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ザ・名医 ~ 名医のまとめ

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「名医のいる病院」シリーズで掲載した名医インタビューをまとめました。各領域のトップランナーたちが、これまで、今、これから、について、熱く語っていただいており、必見の内容です!
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#リハビリテーション

脊髄損傷 再生医療の挑戦① iPS細胞の登場で、光明が見えてきた

損傷を修復しても麻痺が残るケースが多い  脊髄損傷の患者さんは、とてつもなくつらい。他の病気などとは違って突然、気がついたらなってしまっている。治しようがないことを知ると、絶望感といたたまれない気持ちになります。  脊髄は脳から背骨を通って下方に伸びている神経の束で、体全体の運動や感覚、排泄、自律神経機能などをコントロールしています。脊髄が損傷すると、損傷した部分から下に麻痺や感覚障害、排泄障害、自律神経障害などの症状が現れます。  原因は交通事故や転落事故、スポーツ・運

脊髄損傷 再生医療の挑戦② 患者の望みに応える 骨髄間葉系幹細胞治療

損傷した脊髄は二度と治らないという定説  脊椎(背骨)は人間の支柱になるとともに、体幹・四肢の運動の根幹をなす運動器です。背骨の中央には脊柱管があり、その中に繊細な脊髄という組織があります。体を動かそうと思ったとき、脳からの指示は脊髄を通り、手足に伝わります。また物に触れた感触などは末梢の神経から脊髄を介して脳に伝わります。  脊柱に何らかの衝撃が加わり、脊髄が傷つくことを「脊髄損傷」といいます。脊髄を損傷すると、脳での指示が筋肉に伝わらず手足の麻痺を生じ、肺や内臓までう

【名医インタビュー】患者目線で歩み続ける 医師たちの軌跡 酒向 正春/リハビリテーション

脳神経外科医からリハビリ医に転身 ねりま健育会病院(東京都練馬区)の回復期リハビリテーション病棟の廊下には、100mを優に超える真っ直ぐな廊下が伸びている。そこを車椅子で通りかかる高齢の患者一人ひとりに「調子はどう?」「痛みは?」と気軽に声をかけていく酒向正春医師。多くの患者が病室から出て、談話室に集まって会話やテレビを楽しんでいる様子に眼を細める。  「この長い廊下は病院の象徴的な存在です。患者さんが普段の生活の中で自然とリハビリができる環境になっています」  1本の廊