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【疾患の特徴と主な治療法解説】白内障~水晶体が濁り、視力が低下

加齢などの要因で水晶体が濁り、視力が低下する疾患です。QOL(生活の質)と健康寿命延伸のために、手術の前には希望する見え方について、医師と十分に相談しましょう。

※『名医のいる病院2023 眼科治療編』(2023年3月発売)から転載

疾患の特徴

水晶体が混濁して視力の低下を引き起こす

 水晶体は目の中でカメラのレンズのような役割を担っています。外から入ってきた光を水晶体で屈折させてピント調整をすることで、網膜に像が写ります。

 透明な水晶体が濁っていく疾患が白内障です。発症原因はいくつかありますが、年齢とともに水晶体が濁る加齢性白内障が大半を占めます。

 早ければ40代で発症することもあり、有病率は50代以降になると上がっていき、80代では、ほぼ全員が白内障だといわれています。したがって、加齢性白内障は老化現象の一種ともいえます。

 他に先天性やアトピー性、外傷性などによる白内障もあります。

 白内障は混濁する水晶体の部位や広がり方もさまざまです。多くみられるのは、水晶体の周辺部から濁り始め、だんだんと中心に向かって白濁が広がっていく病態(皮質白内障)です。そのため中心部が濁っていない初期段階では、ほとんど自覚症状がありません。

 白内障が進行すると、目に入ってきた光が十分に網膜へ届かなくなったり、光が濁りによって散乱したりするようになり、見え方に関するさまざまな症状が出てきます。視力が低下する、まぶしく感じる、暗く見える、視界がかすむ、物がぼやける、二重三重に見えるなどが生じ、日常生活に支障を来すようになります。

主な治療法

根治のためには白内障手術を実施

 白内障の診断では視力検査や屈折検査、コントラスト感度検査などの見え方に関する検査のほか、水晶体がどのくらい….

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慶應義塾大学医学部 眼科学教室 教授
根岸 一乃(ねぎし・かずの)

医学博士。1988年慶應義塾大学医学部卒業。1999年慶應義塾大学病院に着任、2017年より現職。日本眼科学会認定眼科専門医・評議員、日本白内障学会評議員、日本眼光学学会副理事長、日本老視学会理事長など。