家から外への第一歩

コロナ渦の中、娘の気質検査を受けに行って私がうつ病と診断されたのが2019年冬。
それからは二年間ほど薬物治療と毎月の診察を受けながら過ごしました。
訪問で心理相談も受けていたある日、知り合いから誘われたのが마을공동체(地域共同体)でした。
住民自治体とはまた別で、近所付き合いが少なくなっている今の時代、地域住民が相互理解と意思疎通しながらより良い地域にするために活動する団体です。
ためらいつつも、心理相談で少しずつ回復しつつあった私は思い切って快諾しました。

基本的に用事がなければ家にずっといて、家族ぐらいしか会話することのなかった私。
ひどい時は家族以外の着信にさえ出ることのできなかった時もありました。
しかし、昔からあまり薬を飲む習慣のなかったこともあって、治療を始めて2年ほどたった頃、毎日同じ時間に薬を飲んでいる自分に危機感がでてきたのです。
テレビ番組の中で自殺した人が生前飲んでいたうつ病の薬が私と同じだったことも、危機感をもつきっかけになりました。
ーこのままではいけないー
そう思った私は、地域共同体の活動の中で気になったワードをパソコンで検索してみたのです。

それからの変化は、あっという間でした。
地域共同体の活動にプラスになるからと、ほかのメンバーと一緒に受講することになった生涯学習館の生態環境学コース。
その学びの中で、私の意識がどんどん家の外へ向かっていくのを感じました。
裏山からすぐ行ける図書館へ通うようになり、何の考えもなく生活していたこと一つ一つが気になりだしたのです。
歯ブラシ1本が自然に還るまでに数百年?
当たり前のように使って捨てていたおしりふきが実はプラスティック?
授業で一つ一つ学びながら、何もしないという選択肢はなくなっていったのです。

思い返せば、大学で総合政策学部だった私が当時関心をもっていたのも国際政策と環境政策でした。
模擬国連サークルに入ったり、社会がどう動いているのかを学ぶことが好きだった自分自身をずっと忘れていたのです。
韓国にきて子育てに追われた10年間、私という存在に時間をさく余裕もありませんでした。
だから心理相談の際、回答することの難しかった質問はいつも私に関するものばかり。

  • その時、私は何を感じたのか

  • その時、私はどう考えたのか。考えているのか。

  • 美味しいと感じた料理は何か

  • 何をしている時が一番楽しいか

生態環境学の共通科目として、MBTI検査をした際も、結局一番最後まで時間がかかって何とか回答したものです。
それほどまでに、私にフォーカスして過ごしてこなかったのです。

もちろん過ぎてしまった時間を後悔はしません。
変えることのできない過去よりも、これからどうするのか考えます。
私ができることは、今これから何をするかを選択すること。
学べば学ぶほど、地域が、国が、世界が、違って見えるのです。
私が一歩前に進むことで、人とも、地域とも、近くなりました。
そして回りまわって、私という存在に近づくことにもなります。

#私の学び直しはそういう意味で 、家から外への第一歩が始まりとなりました。
学び直しの中で、夢も出来ました。
小さなYESが大きなYESになる。
私の学び直しはまだまだ始まったばかりです。

#私の学び直し


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