![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/85962857/rectangle_large_type_2_be05d69da0000e476f8672120ccd2b94.png?width=800)
プロジェクト・ヘイル・メアリーの感想文(可愛いの話)
ネタバレバリア
もうこの話はネタバレにしかならないので、もうここからバリアです。
ネタバレ警報
本作品は確実にネタバレでダメージを受けます。
未読の人は、ぜひとも本を読んでから来てください。
もういいかな?
もうちょっと??
ロッキーが可愛いという話
異論はないと思います。
でもどうしてラブラドールサイズの岩石が可愛いと思うのか。ちょっと考察してみました。
![](https://assets.st-note.com/img/1662032683757-C77mMHPAR5.png?width=800)
もうここから可愛い
〝ブリップA〟は宇宙空間でスピンしている。おそらく〈ヘイル・メアリー〉とまったくおなじと思われる速度で宙返りするかたちで回転している。こっちの船が遠心機モードで回転するのを見て、これもコミュニケーションのひとつと考えたのだろう。
人類初の知的異星人種属とのコミュニケーション・ミス。そこにかかわることができてうれしい。
これですよ。ヘイル・メアリー号が重力発生モードに変形して色々実験していたときに、ロッキーは自分の船を回転させて真似をしてコミュニケーションしようとしてた訳です。
なんと健気。
「よし!」とか「ナイス!」を全部「しあわせ」と表現するロッキー
「ウインチはちゃんと動いている」とぼくは無線で報告した。
「しあわせ」とロッキーの声が返ってくる。
船外活動をしているグレースから順調だよと聞くと「よし!」という代わりに「しあわせ」と返すロッキー。自分が作ったウインチが動いているのだから、「しあわせ」でも間違いはないのだけど、とてもいいやつに聞こえる。
「サンプラーを回収した。これからもどる」
「驚き!しあわせ、しあわせ、しあわせ!」
「ぼくがなかに入るまで、しあわせとかいうな!」
「了解」
「ナイス!」でさえ「しあわせ」となっていて、ちょっと微笑ましい。
ここは「しあわせ」に当てはめたグレースのエリディアン語の翻訳ミスでは?という話もあったのですが、以下これだけの語彙を翻訳しているのだから「しあわせ」が妥当ではないかと。
ぼくらは〝無謀〟、〝まぬけ〟、〝無責任〟という言葉を共有ボキャブラリーに加えなくてはならなかった。
もうひとつ、彼がさかんに使っていた単語があったのだが、彼はその意味を頑として教えようとしなかった。
下記のように、ちゃんと嬉しいときにも「しあわせ」と言っているので、語彙はあっていると思います。なので、本当にロッキーは良いと思うと「しあわせ」というのだなぁと。やっぱりロッキーは超いいやつ。
取っ手から取っ手へ、ポンポン身体を弾ませている。「ぼくはとても、とても、とても、しあわせ」甲高い声で彼がいう。
ぼくは彼の痛々しい腕を指さす。「怪我をしてるのか?」「そのうち治る。タウメーバの汚染を止めるため、たくさんのことを試みた。ぜんぶ失敗した」「ぼくは成功した。ぼくの船はキセノナイト製じゃないからね」
みんな意外とシャツを忘れてる。
シャツの上面には大きな穴がひとつ開いている。人間のTシャツの首が出る部分のようなものだ。穴は甲羅より小さい。だから彼はシャツを下に引っ張ってそれぞれの穴に腕をすべりこませるかたちで着るのだろう。それも人間のシャツと似ている。
だが、その上面の穴からは首も頭も出ていない。硬い殻のような皮膚から、いかにも硬い岩のような五角形がひとつ、少し盛り上がっているだけだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1662033279451-Ajp325241Z.png?width=800)
ファンサイトで色々なロッキーが描かれていますが、皆さんだいぶシャツを忘れています。
(画像がアップされるたびに「シャツがないぞ!」とツッコミを受けていますが…。)
タウ・セチひとりぼっち
ロッキーの一人ぼっちの期間長すぎです。
彼の腕から力が抜けて、どこから見ても死んだ虫のようになる。もう姿勢を維持する取っ手にもつかまっていないので、トンネルの向こうでふわふわと浮かんでいる。
「なあ、きみはもうひとりじゃないぞ、バディ」とぼくはいう。「ぼくら二人ともな」
一人じゃ寝たくない群生生物なのに、ずっと一人ぼっちでした。なので、グレースと一緒になってよかったねぇ…と思うのと同時に、いままでタウ・セチでどれだけ一人で頑張ってたの?と気になっていたら、驚愕の事実が。
「了解。ぼくはここに四六年いる」
「四六年?!」ぼくは思わず息を呑んだ。「地球年で?」
「ぼくはここに四六地球年いる、イエス」
彼はぼくが生きてきた年数よりも長いこと、この星系にとどまっている
惑星のデータなどを取りながら、船を修理しながら、とはいえ、長い!長過ぎる…。超かわいそう。しかもクルー23人の葬儀をしながら。
と、同時に、科学者としてのグレースがいてやっと解決に向かうあたり、エンジニア一人では出来なかったのだなぁと。(もっとも、ロッキーがいなかったら、グレースでさえ、一人では解決できなかったでしょう)
エリディアンの寿命
平均は689年。ロッキーは291歳!
…なので、スピンドライブがあり、宇宙放射線の知識を得たエリディアンは恒星間移動種族となれるので、これからはエリディアンの時代!?
それにしても人類の短命さよ…。
「きみはなぜそんなに驚く、質問?」とロッキーがたずねる。「人間はどれくらい長く生きる、質問?」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?