)
空港での隔離措置に対応する職員、ホテルで対応する職員(彼らはホテル従業員ではない)、ホテルには感染の可能性が高まるであろう清掃員や警備員も多く配置されています。

被隔離者は実費で決して安くはない費用を払いますが、上記のようにそれを迎え入れ応対する側の負担も少なくないはずです。
これを徹底し続けるのは、その意味があるなしに関わらず、相当な国家の経済的損失があるはずです。
隔離生活を3回も経験しているだけに、これを続けている理由は私にも理解しがたいところでもあります。

入国後道に沿って歩くと「采样向前」(検査は前方へ)と進んでいく。

それでもゼロコロナ実施の中国に行く理由。

よくインターネットで目にするのが、ゼロコロナ政策を批判するようなもの。

もちろん中国でビジネスをする私からすれば歓迎するものではありませんが、今回これに意見することはしませんし、そもそも否定しようが批判しようが意味がありません。

昨年、中国に子会社を設立しました。
コロナ対策と違って、かなりウェルカムな雰囲気だったことはさておき、個人的には常に中国市場に対する可能性を探っています。

40歳になろうとしている私ですが、そのうち10年間は中国で生活をしたり、中国に関わって生活してきました。
中国ビジネスについてのノウハウには自信がありますし、私のような平凡な人間でも少なくない人脈があり、実際のビジネスチャンスもあると思っているからです。

儲かる儲からないはさておき、中国の温浴施設では私の温浴経験、ノウハウに興味を持ってくれている方も少なくありません。
個人的には日本ではできないような経験ができるのも、中国、海外ならではだとも思いますし、身をもって今の中国を体験しておくことは自分にとってとても大事なことだとも思っています。

キレイごとのようですが、そんな中でよりよい温浴施設づくりのため、私ができることならば全力で取り組みたいと思っています。

現状は正直に言ってコロナ禍前には想像もしていなかったことですが、やはり日本にとっての隣国であり、最大の大国である中国の経済状況は日本の経済にも大きく影響をすると考えています。

外国でビジネスをするという嫌な思いをしたり、苦労も少なくありません。
特に日本人であり、日本で生活をしていることで、その比較対象があれば殊更です。
それでも市場の大きさ、日本では考えられない発想と発見がある中国での体験を十分にしておこうと思うのです。

さて、今日で長きにわたった私の隔離生活が終わりそうです。
実に10日間。
どうしてもこの期間はネガティブになりがちですが、今はかなりポジティブに考えています。

何らか結果を残して、明るい気持ちで日本に帰国したいと思います。
ちなみに、今回は12月末には日本に戻ろうかと考えているところです。

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