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阪神タイガースが育て上げるべきだった横田慎太郎と中谷将大

近年というか10年以上ずっと野手の育成が問われ続ける阪神

ファンやマスコミ、そしてたまに聞こえる内部からでさえ巻き起こるのが

「スカウトと育成どっちが悪いのか?」

という論争。ずーっとドラフトや若手ファーム選手を観察している僕が言えるのは

   「両方高いレベルで悪い。」

ってのが結論です。今回は育成面から取り上げたい。

日本代表クラスのポテンシャルを秘めていた中谷と横田

上の図は2005年から2013年入団までの高卒野手の1年目の2軍成績です。

分かる通り1年目からファームで高いOPSを記録した選手は才能に溢れそのままスター選手になるケースが多いことが分かると思います。

特に投高打底のウエスタンではOPS.600以上だと半分レギュラー、OPS.700以上だと3/5が日本代表です。(打席数の少ない丹波、ヘルニアでドクターから下半身不随になると引退勧告された春田を除けば実質全員)

一方、2枚目の画像から分かる通り1年目のOPSが低いとそのまま花開かないケースが多発します。

そもそものOPS.600以上の野手(これ以降"逸材野手"と名付けます)の絶対数の少なさはもちろんのこと、阪神だけが逸材野手をレギュラー以上に育てきれない事実が浮き彫りになります。今現在、中谷はレギュラーの座はおろか1軍すら危うい、横田は脳腫瘍で引退後第2の人生を奮闘して歩んでいます。阪神に入団した逸材野手はなぜ羽ばたけなかったのか?少しこれからは主観も交えながら話していこうと思います。

長期間自分を見出してくれる人がいなかった中谷

中谷は1年目の活躍から将来の4番と期待され2年目には1軍キャンプに抜擢され紅白戦で4番に抜擢されるなど、和田豊から大きく期待されていました。当然、ルーキーイヤーは捕手をしながらあのOPSですからセンスはすごかったのでしょう。

しかし中谷はその後、2軍でも打率2割未満と低迷します。1年目は「何も考えないで投手に集中したから打てた」がそれ以降打席に立つたびにフォームを変えてしまい、不振に陥りました。そして球団からの期待に答えられず、第2次平田政権時の平田から常にボロクソに言われているのが印象的でした。この前ラジオで浜中が「中谷はああ見えて繊細」と言っていたので、繊細な中谷に厳しく当たってしまい余計に迷い込んでしまったと個人的に思います。

当時の打撃コーチ、屈指の無能八木が何も処置できずに、その後掛布がDCとして着任しました。彼のレベルスイング指導は、アッパースイングの中谷にとことん合いませんでした。そのまま1年目のブレイクから低迷し3年経ちます。打率が2割を切っていた中谷はなんとかしようと当てに行く打撃で再起を図ろうとしました。功を奏したのか否か2015年はファームで.290程度を残しなんとか首の皮一枚繋げます。1軍初安打を記録したのもこの年です。ファームで1年目は鈴木誠也と同程度のOPSを記録した男にしては遅すぎました・・・

逸材を救った2人、金本と今岡

2016年に金本が監督になりました、虎バンで言っていましたが当時の中谷を秋季練習で見た金本は中谷のフォームの欠点を即座に分析しました

「打つときに腰が浮いてしまう」

金本は矯正が必要と判断し1からフォーム作りを今岡コーチに託し2軍に落としました。そして今岡のフォーム矯正は中谷に効果抜群で、再昇格後一軍に定着し打率.266 OPS.699と覚醒の気配を醸し出し1年目を終えます。

新人王高山からレギュラーを奪って打った20本塁打

2016年は糸井が加入し外野は高山福留糸井で決まりかと思われていましたが逸材野手の覚醒はこの壁を簡単に崩します。

覚醒した逸材は本塁打を量産し20本塁打、OPS.751を記録し、ようやく鳥谷以来の生え抜きレギュラーが誕生したと誰しも思いました。この打棒に好守備と強肩が組み合わさり、阪神が他球団に誇れるレギュラー野手がついに生まれたと。。。

恩師・今岡の退団と訪れた大不振

しかし、突然2018年に今岡が盟友井口の誘いを断りきれずにロッテに移籍します。そして金本は自分で行って来た打撃指導を完全に平野片岡に任せるようにシフトしました。

その結果、阪神ファンご存知のあっちゃんによる「右打ち指令」が敢行され繊細な中谷は打撃を見失ってしまいます。このことであっちゃんは非難を浴びました。僕も確かにこれは無能だなあとは思いましたが、1番中谷にとって悲運だったのは「自分のフォームと打撃を完全に理解している今岡がいなくなったこと」で修正が効かなくなってしまったことだと思っています。

もがく逸材野手中谷、復活の道遠く・・・

今現在も中谷の打撃不振は直らずみんなが期待した逸材野手は輝きを取り戻せていません。他球団の逸材野手、鈴木誠也は当時の2軍打撃コーチであった名伯楽内田コーチに師事し、インサイドアウトスイングを若い頃に完璧に擁立しました。その後、内田コーチが巨人に行っても密に連絡を取り合ったといいます。きちんと指導してくれる人と出会うかどうかでここまで運命が違うのかと思ってしまいます。

打撃指導ができるコーチがいない阪神

唯一阪神でまともに打撃をコーチングできたのは金本と今岡と2013年に打撃コーチをしていた水谷さんくらいです。現時点では井上と北川はどうかわかりませんが長期的に見た僕から言わせると、「人のフォームに気付けるコーチが少なすぎる」と思います・・・。

逸材野手を育てることのできない平田がまだいる悪夢

次回でも横田編を書こうと思いますが、逸材野手を育てることができずにまともな指導ができない平田が未だに2軍監督を続けています。井上と遠藤が不安でしょうがない。平田は夏場に高卒ルーキーだった北條を出ずっぱりにさせ体重を10キロ減らしたとんでもない指導者です。体つくりをさせないといけない時期に何をやっているんだと未だに怒りを覚えています。

次回、脳腫瘍で引退してしまった逸材野手横田についてでも書こうと思います。彼の最大の不幸な点はもちろん憎き脳腫瘍です。しかし、それ以前に彼に関しても阪神の育成の拙さが如実に表れていました。次回、それを綴ろうかと思います・・・。

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